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神保町フィールドオブビュー(路上観察

1、まだカフェで消耗してるの?

 神保町にフィールドオブビューくらい突然行きたくなったのでTLをネタでがんがん荒らす。っていうのは、忙しくてここも読む気配なさそうな高下(koge)さんのパクりだし、行きたくなったワケはエデン難波イカ子さんのツイを見てしまったせいだし、他人に左右されがちな人生だ。

 いつもは時系列で紹介していくのだが、上記だけ単発でドーン。

 メロンパン屋さんの上6Fにあるだけでメロンパン屋さんはこれといって関係ないのにメロンパン屋さんってことばのほうが強く目に飛び込んでくるコワーキングスペースが「イケダハヤト」さんの書籍『まだ東京で消耗しているの?環境を変えるだけで人生はうまくいく』(幻冬舎新書)っぽい煽り文句の看板を立てていたのでおもわずご本人アット付きでツイートしたら、引用RTをいただいた。フォロー外のひとにもフレンドリーなんだな。

2、嫌みをいうと贅肉がつく

 Q,嫌みったらしいツイートをするほう?
 A,ふつうに「Say Yes」

 婦人科の定期健診があり約4kgふえた体重に目を疑った。いや、セーブしていた頃と比べると6kg増だ。渋谷の女になって自宅~駅までランニング、長時間うごく系の業務でたしかに空腹度はアップした。たべすぎだろうか。ふと、嫌みなツイートをしたぶんだけ脂肪がふくらむシステムなんじゃないかとおもいたち、「そりゃ太るわ」と納得した。でも、アンチ嫌みな生活をしたら今度はむくみにむくみ果てるんじゃないか?とおもう。……そうか、なにをしたって贅肉は育つんだ。たのしくはしゃごう。女ボディビルダーになる日を夢みよう。

3、亀風呂と砂痩せ

 JR亀有駅が最寄りなので高架下とかしょっちゅうふらふらしているわりに、『角えび』がソープランドという事実をきょう知った。料亭かな、と雑におもい込んでいたのでまさかの亀!亀!亀!いやらしい。

 そのまんまなんだけど、JR常磐線 亀有駅から1つ先が千代田線 綾瀬駅である。両駅のあいだをわざわざ歩く人ってあんまりいない。まさか、山崎製パンが100%出資するベーカリーカフェ『ヴィ・ド・フランス』直売店があるとはおもわないよなあ。まさにここで作ってまーす、ほんとに作り立てをだしてまーす、という店ときく。

 あたまが「痩身」でいっぱいだったので「砂痩せ」にしか見えなくなる。きっと、サウナ状の蒸しアツい砂風呂で発汗を促すところがあるんじゃないか、と……。ぜんぜんちがったけどSUNとAYASEのあいだに隙間がないのもかなりずるい。

4、駅でもツンドクする神保町

 神保町駅のホームからして「本の街」ってかんじだ。「古書店街」というざっくりしたフレーズを案内板に載せるのも、おもいきっているんじゃないか。でも、通じる。そこをめざす人がいるから。ジモトぶらぶらマガジン『サンポー』で書いた「サザエさんの街・桜新町」ではこれが桜イメージになっているんだよな。

 神保町駅の構内にある女性トイレ、用を足すときこどもが誤ってとびらを開けてしまわないよう『イタズラ防止の内鍵』があってびっくりした。巨大ショッピングモールでもこんなの見ないよな?と。

 鍵垢のフレが回答リプをくれた。『あの悲劇よサヨウナラ!全ママが感謝する「トイレのあの悲劇防止鍵」がナイスアイデア』を読んでほしい。

5、誤変換するFFXIV脳

 『タイ屋台料理ティーヌン』という字面が目に入ってすぐ、今は長期休眠中のMMORPG『FINAL FANTASY XIV』に登場する妖精王「ティターニア」に誤変換されてしまった。かつてじぶんが見たもの、都合のいいスペルになるのはよくあるが、半引退状態のオンゲネタが出てくるとは……。

 おむつバーや、陰毛バトルバーをひらくとものかつみさんが新宿の系列店『カオサン』がめちゃよかったと教えてくれたので、せっかくだしわたしは神保町『ティーヌン』をのぞいてみることにした。

 わたしがおじゃましたときは店内お客さんゼロだったのだけど、メニューを注文して食べはじめたあたりからソロでぼちぼちやってきていつのまにか混んでいた。

 日替わり屋台飯&ガパオのBセット1,030円(税込み)、ほんと曜日ごとのお品をすべて試したくなってる……。すごく満足するのに満腹すぎて苦しくならない、というのがわたし的に好感度が高い。すべて平らげてウッ……となるほど強ボリュームだと味が舌に残らなかったりするのだ。胃が大きくなってるのかもなあ。

