【Rotisserie D'Argent】ぺっ。不味い。
今宵はRotisserie D'Argentへ。
https://tourdargent.com/la-rotisserie-dargent/
トゥール・ダルジャンと言えばパリを代表する歴史的なレストラン。
日本でも良く知られており、テレビなどでも度々紹介される。
唯一の支店は東京のホテルニューオータニにある。
存在自体が文化財と言って良いほど、フランス料理のなかで特別な位置を占めてきた。
ミシュランガイドの3つ星を長らく維持したが、1996年に2つ星に降格し、今では凋落の一途と辿るとされている。
とはいえ、グルメの歴史のなかで果たしてきた役割は絶大であり、敬意を表して一生のうち一度は訪れてみたいと思ったけれど・・・
今はリニューアル工事のため閉業中のようだ。
というわけで、隣にある姉妹店に行ってみた。
こちらは気軽なビストロだが、トゥール・ダルジャンの雰囲気の片鱗くらいは感じさせてくれるはずだ。
ギンガムチェックのテーブルクロスやナプキン。
パリの大衆的なビストロのアイコンに満ちている。
映画のセットのようなコテコテのビストロだ。
貴族が大衆ごっこをしているような屈折を感じないではない。
付き出しにオリーブが運ばれてきた。
これもまた大衆ビストロのアイコン。
徹底的に作り込まれたビストロごっこの始まりか。
パンはこれ。
どっさり。
わんさか。
1人でもこの量を持ってくる。
フランス的豊かさとでも言おうか。
とにかく古き良きフランスを感じさせる徹底したビストロ。
まずはアペリティフにシャンパンを頼んでみる。
トゥール・ダルジャンという名前のシャンパン。
名前に惹かれて頼んでみたが、おいしくない。
泡が抜けている。
管理が悪いのだろう。
このいい加減な感じも演出なのだろうか。
前菜はイワシを注文する。
すると運ばれてきたのがこれ。
なんと缶詰そのもの。
料理する気ゼロ。
缶詰を開けて、レモンを添えて持ってきただけ。
あまりのやる気のなさに腰を抜かしてしまう。
缶詰のイワシはおいしかったかって?
驚きが強烈すぎて、味わう余裕はございませんでした。
メインにはseabassにする。
ロティスリー(肉料理屋)だから肉を取るべきだったのに、安易な選択をしてしまったことをすぐに後悔する。
運ばれてきたのがこれ。
これがまあ、全然おいしくないのだわ。
魚の状態が悪くて、中はパサパサしている。
焼き方が良くないのだろう、素材の味が感じられない。
付け加えられたソースや付け合わせも、なんだかぱっとしない。
まずいとまではいかないけれど、ここまでおいしくないと、もうまずいの領域に片足を突っ込んでいる。
久しぶりに、こんなに心のこもっていない、バランスの悪い、やっつけ仕事の皿に出会った気がする。
加速度を増しながら坂道を転がり落ちていく、かつての名店。
転がり落ちる途中で、おいしいものを食べさせという心意気さえも、どこかに置き忘れてきたようだ。
姉妹店がこれか。
トゥール・ダルジャン。
行くことはなさそうだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?