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HiRO(break a school)&いまきん(imakinn records)インタビュー 後編

まえがき

まず、前回の前編を読んでくださった方ありがとうございます。前編は主に2人の紹介と音楽遍歴、そしてMATSURIというイベントを手がけるHiROを中心にお送りしてMATSURI直前に公開したのですが、今年のMATSURIもとても素晴らしい日になった一方、twitterで目にした人も多いと思いますが今まで以上に多くの問題点も出てきた結果になりました。詳しい内容は主催者であるHiROや出演者であり八王子での会場スタッフも務めるTHE WELL WELLS奥氏の該当ツイートを見ていただきたいんですが、主な内容としては会場付近での溜まりとゴミ、注意しても改善されない状況、ドリンクの持ち込みなど毎年恒例の問題がひどすぎたという点。それについて多くは語りませんが個人的に思ったことがあるので印象深いシーンを紹介します。

イベントも終盤に差し掛かった時間に出番を迎えたkillerpass。ヒロへの敬意や感謝をいつも通りのいい事言ってんだか何を言いたいんだかはっきりしないもどかしさと共に話し、終盤にはこんなことをVo.のハヤシックが言っていた。

「コンビニの前でやたら溜まってたり、そこら辺にゴミをポイ捨てしたり。そんなことをしてヒロさんを困らせるやつがいるなら、僕は誰がなんと言おうともヒロさんの為に悪になりますよ。見つけ次第そんなやつぶん殴ってやります」

そんなMCをしてなんとなくそれまでの朗らかな空気でもなくなり、ちょっとだけ間が空いたので

「いや、そういう気持ちってだけで実際僕みたいな人間はそんなことできっこないですけどね」

と苦笑いするハヤシック。

しかし、カズキックが気迫のこもった顔でその空気を遮断するように

「(なら代わりに)おれがぶん殴ります」

と言い切ると同時にドラムを爆裂に響かせ曲が始まる。

確か「レイシズム」だったと思うんだよな。

その瞬間一気に心を掴まれたのが自分自身で分かったし、やっぱりキラーパスってそういうバンドだなって思ったし、キラーパスに感動するのもなんか悔しくなってずるいと思った。大事なことをちゃんと言っていたバンドがあの場所に確かにいたんだよ。


その時に彼らが今回の問題がそこまで深刻になっていたかを知っていたかどうかはわからないけど、自分はすべてのイベントが終わった翌日に今回の問題がとても深刻だっていうことを知ったので、なおさら思い返すとキラーパスのアクションが響いた。

パンクが好きだっていう人たちは自分も含めなんだかんだクズみたいな人ばかりだと思ってるけど(偏見)、人として肝心なところは愛おしくなるくらい意外と備わっていると勝手に思っている。

だからこそ今回の問題は深刻だったのだと思っているんだ。みんな完璧じゃないし、いつもいつも前もって自分の行動を律することは簡単じゃないし、お酒も入って気を抜いてしまっていることもあると思う。それでも知っている顔同士で注意されたらわかるでしょ。言っていることの先にある理由を考えればわかるでしょ。困る相手の顔が浮かんだら改められるでしょ。そんな気持ちです。自分も今後も気をつけたいと思います。

後編スタート

個人でレーベルを始動し、海外バンドと交流しリリースや日本への招致、奄美大島で企画を行ういまきんと、50近いバンドが出演するMATSURIを毎年開催し、その他にも出演者ではなく主催者とその個人企画ごと全国に持って行きツアーをするなどライブハウスに住みつくダイブマンの異名を持つHiROのインタビュー対談。今回はいまきんのレーベル話を中心に、最後には結局アツい思いがついつい溢れてしまった後編をお送りします。前編と合わせて読んでいただけると嬉しいです。長いですがお付き合いください!

(前編の続きから)

imakinn recordsが気づいたら始動していた理由

ヒロ:ていうかおれここまでずっとライブのことしか話してない(笑)!

一同:(笑)

ヒ:まぁ自分でもこうなるのはわかってたけどね(笑)。

こら(笑)!普段なら伝えきれないことを話してくれるのは単純に嬉しんだけどね。でもさすがに一人だけ喋ってても困るからいまきんにも話を聞いていこう。レーベルのこと聞かせて欲しいと思ってるんだけど、どうやってスタートしたの?今のところリリース済みの物も含めて4タイトルが発表されているけど。

ir01 - OFFICE VOIDS / OFFICE VOIDS (7inch) in stock.

ir02 - WE INSIST! / DEEPEN YOUR BURROW (CD) in stock.

ir03 - OSWEGO / OSWEGO (CD) coming soon...

ir04 - elica / reward (CD) in stock.

