きっちり15首

射干 候鳥 昧爽 靉靆

正義より悪役を求める人に「ばか」と
いわれる それが聴きたかった

国道のトラックに怯えてる
隣ねぎバターかためこいめおおめ

「みな死ねばほぼ肉塊よ」
母の壊す焦げ八割の目玉焼き

ベニヤ板一枚剥がれたベランダに
白薔薇の脈 しんと積もる

腹下し座り込む便器
閉じた窓の向こう 蝉と小鳥の鳴く

「触れし人みんな生きていたろ?」
よく来たなありがと残暑見舞い

月の裏行きバス酸味だけの食べるラー油
唐揚げ七月紫陽花

土砂降りのにおいを抱えて
この手は誰も握れずたったふたつ

まんまるなつきに「やあ」と下げた頭
酸素舐めに寄る羽虫

やや白き指定靴重ねその子睨む
武士道シックスティーン

まさみちのうたよろこべ
25を背に立つお前を俺がみる

まぐろ まぐろ
せめてものまぐろを抱きたし熱帯夜

昼間___窓のない部屋から逃げ出した
君にもう一度ぴーす (腹減った)

ばにらあいす色手帳端にメモあり
射干やかん 候鳥こうどり 昧爽まいそう 靉靆あいたい…もう負ない

僕らしい夜にガソリンの値上げ告げる
メイルが葉の如く落つる


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