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2021年2月の記事一覧
嘘の中にきらめく、ほんとう。
写真は真実をあらわすことはできない、常々そう思っています。そして、自分にとって写真は「世界がこうあってほしい」という祈りに似ています。だから現実のすべてを写そうとはしていないのです。人には人それぞれの地獄があるし、そもそもカメラはすべての事象を捉えることが不可能です。だから、その限られたフレームのなかに「こうだといいな」という切実な気持ちを込めて撮っているのです。
ドラマや舞台のお仕事をさせてい
あれから10年・それぞれの10年 メディアの現場で考え続けてきたことを記事にします
巨大な津波が押し寄せ、原子力発電所も緊急事態に陥った大災害の現場に取材に入った私たちは、がれきで覆い尽くされた光景に立ちつくし、行方の分からない家族を必死に探す人たちに、かけることばが見つかりませんでした。
「遠くまでわざわざきてくれてありがとう」
そう言って、おにぎりをにぎって手渡してくれた人もいました。
あれから10年一面のがれきに覆われていた被災地は整備され、土地がかさあげされ、防潮堤
くまの子は、本が大好きになりました。『くまの子ウーフ』――絵本を思い出すところ#10
絵本の中の風景へ想いを巡らすとき、それを手にした幼い頃の記憶もまた、絵本の思い出の一部になっていく――そんな「絵本を思い出すところ」を編集者とカメラマンが探していきます。
森で暮らしている本がいました。
うーふーってうなるから、
名前がウーフというくまの子の本です。
ウーフの本は、考えることが大好き。
いつも世界に「どうして?」と問いかけています。
長い爪に、毛むくじゃらの手。
そう、くま
08_「教養」はポストフォーディズムの補完物となる運命か
成人教育の危機から「生涯学習」へ 前回は、ウィリアムズが上記のように成人教育を実践し、それについて書いていた時代とその直後(1950年代から60年代)に、そのような理想としての成人教育はすでに危機を迎えていたと述べた。
その危機にはさまざまな様相があるが、ここで重要な変化は、それが労働者階級のためのものではなくなり、分かりやすく言えば現代の「カルチャースクール」風の、中流階級の余暇の「教養」の
「コロナ禍における現場からの緊急提言―本当の公を求めて」 2021年2月16日参議院予算委員会意見交換での意見陳述 NPO法人抱樸 奥田知志
(2月16日参議院予算委員会意見交換会に呼ばれた。以下は、その時の原稿に加筆したものである。当日の持ち時間は10分と短く、とても全部を述べることは出来ないと考えたので全文を原稿にまとめ提出することにした。出席議員はどなたも熱心に聞いて下さっていたと思う。
コロナ禍が長引く中、ダメージは、日に日に大きくなってきている。一つの現場からの意見であるので社会全体で起こっている事態を網羅的に指摘したものでは
「井戸に毒」のデマに見る、「2ちゃんねる的インターネット」を引きずる人々
2021年2月13日の地震後、Twitterなどで「~~が井戸に毒を入れた」というデマが多数投稿されました(現在は多数のアカウントが凍結済み)。これは1923年の関東大震災後の(虐殺の発端ともなった)悪質なデマが再生産されたものですが、なかでも一部は「匿名掲示板型のアイロニー」という文脈によってパロディされたものであり、擁護する立場の者の主張によれば、これは「パロディ(つまりパロディ元への批判的な
もっとみる#01_死はいつだってぼくの隣にあった|小松理虔
地方と不確実 なんだろう 、妙な感覚なんだけれど、ここ最近、自分に死が近づいてきたように感じることがある。といっても、ぼくが重い病気にかかっているとか、近い友人が大きな怪我をしたとか、そういう類の話ではない。なんとなく、以前よりも死を身近に感じるようになったというか、死というものは案外自分のそばにあるぞ、ということを実感するようになったのだ。もちろん、ぼく自身が年を取ったからという理由もあるだろう
もっとみる人はなぜ超常現象を信じるか──戦間期の英国を侵したスピリチュアリズム(園部哲)
「園部哲のイギリス通信」第17回
"The Haunting of Alma Fielding: A True Ghost Story"
by Kate Summerscale(ケイト・サマースケイル)2020年10月出版
本書の著者、ケイト・サマースケイルは2008年に"The Suspicions of Mr Whicher: or the Murder at Road Hill House