imakinnrecords.blogspot.jp

いまきん:はい。バンドがストップした時は、おれがTonguesを抜けたいって言ったから一旦止まったのね。そうは言ったものの音楽は相変わらず好きだから困ったなと思ってた。周りにかっこいいバンドもいっぱいいるなって実感してたから。そんなことを思っている中で自分が一番欲しい音源ってなんだろうなって考えたら頭に浮かんだのがOFFICE VOIDS。彼らの7インチなんてあったら最高だろうなって素直に思ったんだよ。何も考えずにそれをメンバーに勢いで伝えたら「ちょうどレコーディングしようと思ってたんだ」って答えが返ってきたから、「自分もなにかやりたいっす!」ってレーベルをやるとかそういうこと関係なしに、気づいたら動き始めてた。OFFICE VOIDSは初ライブの頃から付き合いもあるし、自分にとって大事な場面でいつも力を貸してくれていたり見ていてくれた存在。さっきまでのヒロくんみたいに、ユウマさん(OFFICE VOIDS/POSTER/ENDLESS HOMEWORK)のことを語り尽くしたいくらい一言じゃ語りきれない昔からの付き合いなんです(笑)。そんな話から時間は経っちゃったけど、レコーディング・MIXは板ちゃん(V/ACATION / DIEGO/Tongues)にやってもらってすごく良いものが今回できたと思ってます。記念すべきレーベル第1弾です。嬉しいですね。

(数年前だけど今作収録の曲ももちろんやってます。個人的に最近のリリースの中で断トツに聴いているのがOFFICE VOIDSの新作)

い:フランスのWE INSIST!は向こうではアルバムもかなり出しててベテランのプログレポストハードコアみたいな存在。日本でツアーをするってことですぐに紹介できるように編集盤をリリースしたり、ツアーのサポートをしました。2015年の11月頃かな。あれもすごく貴重な経験になったなー!

い:OSWEGOに関しても同じ感覚なんだけど、「こんなにかっこいいバンドなのになんで気軽に手に入らないんだ」ってことが大きいね。スペインのレーベルからしかリリースが無くて、日本でも好きな人がたくさんいるはずなのにもったいないと思ったからそのレーベルにコンタクトしてメンバーを辿っていった。その結果「是非出そうよ!」ってことになったんだけどそれが2年くらい前から少しずつ完成に向かっている感じかな・・・(笑)。J・ロビンス(Fugaziのイアン・マッケイとともにワシントンD.C.のハードコア・パンク・シーンに貢献 してきたJawbox, Burning Airlines などのポストコア・バンドのギター/ヴォーカル。数々の作品でプロデューサー、エンジニアとして活躍。日本ではLITEやNAHT、REACHなどの作品にも参加)にリマスタリングをお願いして、未発表曲も入れてファンには満足してもらえる仕上がりにはなっていると思うんだけどね。今回LPはドイツのarctic rodeo recordingsから先に発売してしまったんだけど、CDはCDで、完全仕様にしてお届けできると思うので申し訳ないですが待っててもらえると嬉しいです。彼らのバンドヒストリーやコンセプトにも迫ったインタビューを竹野内さん(capofteka,ex-nine days wonder)、デザインを譲太さん(STEINSKI代表,PNB,THE DOUBLE)にお願いしているので納得してもらえる出来になると思います。

「CDはまだですか?」っていう問い合わせに泣く日々みたいだもんね(笑)。

い:ほんとあとちょっとなんです(泣)!次のリリースのelicaは元々マツモトくん(V/ACATION / DIEGO)の大学の先輩っていうことで知って、DISCHORDもサンディエゴ周辺(激情やポストハードコアのシーンが盛ん)の音楽も大好きだったから「こんなバンドが日本にいるんだ!」ってまず思ったね。過去にTonguesで対バンをしてもらったこともあって、WE INSIST!を呼んだときにelicaのメンバーが現在やっているtranquil lifeっていうバンドに出てもらったり、tranquil lifeの企画に今自分がやっている2 sick worryを誘ってもらったりしたんです。そんな時に2014年のライブを最後に事実上の活動休止になっていたelicaの2ndアルバムがリリースされないままの状態だったから、「最近レーベル始めたらしいじゃん。elicaの2ndとかどうですか?」 ってありがたい話を頂いちゃって。「むしろうちでいいんですか?」って気持ちでいっぱいだったけどやらせてもらえるなら最高のものを世に出そうと頑張りましたよ!


https://elica.bandcamp.com/album/reward

ヒ:めちゃくちゃいい話だな~!

ね!今後はimakinn recordsはどういうレーベルにしていきたいとか展望はあるの?

