川合大祐「スロー・リバー」4

 川合大祐「スロー・リバー」の一句観賞4回目です。わたくしごとですが、付箋を6束買いました。およそ1000枚です。では、早速観賞に移りましょう。


我思う「これは川柳ではない」と
 我思うゆえに我ありを含んでいる。それを踏まえて読むと、なんでも川柳たりえると言いたいのだろう。川柳ではないと否定しても川柳として立ち上がってくる。それはこの句が定型の力を得ているからだ。同様に、「秋風や眼中のもの皆俳句」という高浜虚子の句がある。この句に出会ったとき、なんと寂しいことかと思ったが、『我思う「これは川柳ではない」と』に関しても同様の感情を抱いた。定型の力を持ってすればどのような対象にも寄り添うことができるというのだ。それはすなわち、世界と自分との断絶を意識していなければ気づかないことだ。つながっていないからつながろうとする。この句は孤独を知っていなければ詠めない。


川合大祐「スロー・リバー」あざみエージェントより
https://www.amazon.co.jp/dp/4906849261/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_T1PBCFB38CP6833WKH7K


川合大祐さんが2021年4月9日に第二句集を出します。書肆侃侃房さんより「リバー・ワールド」です。
https://www.amazon.co.jp/dp/4863854536/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_MVSVADFECPQ4B9W1J2HV
(了)

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