秀吉、武者震い

 砦に着き、いよいよ戦の準備が進んでいくと不安の声が聞こえてくる。

 相手はあの弓の名手で守護大名の今川義元。

 兵の数も6倍以上ある。

 仕方がないことだ。   

 藤吉郎にとっては初陣でもある。本気の命のやりとりを前に膝が震えている。

 藤吉郎には策があった。うまくハマってくれれば勝つことができる。

 しかし、それは軍の勝ちではあっても藤吉郎が生きのびているかどうかではない。

 自分の身は自分で守るしかないのだ。

「皆、よく聴け」

 馬に乗った信長がこえをはった。

「今回の作戦は情報の漏洩を防ぐために誰にも言わん。ただ、必ず勝てる。俺について戦え!そこに勝利があるぞ!!」

 その言葉に兵たちも1人、また1人と叫び、己を奮い立たせた。


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