い:それよく聞かれるんだけど、実際は全然そんなこと言ってるどころじゃなくて。どういうバンド出したいとか考えている余裕が今は全くなくてね。だからって自分の知らないバンドとか有名なバンドをどんどん出したいって考えはないんだけど。本当に自分の身の周りのかっこいいバンドや自分の好きな音楽を出して少しでも知ってもらえたり喜んでもらえたらいいかな。そもそも一大決心して意気込んで「よーし!レーベルやるぞ!」って始めたものでもないから(笑)。たまに自身で企画とかもやったりするけどそもそも自分がそういう器の人間だとも思ってないからね。

そこら辺は前回も話してた今の自分のペースでの音楽との付き合い方ってことでもあるのかな。「あのバンド売ってやるぜ!」って前のめりになるわけではなく、自分なりに好きなもの縁があってお世話になったものたちを、好きな人に納得してもらえるような形で出していきたいと。

い:そうかもしれない。今は自分に出来ることを精一杯やりたい。そういう気分です。

その中で他の人があまりやってないことで言えば、去年から奄美大島で企画をやり始めたよね。あれってきっかけはなんだったの?

い:あれは、WE INSIST!のツアーをfacebookで告知した時に高校の同級生がいいねしてくれて、それをその同級生のお兄ちゃんが見て、「お前の友達、海外からバンド呼ぶとかなんかおもしろそうなことやってんな!」って盛り上がったらしく、そのお兄ちゃんから急に電話があったんだよね。「おれ今奄美に住んでるんだけど、なんかおもしろそうだから今度かっこいいバンドいっぱい連れてきてよ!」って(笑)。

ヒ:なんだその話!最高じゃん(笑)!

い:ヤバイよね。聞くところによるとちょうど専門の同級生とかの縁でNew Action!にも奄美に誘おうと声をかけるタイミングだったらしくて、DJとバンドを東京から引き連れて共同企画をやることになったわけ。

なるほど。いまきんとNew Action!がなんで一緒にやるんだろう?って思ってたから。そういうことだったのか。

い:そうそう、全然個人的な関わりはなかったんだよ。そうなったらそんな話つまんなくなるわけないだろと思ったし、おれがおもしろいって思った時点でその試みに賛同してくれた友達が周りにいてくれたのも嬉しかった。はじめから狙っておもしろいことを作ろうとしたんじゃなくて、ただ楽しいことを追って行動してたら、そこに友達が「おもしろそうじゃん」って集まったからこそ、現地の人も含め最高の時間が過ごせたんだと思う。めちゃくちゃ楽しかったもんなー奄美。それで現地のバンドとも仲良くなって間髪入れずに今年も奄美で2回目の企画をやりました。12月の終わりにも中国からChinese Football(バンド名のアメフトからの引用からもわかるように、良質な”エモさ”の条件を備えた優れたインディーロック、ポストロックバンド)を呼んで国内ツアーをするんだけど、そこに奄美のバンド「THE NRUKURI(ザ・ンヌクリ)」にも出てもらいます。恩返しじゃないけど奄美であんなに楽しく遊ばせてもらったから、こっちでも一緒に遊べたら最高だなって思ったからね。まず1番初めに彼らに声をかけたんだけど「行きたい行きたい!」て承諾してくれた。ンヌクリのみんなも楽しみにしてるかもしれないけど、「言っておくけどこっちの方が楽しみにしてますから!」って感じです。


先日のスケボーパークでのライブでソロを披露するChinese Footballの徐波と緊張の面持ちのいまきん

いや~なんかいい話聞いちゃったな。ね、ヒロさん。

ヒ:人のいい話はね、いくら聞いてもいい・・・☆◆※@ムニャムニャ・・・

成功にもいろいろあるけど、そこにいる主催者がつまんなそうな顔してたら、いい日は作れない

ちょっと放っておいたらいい気分になっちゃってる(笑)。ほらほら、まだ出番あるよ。あなたもツアーしたでしょ!break a school ツアー。その話聞かせてよ。

ヒ:ん、なんで始めたかってこと?

