アルミ板に衝突したBB弾の回転数を調べる
はじめに
エアソフトガンにおいてバレル内で加速されるBB弾はバレルに衝突しながら発射されるらしい。衝突によりBB弾の回転が変わってしまうと命中精度に悪影響をもたらすだろう。いったいどれくらい変わるのか。気になったので調べてみた。
方法
マルチ発光ストロボの構成は前回から変えていないので割愛。今回は射線上にアルミ板が追加した。ちなみに、撮影自体は以下の図のように右から撃っているのだが、写真はすべてグラフと座標軸を合わせるために左右反転している。
弾はマルイ0.2gプラ弾を使用した。軽いほうがアルミ板に衝突した際に回転がかかりやすいと考えたからだ。
結果
上記構成にて10回撮影した。結果を集計するために、BB弾にマーキングしたパターンからテンプレートマッチングにより回転角を出力するプログラムを作成した。以下にその出力画像を示す。
画像処理プログラムの出来が悪いのは諦めて、外れ値除去して回帰直線を求める事にする。画像上で重力方向に最下点の位置をBB弾が衝突した時刻として、前後の回帰直線をRのロバスト推定を用いて求めた。ここで、データから衝突時刻± 0.1msは除外した。
回帰直線の傾きから回転速度[RPS]を表にまとめた。(表といいつつ整形済みテキストだ。このnoteというサービス、なんと表が使えないのだ)同様に入射角/反射角も画像処理と直線回帰で求めている。
Test No. 入射角[deg] 反射角[deg]. 衝突前[RPS]. 衝突後[RPS]. 差[RPS]
1 1.11 0.94 136.13 113.97 22.15
2 0.96 0.79 167.17 147.68 19.49
3 0.91 0.67 176.02 151.76 24.26
4 0.93 0.81 149.48 118.64 30.84
5 0.93 0.76 133.42 113.72 19.70
6 0.71 0.62 157.85 173.78 -15.93 ???
7 0.84 0.72 102.74 55.61 47.14. ???
8 0.70 0.69 138.63 111.33 27.30
9 0.87 0.75 152.33 156.96 -4.63
10 1.09 0.88 142.55 121.09 21.47. ???
見るからに怪しいグラフのデータには???を記している。Test No.9において、差が負になってしまっているが画像処理結果は悪くなさそう。しかし、回転が加速することはないだろうから、ほぼ回転減衰がない状態でかつ測定精度の問題により負に振れたのだと考えられる。今回用いた手法では精度は±10[RPS]程度が関の山かも。
まとめ
とりあえず結果を信用するならば、アルミ板に1°前後で衝突した0.2g BB弾は0〜30RPS程度変化する事になる。30RPSという回転速度はこちらを参考に無重力状態で計算すると、マズルエネルギー0.8Jの0.2g弾を30mで210mm程度、0.28gでは160mm程度弾道を逸れさせる。流石にBB弾が加速し切った状態かつ入射角1°でインナーバレルに接触することはないだろうが、インナーバレルの接触によりBB弾に加わる回転はグルーピングを悪化させるだろう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?