ユーカリ

10代後半、理系大学生、 ショートショート書いてます、 よろしくお願いします

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    • 秀吉。美濃三人衆

       父親がいないなか育った藤吉郎にとって長政は本当の父親のような存在だった。 「長政さん、今回の戦は正面からぶつかってはダメでしょうね」  馬に乗りながら藤吉郎は長政に戦の相談を始めた。 「そうだな。数にも3倍近い差がある。それになにより美濃三人衆の存在だな」  美濃三人衆は稲葉、安藤、氏家の3人のことで斎藤家の猛将として名を馳せていた。  特に安藤は知恵の回る男ともっぱらの評判で油断はできない相手だった。  しかし、だからこそ藤吉郎は詰み筋が見えていた。 #豊臣

      • 秀吉。出発

         桶狭間の時と違い今回は遠征のため物資が必要だった。   兵の数は4000ほど。  それでも5日ほどで準備を整えた。  兵たちは立って、武将は馬に乗って城門の前に並んだ。 「藤吉郎殿、ご無事を祈っております」  馬に乗る藤吉郎にねねが声をかけた。 「あぁ、ありがとう。必ず勝って戻る」  藤吉郎は勝利の自信を持った声で応えた。 #豊臣秀吉 #歴史 #連載 #戦国時代 #日本史 

        • 秀吉。信長の悔しさ

           藤吉郎はすぐさま戦の準備にとりかかった。  この戦の重要性を藤吉郎は重々に理解している。  信長の天下統一という野望のためだけではない、敵討ちという意味が込められた戦だ。  信長と妻・濃姫の仲の良さ、そして道三との友情を考えると道三を裏切った現在の斎藤家は叩き潰したいのだ。  8年前、まだ藤吉郎が信長に仕えてすぐの頃道三は討ち取られた。  信長が救援に向かったころにはもう遅かった。仇をうとうにも周りの国からの圧が強く派兵できなかった。  そしてとうとうやってきた

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          秀吉。信長の怒り

          「安富の隊が敗走しただと!」    信長は斎藤攻めを任せた安富の敗走の報告を受けた。  斎藤龍興は信長にとって義理の父道三の孫。しかし、龍興の父はその道三を裏切り首を取ったその人だ。  道三の敵のような存在に負けたことに信長ははらわたが煮えくりかえっていた。  だが、一揆が各地で起こり、周りの大名からの圧力も激しい今、大軍で動くわけには行かなかった。 「猿!お前と浅野の隊で龍興討伐にむかえ」  藤吉郎は浅野と計200人ほどの人員で討伐に向かうことになったのだった。

          秀吉。信長の怒り

          秀吉。織田軍敗走

          時は流れ3年の月日が経った。 「ぎゃーーー、奇襲だーー」  森の中を進軍していた織田軍の兵は散り散りになりながら敗走していた。  信長は桶狭間で今川を倒して以降着実に固まりつつある地盤を元に少しずつ領土の拡大を計っていた。  そして現在、隣国、美濃の斎藤龍興を討伐するため兵が派遣されていた。  戦力には信長側が余裕を持っており、この戦いに信長はきていない。 「お前らの好きにはさせんぞ!織田にもそう伝えておけ」  1人の男の声が森に響き渡った。  数で織田軍が上

          秀吉。織田軍敗走

          秀吉とねね

           男は藤吉郎の問いかけに頷いた。  浅野長政は組頭として信長に仕える男で強者として知られていた。 「様はやめてくれよ。今度から君も同じ組頭じゃないか」  地位をかざそうとしない丁寧な態度には彼の人望も見え隠れしている。 「戦も終わったばかりだ。今日は体を休めたほうがいい。ねね、帰ろう」  藤吉郎に手拭いを渡した女、長政の娘ねねは藤吉郎に礼をすると長政の後を追って帰っていった。  藤吉郎のもとには汗のしみた手拭いと微かな良い香りだけが残っていた。 #豊臣秀吉 #歴

          秀吉とねね

          秀吉と浅野長政

          「藤吉郎様、汗をお拭きください」  1人の若い女が藤吉郎に手拭いを差し出した。 「ありがとうございます。綺麗な指をしていますね」 「まぁ、お上手で。あなたの手は小さいけれども鍛えたゴツゴツとしたものね」  藤吉郎の言葉にも忌憚のない返事で堂々としている。  藤吉郎が手拭いで体を拭いていると女の後ろから中年の男が現れた。 「藤吉郎くん、良い戦いだったよ。娘もこのとおりすっかり見惚れたようだよ」  藤吉郎に手拭いを渡した女はこの男の娘のようだ。  だがこの男がただ

          秀吉と浅野長政

          秀吉、きっかけ

          「見事な戦いっぷりであった。これで猿の役職に反対するものはおらんな」  信長が藤吉郎の勝ちを宣告し、戦いは終わった。 「次は勝つ」  勝家は藤吉郎に捨て台詞を吐いて武道場から出ていった。    この勝負は見学していた多くの兵たちが身振り手振り交えて広めたことで城中の話題となった。  そして農民の出で小柄な藤吉郎ではあったが多くの人望を集めるきっかけとなった。  しばらくすると優秀なら人材も藤吉郎の元へとやってくることとなる。 #豊臣秀吉 #歴史 #連載 #戦国時

