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【読書】Think right シンク・ライト

 本書では「思考の落とし穴」という言葉を用いているが、これは、「合理的に考えたり、論理的で理性的な行動をとろうとしたりするときに、一定の法則にしたがって陥る推論の誤りのこと」である。

 Thinkシリーズの新作でありますが、本書は著者のThink clearlyの前の著書の改題加筆修正版です。そういう意味で、これが本来のThinkシリーズの1巻にあたるとも言えます。
 この本がヒットしたおかげで後に続くThinkシリーズが誕生したわけです。なので本書は前のThink clearlyとThink Smartよりも読みやすく興味深い内容が豊富に詰め込まれています。
 本書のテーマは「思考の落とし穴」です。これは頭のいい人やその道の専門家ですら、人間の脳である以上、どうしても陥ってしまう思考のミスを集めたものです。ある意味、Thinkシリーズで一番皮肉っぽい内容とも言えますが、読んでいて思考の錯覚ばかりが書かれているので読み出すと止まらないほど面白い内容になっています。
 例えば「脂肪分99%カットの肉」と「脂肪分1%の肉」では、同じ肉であるのに被験者は脂肪が99%カットされた肉のほうが健康にいいと評価しました。さらに続けて「脂肪分98%カット」と「脂肪分1%」を選んでもらったときも脂肪が2倍含まれている98%カット肉のほうが健康にいいと評価しました。こういった聞こえをよくする表現を「フレーミング」の手法だと説明しています。
 他にも希少性の錯覚では、クッキーを箱ごともらった「グループA」とクッキーを2枚しかもらえなかった「グループB」では、2枚しかもらえなかった「グループB」の被験者のほうが、クッキーの質をはるかに高く評価しました。しかも何度繰り返しても同じ結果が出たそうです。
 さらに他の実験では、学生たちに10枚のポスターを好みの順に並べてもらい、並べ終わってから「3番目にいいと評価したポスターは、ここにあるのが『最後の一枚』で二度と手に入らない」と告げ、もう一度並べてもらうと、最後の一枚と言われたポスターは前回より順位が上がりました。この現象を心理学では「リアクタンス」と呼び、手に入れることができなくなった選択肢が以前より魅力的に思えてしまう現象だそうです。これは「ロミオとジュリエット効果」という呼ばれ方もしています。
 サンクコストの罠も紹介されています。サンクコストは回収できない費用を意味し、例えばお金を払ってしまった映画をつまらなくても最後まで観なければならないと思ったり、浮気症の恋人と別れられないのは、その恋人に費やした時間やお金やエネルギーが惜しくて別れられないという状態のことです。今では無料アプリゲームなどもサンクコストの罠ですね。課金をしなくても投資した時間が惜しくてやめられず、ましてや課金してしまうとサンクコストが膨れ上がり完全にやめられなくなります。
 コントラストの罠などは、日常的に誰もがハマっている罠の一つでしょう。新車購入価格の600万円に対してオプションで30万円が大した額に思えなかったり、食料品やガソリン価格などで1,000円節約するためなら10分間移動する人も、9万9,900円のスーツと同じ物が1,000円安く他の店で売っていても10分移動しようとは思いません。そんなこと経験ありませんか?さらに「1万円から7,000円に値引きされた商品」は「常に7,000円で売られている商品」よりも買うと得をするように感じられます。まさに日常的に体験しているコントラストの罠です。
 社会的証明の罠とは、大勢の人が空を見上げたらあなたも空を見上げてしまう、コンサートで演奏を終えた時に一人が拍手を始めると会場全体が拍手喝采になったりする現象を「社会的証明」の原理が働いたといいます。これは身近な現象で、株式市場のバブルやファッションの流行、マネジメントテクニック、余暇の過ごし方、宗教、ダイエットなど流行りと言われるものは大体が社会的証明の原理です。
 このように本書の一部の「思考の落とし穴」だけでもあるあると思う心理状態や行動を紹介しています。しかもそれがとても読みやすくわかりやすい例を挙げて。
 Thinkシリーズ最新作にして、原点である「Think right」はとても面白いのでオススメです。それにこの思考の落とし穴を知ることでこれからの人生をよりよい選択をして生きていけます。オススメです。


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