6、コレクションケース神保町ビル

 ビル名に目がいく。すんごい名称だなとおもいつつ立ち去ろうとしたら、「3F柚子堂・切手」、「2F葛籠屋・コイン/古ハガキ/古本/カード/アンティーク/コレクション類全般」とあって、なるほど、と。もう店名より先にそれっぽいジャンルをビル名にしちゃって「あ、ここ!」と覚えさせるほうがいいかもしれない。いや、通はちゃんと店名を記憶するだろうけど。

 高円寺の阿波踊りとか行ってると、この手の路上の貼り紙が「個人の場所取り合戦」の道具に見えてくる。なんの効力もないはずのズル行為なんだけど、ここまでされてるところを荒らしたくない、ヤバい人がでてきそう、というパーティ弱者の先入観があって近寄りたくなくなるという……。ってか実際これどっかの店の壁から剥がれ落ちたものだろうけど。あとで来たら、なくなってた。

 歩いてるとわかるんだけど、「すみません。」って青い文字だけが視界に入ってきて「えっ、なに」ってなる。伝えたいことは切実なお願いで、言葉使いも丁寧なのだが、バックにある壁の男がこちらに拳銃をつきつけてるのですごくシュール。

7、ぼくらはみんなイリーガル

 「ぼくらはみんなイリーガル/移民の無期限収容ヤメロ」という貼り紙、神保町じゃなくても見かけたことがあったかも。念のためいうが、公のモノにシールやステッカー類をべたべた貼るのは禁止行為なのでやっちゃダメ。絶対!である。……とかいいつつ「恰好いいのないかな」ってどの街を歩いていても気になっちゃうけどね~。

8、小説「チをつまむ」

 『蛇を踏む』(川上弘美の短編小説)くらいのノリで『チをつまむ』って小説があってもタイトル的にはおかしくない世の中である。どうしてこんなイラストにしたんだろ?って考えたら、サンドウィッチはなにかをなにかで挟んであるからか……。味のある指だよね、中学校の美術でめっちゃうまい子が描くやつみたい。

 で、このひとが小説『チをつまむ』に登場する狸のおかみさん。けっして正体をあかさぬよう髪を結い着物を身にまとい、雨ニモマケズ風ニモマケズ雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ丈夫ナカラダヲモッているのが特徴。

 小説家は丼ぶり一杯の「蟹らーめん」がすきで、〆切前はよくここで腹ごしらえをしている。ひまさえあれば、Twitterで「カニ」とツイートするのが日課だ。たいてい「エビ」とリプされている。

 小説『チをつまむ』の作家B氏は、編集者にたびたび進捗をきかれるのがわかっていて声をかけないでほしい時間帯は玄関先に「ギヴアップ中」看板をそっと立てかけておく。賢いやり方だ。目立つのにスルーしておいてあげたくなる。

 狸のおかみさんが心待ちにしている浪人傘の男は、実はときどき店の近くまで女のようすをうかがいにきている。ほんとうは会ってやりたい。いてもたってもいられない心境が、雁字搦めの姿にあらわれている。通称・縛りの線次郎と呼ばれるお尋ね者だ。

 これは、狸のおかみが縛りの線次郎に向けてだしている暗号である。人間からすれば書いてあることは「食事券で買い物できます。」一目瞭然だが、どうやらタヌキ語がまぎれているようだ。ほんとうの意味は、ヒトとタヌキの子である線次郎になら解ける。なお、右下に示されたスポットは、ふたりの密会の場であると推測される。

 縛りの線次郎があの浪人傘をはずせないワケは、神保町の秘宝とされる「ガチャガチャの泉」のありかを知っているからである。身柄を拘束されたら、拷問を受け、このすばらしいどうぶつたちをケースから全放出しろ!と命令るだろう。そんな危険なまねをしてはならない。1匹解放するために、いったいいくらかかるとおもってるんだ。そこは踏ん張るんだ、狸のおかみの名にかけて。

 夜になると神保町のとある路地で、「野菜をごそっと集めて作ったような大男」がズンズン闊歩しはじめるらしい。噂ばかりで真相は不明。もしも、縛りの線次郎がこのナゾをひとりで突き止めたら、過去の罪をすべて流してもらえるかもしれない。

 ぜんぶおもいつきで辻褄がこんがらがってる小説『チをつまむ』、実写化されたらビデオ録画してダビングしてオリジナルテープの爪は深くカチッと折っておくんだ。

 と、いうわけで帰ろうね。きょうもよく歩いた。