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ナレンドラ ダモダルダス モディ नरेन्द्र दामोदरदास मोदी Narendra Damodardas Modi 1950 9 17生 18代インド首相 前グジャラート州首相

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Asia Inside:越境Eコマース――その巨大な可能性 もう一つの巨大マーケット・インド 中国とは違う市場特性見極めて
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毎日アジアビジネス研究所
2020/04/15 08:30 フォローする
中国に匹敵する人口を抱え世界の巨大市場に成長しつつあるインドでも、インターネットやスマートフォンの普及でEコマースが急成長している。しかし「日本ブランド」に人気が集まる中国EC市場とは違い、インドEC市場へは日本企業の参入はほとんど進んでいない。インド市場のマーケティングが専門で、本レポートにもインドに関する連載を掲載している荒木英仁氏に、日本企業のインドEC市場参入の可能性について聞いた。【西尾英之】

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目次
将来は米国抜く可能性
存在しない「日本製品への憧れ」
タッパ、フェイスマスク――ECで人気
ブランド持たない中小企業にも商機
将来は米国抜く可能性
経済産業省のまとめによると、2018年のインドのBtoCのEC市場規模は327億ドル(約3兆5600億円)。世界一の中国の市場規模に比べれば、まだ成長途上だ。しかし、低価格の中国ブランドのスマートフォンの普及や通信料金の引き下げで、中・低所得層にもスマホが爆発的に普及。弱点だった配送サービスも改善されつつある。EC市場が今後、右肩上がりで急成長していくのは間違いない状況だ。

インド商務省などが設立したインド・ブランド・エクイティ基金(IBEF)は、インドEC市場は22年に1500億ドル規模にまで拡大し、34年までには米国を抜いて中国に次ぐ世界2位の市場になると予想している。

巨大化していくインドEC市場は日本企業にとっても魅力的だ。だが、荒木氏は「インドは、『日本製品』というだけで売れる市場ではない」と釘を刺す。

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通勤時間帯の首都デリーの地下鉄の車内。乗客のほとんどがスマートフォンを操作している光景は日本と変わらない=西尾英之撮影

存在しない「日本製品への憧れ」
日本など東アジアよりも欧州、米国に目が向きがちのインド人には、日本企業がアジアで頼る「日本ブランドへの憧れ」がほとんどない。「日本製品は故障しない」といった前向きのイメージはあるが、消費者は日本ブランドだというだけで飛び付くことはなく、自国や他国の製品と価格や商品の機能などを吟味して購入する。

実際、インド自動車市場で大きなシェアを持つ「スズキ」など一部を除けば、日本の大手ブランドでインドで大きな成功を収めている企業はほとんどない。「日本製品は他国製に比べ高い」とのイメージもあるが、荒木氏は「同程度の機能を持つ製品であれば日本ブランドも他国ブランドも、それほど価格は変わらない。売れないのはむしろ、マーケティング力やインド市場にあわせた商品の開発力が、日本企業に不足していたことが原因」と指摘する。

荒木氏がインド市場に関わり始めた2000年代前半は、ちょうど家電製品市場で韓国のサムスンやLGが急伸し、古くから参入していた日本ブランドはシェアを失っていく時期だった。荒木氏はインド向け商品の開発で日本が韓国にかなわなかったケースとして、次のような例を挙げる。

日本メーカーの全自動洗濯機は、途中で停電があれば設定した洗濯の内容がリセットされる。安全面での配慮などが理由とみられるが、停電が多いインドではそのたびに最初から洗濯のやり直しを強いられた。

これに対し韓国メーカーは地元の電力事情に配慮し、途中で電源が切れても設定がリセットされず、電源回復後に途中から洗濯が再開される商品を投入した。

毎日のように停電に悩まされるインドで洗濯機を使った経験のある人ならば、この違いの意味がわかるはずだ。日本メーカーの中には、それから10年近く経ってから同様の機能を搭載した全自動洗濯機を投入した企業もあるが、市場は韓国ブランドに席巻された後だった。

「韓国メーカーは日本企業の10倍のマーケティング費用をつぎ込み、コマーシャルにはクリケットやボリウッド(ムンバイで製作されるインド映画)の一流スターを投入した。日本企業の広告は広大なインドで砂漠に水をまく程度。インド市場は大きすぎて、日本のトップ企業でも体力的にきつい面もある」。大手広告代理店出身の荒木氏はそう語る。

タッパ、フェイスマスク――ECで人気
大手企業にとっても難しいインド市場。足場のない中小企業が参入するのは極めて困難だが、Eコマースであれば、中小企業でも参入が可能だ。

荒木氏は地元サプライヤーと提携し、同社に日本の中小企業を取り次ぐサービスを行っている。「フィリップカート」「アマゾン」などインドの大手ECで様々な便利商品を中心に販売している「イーグル・ネットワーク・サプライ」社。日本企業はフィジビリティ調査で可能性のある商品を選び、トライアルとしてサンプル商品を同社に送ると、EC上で販売ができる。

この販売でヒットの兆しを見せているのは、大阪にある生活用品会社が製造販売している、食品タッパなどのプラスチック用品だ。日本では100円ショップなどで売られているタッパだが、インドでは粗悪品が出回っており、2回使ったら蓋が閉まらなくなるともいわれる。

あるいは、日本のドラッグストアで売られている肌に潤いを与えるフェイスマスクや、肌を白くするクリームなど。中国では日本のブランド化粧品が人気だが、荒木氏は「インド人は自身をアジア人というよりはアーリア人で欧米系に近いと考えており、日本の化粧品に対する憧れがない。美容関連ならば化粧品本体ではなく、欧米にはない、アジアならではの健康便利商品」という。

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インドのアマゾンで人気を集めている、

大阪市のメーカーのプラスチック製品=アマゾンのサイトから

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ブランド持たない中小企業にも商機
「日本ブランド」が大きな意味を持つ中国市場に対し、日本の認知度が低いインドでは、日本ブランドは必ずしも必要ではない。その意味では、世界に知られたブランドを持たない中小企業でも、インドで成功するチャンスがある。

EC市場で製品が売れ始めれば、どの層の人たちが買っているかを把握でき、その人たちがよく閲覧するウェブサイトやフェイスブックに広告を打つこともできる。コストをかけなくてもマーケティングが容易という、オンラインビジネス特有の利点が活用できるようになる。

「企業は少しの間、我慢が必要だが、売れ始めれば巨大市場。他と差別化できる自社製品で、インドEC市場にエントリーしてほしい」。荒木氏はそう語る。

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■荒木英仁(あらき・ひでひと)
長年、大手広告代理店「アサツー・ディ・ケィ」(ADK)の海外事業に従事し、2005年から9年間、同社インド法人社長。14年春、インドと日本の架け橋となるべくデリー郊外の新興都市グルガオンにてCasa BlankaConsultingを設立。在印又はインド進出計画策定中の日系企業20数社、インド最大手の私銀のICICI Bankを始めとするインド企業10数社に対するアドバイザリー業務を請負う。また、在印日系企業4社の社外取締役や、JETROROの「中小企業海外展開現地支援プラットフォーム」のムンバイ・コーディネーターを務める。

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