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【読書】〈女子大生会計士の事件簿〉世界一やさしい会計の本です

 この本は、会計的センスを身につけるためのトレーニング本です。

 本書は、タイトル通り「世界一やさしい会計の本です」を徹底した内容になっています。著者は、会計という分野の中に、決算書があり、その中に簿記があると定義しています。そのために会計という概念を理解しないまま、いきなり決算書や簿記を学ぼうとしてもつまづいてしまう、勉強を途中でやめてしまうのだとしています。
 そこで本書はまず会計をできるだけわかりやすく説明して、その流れで決算書の説明に入っていきます。簿記に関しては前にこのnoteの【読書】で取り上げた「世界一感動する会計の本です」で著者がこちらでもやさしく説明しています。ちなみに「世界一感動する会計の本です」はこちらを読まなくても問題なく読めるので対になっている本ですが、続編というわけではありませんでした。どちらも別個の会計本として読めます。「世界一感動〜」は簿記から財務諸表の書き方の本で、本書は決算書をくわしく理解するための本になっています。
 そして、「世界一感動〜」は女子大生会計士のセミナーで会計士試験に不合格だった青年に渡された会計の寓話を通じて簿記を学ぶのに対して、本書はタイトル通りに〈女子大生会計士の事件簿〉として会計事件小説が載っています。
 まず本書では、決算書を4つの箱に簡略化します。その箱には水、木、火、金が入っています。
 水は気を育てるための水源、木は家を建てたり燃やすための財産、火は木を燃やしてエネルギーを生み出すもとになるもの、金は火のエネルギーによって生み出された金属、というイメージです。
 著者はすべての決算書はこの4つの箱からできていると言います。
 どういうことかと言いますと、水は「資金源」、木は「資産・財産」、火は「費用・出費」、金は「収益・売上」、そして火が生み出すエネルギーは「利益」を表しています。本書はこの4つの水、木、火、金が描かれた箱が常に登場します。読者にこの水→木→火→金→水のイメージを持ってもらうためですが、この視覚的なイメージは読んでいくと非常に理解の助けになります。
 ちょっとこどもの絵本っぽいとか小学生の教科書のように見えてしまいがちですが、決算書の解説本は文字と表と数式にだけになりがちなので、これは理解するのにいいアプローチだと思いました。
 そしてこの4つの箱を使い、数字も木箱(資産)を10や火箱(費用)を1など計算しやすい数字で表現され、ぱっと見ただけで利益なども計算しやすくなっています。

 利益を出すための公式「金(収益)ー火(費用)=エネルギー(利益)」

 こんな感じで説明されていきます。例題でも、

 金(収益)10ー火(費用)1=エネルギー(利益)9

 とこんなわかりやすい数字から始まっていきます。こんなレベルはもう理解してるし、10だの9だの小学生の算数レベルだと思われるかもしれませんが、本書の最後の方ではしっかりトヨタ自動車の実際の決算書を使用して説明をしているので、段階を追ってちゃんと決算書が読めるように、さらに分析できるように丁寧に説明されています。途中の説明では単位を兆円にすることで、トヨタ、ホンダ、日産の決算をこの4つの箱に21や13やら8などのわかりやすい数字で表現していたりします。単位を変えてしまえば、どんな大きな数字に見えても平易な数字に置き換えることができるものです。
 4つの箱の他にも会計的センスを身につけるコツとして著者は、

「割り算」を使う
「大きな数字」に着目する
「お金の回転」をイメージする

 の三つを挙げています。この三つも本書の中では何度も注意するように書かれています。特に割り算に関しては、決算書は仕方ないのですが、何度も何度も出てきます。決算書の分析に必要な〜率という言葉はいくつもありますし、それらはみんな割り算によって導き出されるものですから。

 自己資本比率・・・会社の安全性(つぶれない力)がわかる。
 純資産 ÷ 資金源 = 自己資本比率
 総資本利益率(ROA:rate of return on asset)・・・会社の収益性(儲ける力)がわかる
 利益 ÷ 資産 = 総資本利益率
 売上高増加率(増収率)・・・会社の成長性(伸びる力)がわかる
(今年の売上高 − 去年の売上高) ÷ 去年の売上高 = 売上高増加率

 決算書の3大指標として上の〜率も説明されています。
 それからリストラも会計的には4段階あるとして、

 財務リストラ
 資産リストラ
 費用削減
 売上拡大

 の4段階を一つずつ説明されてます。
 それから貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書などの財務諸表の解説もあり、必要最低限の会計用語の説明もあるので、入門書かつ最低限の知識は網羅してる内容となっています。会社の決算書を読むくらいならこの本だけでも十分だと感じる内容でした。
 そんなわけで確かに「世界一やさしい会計の本です」し、著者がこだわった「最後まで読み終えられる会計の本」となっています。会計の勉強を始めたり、会社の決算書を読みたい人や、今まで会計の本を読み終えることができなかった人はぜひ本書をオススメします。


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自己啓発書やビジネス書の著者は海外の有名大学の教授やビジネスで実際成功された方です。教授であれば研究に、ビジネス成功者であれば経験に基づいて書かれています。そういった最新の研究や経験を著者を通して知る事ができる本です。 私の感想から、あなたの人生や価値観を開く本と出会える手助けになれれば思います。

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