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『まとめ』歴史を変えた6つの飲み物 ワイン編①

ビール、ワイン、蒸留酒、コーヒー、茶、コーラから見る世界史

日常のありふれた飲み物達。普段何気なく口にする飲み物が歴史に大きく関わっていた、という視点の本。

今回はワイン。少し分かりづらい、試される様な、背筋が伸びるお酒ですよね。
ですが同時に昔から庶民が日常的に飲んでいたお酒でもあるんです。

どんな流れでワインが親しまれて来たのか見ていきましょう。

❶今も昔もイメージは同じ?

ワインの起源は諸説ありはっきりしてません。
自然に勝手に出来ていたのを除き、人の手で造られたのはいつかはっきりしないのです。ホントに諸説あり!です。

ですが紀元前からすでに信仰と結びついて、富の象徴となり、その人の洗練さを表していたと考えられていました。

そんなワインのエピソードをひとつ

紀元前870年頃にアッシリアのアッシュールナシルパル2世がタムルードの新たな首都の完成を記念する為に開いた宴が、人類史上最も盛大な祝宴の一つとされています。

その宴は贅を尽くし10日間続いたそうです。参加者は69,574人にも及んだそう。
そしてこの祝宴で最も重要なポイントはアッシュールナシルパルは、伝統的に親しんできたビールではなくワインを選び飲んだのです。もちろんワインだけなく、それ以上のビールも用意されましたが、高官達はワインを飲んだのです。
つまりワインに最高位を与えたのでした。

当時ギリシャ、トルコやレバント等で造られていました。
ギリシャでも造られていたのですが、気候が大規模生産に適しておらず、レバントから高いコストをかけて輸入されていました。

こうした事からごく一部の者しかワインを飲めなかったそうです。
この為これを味わえるのは選ばれた者のみで、神々に供するのにふさわしいと考えられたのです。

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❷少しずつ、少しずつ、、、

次第にワインを飲む行為は手の込んだ社会的儀式へと発展し、権力と繁栄の特権の象徴となっていきました。

そこから時代が降り、大きな国が出来てくると国を跨ぐ際の税金や通行料が減り、海運によるワインの取引量が増えて生産量が増加しました。
お陰で広い地域でワインが入手可能になっていきました。

とは言え、多くの人にとってビールに比べると依然高価でした。なので代用の飲み物として流行ったのがナツメヤシの蜜を発酵させたナツメヤシのワインだでした。
こちらの"ワイン"はビールより少し余分に支払えば手に入ったのでした。

この様な形で文化的かつ文明的な飲み物はビールから、すっかりワインに移っていったのです。

❸シンポジウムでワイン

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古代ギリシャでは社会が成熟し、思想家が活躍。
近代西洋思想の起源が出来てきます。哲学、政治、科学、法律などの基盤を築いた時代でした。
思想家達は議論を盛んに行い、世界の本質の理解を試みました。

その議論の場として「シュンポシオン」と呼ばれる正式な議論の場が開かれた。これが今のシンポジウムの語源。
ワインにより抑制心を捨て去り、その人の本心を全て曝け出し本音で議論する様考えられてました。そしてワインを飲む際のマナーをわきまえていなければ教養がないとされてました。
これらを踏まえて真実の発見に適して場所にしていったのです。

またシュンポシオンに関してはソクラテスを描いた「饗宴」が有名ですね。

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❹心を写す鏡〜ワイン

領土を広げ、ブドウの栽培地も増えていき、ワインは次第に奴隷さえ飲めるほどに一般化していきます。
そうなると「どんなワインを飲むか」が重視されてきます。この頃には地方ごとにスタイルの違いが知られてました。そこから生産年に興味が移る。
冷蔵庫などなかった時代なので、貯蔵および扱いの違いでワインの質に大きく差が出ました。「古い物ほど良い」とされる様になりました。

そんな流れで古代ギリシャ人にとって、ワインを飲むことは文明的で洗練された行為だった。「どんな種類の、いつ作られたワインを飲むかで、その人の文化的洗練の度合いがわかる」とされたそうです。
併せて飲む際の振る舞いも重要だった。

古代ギリシャの詩人アイスキュロス
「銅は外見を写す鏡。ワインは心を写す鏡」

❺ワインを水で割り、善悪を混ぜる

ワインの神様ディオニュソスの信仰がギリシャにはあり、彼らにとって「ワインをそのまま飲めるのはディオニュソスだけ」と考えられていたそうです。
水で割らずに飲む人達を野蛮人としており、ワインを飲む事は良しとしたが、飲み過ぎ酩酊する事は野蛮だと考えられてました。
いずれにせよディオニュソスが与えたワインという恵みを有効利用していない、とギリシャの人々は信じていました。

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❻今回のまとめ

都市国家が出来た地域がワインの栽培に適してなかった事が、ワインを高価にさせ、富の象徴になると同時に、希少性から信仰にも用いられて神聖な雰囲気を帯びていきました。
そこにギリシャで知的な、哲学的な部分と繋がっていったのですね。

こんな長い歴史があるので、今でもワインは飲み物の中で別格の存在になっているのですね。

では、長くなったので続きは次回になります。

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