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酔ったカサゴ達(極上ハイボールのお話)

 先日、実に久し振りに銀座のロックフィッシュに伺った。何年振りだろうか、コロナの3年があり、移転前のお店以来なので、おそらく4年は経ってる計算にはなる。
 そもそも旧店舗と新店舗はとても近い。移転と表現するには大袈裟なのではないかという距離だ。
 しかし、高さは変わった。酔い加減を表現する言葉にメートルという言葉があるが、それを踏まえるのであらば相当に酔い加減は上がったのだ。旧店舗はたしか3階だったような気がするが今度はなんと地上7階、一気に4階分も高くなった。コリドー街辺りでも飲み屋が位置するには高い方ではないだろうか。
 
 1人で飲みに行こうかな、と考えてたところ、60代と70代の友人が2人で有楽町で映画を観ると聞いた私は、「では、その後に合流して私と飲みませんか?」と打診をしてみたのです。ちなみに2人とも呑兵衛である。
 
 時間は15時。先に店に到着した2人によると、まだガラガラで自分達しかいないらしい。私は思った以上に早く着いた友人たちを追うべく、スマホを片手に地図を見ながら新店舗を目指して道を急ぐ。地図頼りにここかと思って立ち止まり、辺りを見回すものの見つけることが出来ない。もう一度位置を確認すると、どうやら通り過ぎてしまったようだ。
 やれやれと思いながら、ちゃんと確認しながら来たと思った道をゆっくりと引き返す。
 見つけた!! どうやら以前より随分と立派なビルに移転したようだ。建物はわかったが、そもそも何階かすらもこの時点では知らず、案内板にて7階ということを確認。
 エレベーターホールに向かうと2基のエレベーターとなにやら良い香りがする。前よりも高級感が漂っているぞ。
 店に到着するとBARらしい木製の扉に、縦に十字を2つ繋げたような細いガラスが入っており、中の様子を少しだけ見ることが出来る。ガラスの脇には本日の営業時間を手書きで記したコースターがペタッと貼ってある。実にロックフィッシュ的だ。全体的にはピシッとしてるのにこの緩さが、そうだこれがロックフィッシュだと安心する。
 
 中に入ると知り合いの他にもお客さんが増えたようで、入ってすぐのカウンター端に女性がスタンディングでハイボールを飲んでいた。
 私は基本カウンター派なのでテーブルはなんとなく落ち着かない。だが、御老体も含む先着の2人はテーブルに構えて飲み始めている。前の店はたしかテーブルは1つだっけかな? なんて考えながら私も席に着き久し振りのハイボールをオーダーする。
 そう、ここの名物はなんといってもハイボールなのである。しかも角瓶を使った、氷なしでキンキンに冷えたハイボール。

 ルーツをたどると大阪のサンボアバーに由来すると聞いている。戦後のまだ貧しい日本で庶民が、出来るだけ安く美味しくウイスキーを飲むために考案されたのだという。

 作り方はいたってシンプル。サントリーの角瓶、ウィルキンソンの瓶炭酸、グラス、この3つをキンキンに冷やしグラスに60mlの角を注ぎ、氷は入れずに冷えたウィルキンソンを1本まるごと入れたらステアもせずに、グラスの飲み口と液面にレモンピールで香りを付けるだけ!!

 これだけ簡単なのに恐ろしく美味い。そしてアルコール度数は高いけど、氷無しなのでゆっくりは飲めない、ゆっくり飲んだら味が間延びする危険な飲み物でもあります。

 つまみは缶のまま温めた、京都の老舗、竹中缶詰の「オイルサーディン」の一択。ほのかに醤油が香り、イワシの上には水煮の山椒があしらわれてる。至極シンプルである。

 シンプルなハイボールに、シンプルなつまみ。不味い訳がない。しかし、この口当たりの良いハイボールには本当に気を付けないと痛い目にあう。単純に5杯飲めば角を300ml飲んだ計算になるわけで、これはよく見かける700mlボトルの約半分となるわけです。

 初めて訪問される方はお気を付けを…。

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