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【唯一続いていること】出会って13年目の夫との仲⑪〜プライスレス〜

この記事では、飽き性な私が唯一続いている夫との仲について、出会った頃の出来事と感情(13年前の記憶)を言葉にしてみています。

前回のあらすじ

彼とは、友達以上な気がする夏休みを過ごしていた。


プライスレス

なんだかんだ、直感は当たる、のかもしれない。



夏の終わり。
だんだんと日が短くなり、一人家に帰る時の夜風が涼しくなっていることに気づいてちょっとだけ寂しく思う。


それは、明日からは2人で自由に出かけられなくなるという日だった。

彼と、夜電話をしていた。
アルバイトの飲み会で、酔って帰ってきたようだった。 

話題はあっちへこっちへと移った後、
ポツリと、

私との時間がプライスレスなんだと、そう彼が言ったのだった。

プライスレス:
とても高価なこと。金では買えないようなこと。非常に貴重なこと。
出典:コトバンク https://kotobank.jp/word/プライスレス-375503



私もそう思っていると、素直に言えた。

それまでの私は、こんなに理不尽な世の中なんて、という腹の底の怒りが原動力だった。
まさか考えが変わるなんて。

人生捨てたものではない、本当にそう思ったのだった。
間違いなく彼のおかげだった。

私にはない彼の思考回路に学び、私に近い彼の感性に寛ぐ。
時折見せる彼の人間離れした覚りには感服するし、人間らしい苦悩も尊いと思う。

彼といると前に進めるし、たとえ停滞している時ですら、そう言う時もあるよね、と自分を許せる。
これからも一緒に沢山の初めてを発見し、感動したい。

それに、向かいに座って眺める仕草、近くに寄った時の匂い、彼の声、全部好きになっていた。



酔っ払って本当のことを言ってしまった、と彼は言っていた。

私も電話越しでよかった。



この後も、付き合おう、とは言われたことがない。

けれど、何時間過ごしても居心地が良く、手を握れば今までになく心地良く。
次第に一緒にいる時間が増えていき、今に至る。

結婚する前も、した後も、喧嘩はよくする。
健やかなる時もあったし、病める時もあった。

それでも、距離を置こうとか、別れようという話になったことは一度もない。
いつでもお互い向き合って、最後まで話を聞き、反省し合い、乗り越えてきたつもり。


飽き性な私にとっては、これが唯一続いていること。



私の結論としては、誰かに教えられたルールやマナーなんてほとんど意味を成さない。
巷に転がる順番や方法も、自分にとって当てはまるかというと、そうとも限らない。

彼と一緒にいると自分のバランスが良くなるということに気づき、その感覚に従って成り行きに任せてきただけだった。

彼の前では、本当の自分でいることを決めたから、言葉ではそう言っていないけれど、彼にもその空気が伝わったと思っている。

何でもない時間なのになにものにも変え難い。
それは自分が自分でいられる時間。

プライスレス(唯一無二)って、当時は面白いこと言うなと思ったけど、
思い出すと、何だか良い言葉。
それに、彼(今の夫)の手は柔らかくて、触るとむにむに。
それで、私は名前をmuniにした。


さて、彼と始めた「新しいこと」も、沢山の人の協力とあらゆる承認を経て、本当に完成した。

昔の話は一旦終わりにしようと思う。

この後の話は、いつか、また。


おわり

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