秀吉、信長、神主
「ようこそ、信長様」
境内から白装束の神主が出てきた。
気心しれているのか信長に対してあまり緊張感がない。
藤吉郎は一歩下がり、膝をついて礼をとる。
「おう、ちょっと待たせてもらうぞ」
「出陣ですか?」
「そうだ。あと数時間もしたら兵もくるだろうよ」
信長は城を出る際書き置きで指令を出していた。
城を守る部隊と今川を討つ部隊に分かれて、ここ熱田神宮では攻撃部隊が集合する手筈になっている。
「相変わらず突っ走りますね。今度はあの今川と戦ですか。ここの神もそろそろ呆れてますよ」
「はっはっは、神だろうが仏だろうが存分に利用してやるよ。今回も勝つぞ。それに面白い部下も手に入れたしな。藤吉郎だ。猿みたいな顔をしてるがなかなか賢いぞ」
信長に紹介されて藤吉郎は膝をついたまま姿勢を正した。