          秀吉、きっかけ

          秀吉、勝家の戦い

           勝家が飛び込むために後ろに引いている左足に体重を乗せる瞬間を藤吉郎は狙っていた。  飛び込もうという意識が強くなり、守りが甘くなるときだからだ。  すぐに間合いを詰め、藤吉郎は勝家の木刀を自分の木刀の剣先で軽く抑えた。  すると木刀を元の位置に戻そうとする反動で勝家の右手側に少しスキができる。  この瞬間に体を左前に運びながら木刀を勝家の右手首に降ろした。  駆け引きと相手の動きに合わせた観察が勝負を決めた。  藤吉郎は己の体の動き具合の良さを感じていた。  

          秀吉、勝家の戦い

          秀吉、勝家の戦い

          「はじめ」  開始の合図がかかった。  藤吉郎と勝家は木刀を構えながら間合いを測っていく。  体格の勝る勝家は藤吉郎よりも遠い位置から飛び込んで仕掛けることができる。  さらに、そこから鍔迫り合いに持ち込めば力押しで藤吉郎を圧倒できる。  お互いの剣先がぶつかるかぶつからないかのギリギリのところで勝家は左足に力を込めて飛び込む準備をした。  そのとき藤吉郎はほんの少し、剣先が微妙に重なるくらいの間合いまでそっと前に出た。  同時に勝家の剣先を左へと力を加える。

          秀吉、勝家の戦い

          秀吉。勝家2

           この広間では狭いため藤吉郎、勝家、信長、家臣たちは武道場へ移動した。  一斉の移動で関係のない兵たちも興味を惹かれ武道場へと集まった。  2人は木刀を構え、向かい合う。  小柄な藤吉郎と並ぶと勝家の体格の良さが際立つ。 「殿、これではあの藤吉郎が可哀想ではありませんか?」 「大丈夫だ。まあみておけ」  藤吉郎への同情も聞こえ始めていた。  勇将と名高い勝家の戦いを見ようと多くの人が集まっている中家臣の1人が試合開始の合図を出した。   #豊臣秀吉 #歴史 #

          秀吉。勝家2

          秀吉、勝家

          「殿、このものが本当にこの織田軍にふさわしいのか確かめさせてください」  家臣の1人である柴田勝家は信長に藤吉郎の取り立てで異論をだした。 「ふむ、それなら2人で試合稽古をしてみろ」  信長の不意の提案に家臣たちはどよめいた。  武闘派としてしられる勝家を一兵卒な過ぎない藤吉郎と戦わせる。    結果は火を見るよりも明らかなものだと誰もが予想していた。   #豊臣秀吉 #歴史 #連載 #戦国時代 #日本史 

          秀吉、勝家

          秀吉、出世

           あの桶狭間での戦いから2日がたった。  守護大名今川義元討ち死にの報は各地に飛び、信長の知名度は一気に全国へ広まった。  そんなときに藤吉郎は信長より呼び出された。 「失礼します」  藤吉郎は信長と家臣のみが入ることができる部屋に緊張の面持ちで入った。 「よっ、猿。楽にしていいぞ。お前を足軽百人頭に命じる」 「あ、はい。ありがとうございます!」  藤吉郎はついこの間まで雑兵の1人だったが大きな出世をすることになった。  今回の戦への功績はそれだけ大きかった。

          秀吉、出世

          秀吉。桶狭間決着

           戦いが始まり、1時間ほどして義元討ち死にの声が聞こえてきた。  藤吉郎にとって初めての戦だったが戦の最中は戦いに夢中で緊張はなかった。  あっという間だったと感じていた。  敵兵はほとんどが武器を捨て、降伏状態だ、  霧が薄くなってくると敵味方入り混じる死体がはっきり見えてくる。  山の中の清涼な空気も血で染まり、鉄くさい。 「清洲へ帰るぞ!!」  信長が馬上で叫んだ。  5000対30000の戦いはこうして幕を閉じた。 #豊臣秀吉 #歴史 #連載 #戦国

          秀吉。桶狭間決着

          秀吉、戦い

           強襲をかけても義元軍は3万。  勝つには義元の首が必要だった。  軍の最後尾にいる義元へと信長軍は駆けていく。  藤吉郎は慣れない馬ではなく、地に足をつき戦っていた。  そのため馬に乗った武将たちを中心に義元を追いかけるが藤吉郎はその場で敵の対処をしていた。  強者たちはほとんどが馬に乗り戦っている中、同じ歩兵に藤吉郎に及ぶ強さのものはいなかった。 「死ねーー」  藤吉郎の頭に向かい上段から剣を振り下ろされた。    だが藤吉郎は間合いを詰め、相手の剣の唾近く

          秀吉、戦い