そうそう。だってバンドじゃなくて主催者がツアー回るなんてなかなかないことじゃん。それとやってみてどうだったかも直接聞きたいし。

ヒ:はいはい。えーっと、今年の6月の頭から1ヶ月かけて全国回ったんだけど、きっかけは酒田HOPEで2015年にやった自分の企画break a school が大きいよ。前回企画を始めた頃の話をしたと思うんだけど、それからこれまで都内近郊ではずっと企画を行ってきた。で、その自分の個人企画をその時初めて地方で行ったんだよね。

当時の様子がよくわかるFRIDAYZのblogその1 http://blog.livedoor.jp/report56/archives/51977926.html

ヒ:酒田HOPEはflavorっていうライブハウスが無くなるっていうのをFRIDAYZのVo.ケンタが引き継いで規模も段々と自分の手で大きくして整えてきたハコ。毎年数回は必ず酒田を訪れてたし、その間も自分は連絡を取り合う仲だったから色々と相談も受けたし、時には楽しいことだけじゃなくて「辛そうだな大変だな」って思うこともたくさんあったんだよ。そんな時に自分が何か出来ることってないかなって考えたらイベントをやることしかなかったから、あいつを元気づけるってわけじゃないけど、一緒に楽しいことができたらいいなって思って行動した。あの場所ってケンタ一人で作ったって言っても過言じゃない空間で、日本中回ってもなかなかあんな場所はないし、たぶん行った人じゃないと、こう言ってる意味もなかなかわからないと思うんだけどとにかく特別な場所なんだよ。

当時の様子がよくわかるFRIDAYZのblog その2http://blog.livedoor.jp/report56/archives/51732068.html

い:人柄もそうだけど、接してみると熱量がすごい人だよね。

ヒ:そんなハコで企画をやってみて収支的にも赤字を出さず楽しく終われたら都内近郊だけじゃなく東名阪にこの企画を持って行ってもきっと通用するんじゃないかって思ったんだよね。そういう目標ができた。僻地って言ったら言葉が悪いけど、酒田でできるんだったら他の地方でも可能だってそう思えた。自分の知らない土地でもどうにか成功できるって。もちろん簡単だとは思ってなかったけどね。

知らない土地でありながらも全国各地に遠征してライブを見ているから、馴染みのお客さんもバンドも頭の中にたくさん思いつくだろうしね。

ヒ:そうそう。結果として酒田での企画は人もたくさん集まってくれて成功したし、忘れられない日のひとつになった。全国各地に好きなバンドもお世話になっているバンドもたくさんいたから、地元のバンドも東京から行くバンドも含めてみんなに観てもらいたいなっていう願望がより現実に近づいたよね。ツアーは北海道や九州にもたくさんの縁のある顔が思い浮かんだからそこも加えて、東京でも普段使わせてもらっている早稲田ZONE-Bやスタジオではなくて下北沢SHELTERっていう土俵の違う場所で勝負しようと思った。バンドが主要都市を回るのはよくあるけど、個人企画を5大都市に持っていくのはなかなかないと思ったし、やっぱり自分の根底にはあまり他でやっていないことをやって楽しみたいっていうのがどこかあるんだろうな。

思いつくものでも規模は違うけどそういうスタイルなのって、言ってもSET YOU FREEくらいだもんね。それで始まる前はどうなるかと思った初めてのツアーだったけど実際やってみてどうだった?

ヒ:最高だったの一言に尽きる!東京の下北沢っていう街の由緒あるシェルターっていうハコで最後にFRIDAYZがライブをしてお客さんをバシバシ盛り上げているのを観た時に、素直にそう思った。きっかけをくれたあいつらに「少しは恩返しできたかな、自分のやってることはきっと間違ってないな」ってあの光景を見て実感できたのがすごく嬉しかった。

い:MATSURIであれだけの数のバンドを全国から呼んで、それだけじゃ飽き足りなくてヒロくんが全国各地に勝手に足を運ぶ。その繰り返しってやっぱり単純に頭おかしいなって思うけど、そのおかげでいろんな新しい音楽やバンドを知ったり、自分の街に好きなバンドを連れてきてくれたり、恩恵というか嬉しい刺激をもらってる人は全国のライブハウスにたくさんいると思うんだよね。改めて考えるとすごいことだな~。まぁ嫉妬したポイントとしては普通主催者側はすごく気を遣うしボロボロに疲れるはずなのに、ヒロくんはそれをやりつつ連れて行ってもらった俺たち以上にめちゃくちゃ楽しんでたとこかな(笑)。

ヒ:最後の最後まで遊びつくしてたからね(笑)。なにをやりたいかっていうと、まず自分が楽しむこと。そして他の人ができないと思うこと・やらないこと。普通の人なら「それって無理じゃない?できないでしょ」っていうことに対して、おれだって「そんなことはわかってるよ」っていう気持ちが第一。でもわかってるけど一歩踏み込んでやってみなくちゃわかんないし、失敗したら考えればいいし、成功したらまた得るものがあるし、その先が見えてきたりするから。今はネット上でいろんな発言ができる世の中で、中には弱音を吐く人もいるけど、逆に言ったら、思ってることがあるならやればいいじゃんって思うもん。言い訳にしたいんだろうなって気持ちはわかるけど。多いか少ないかはわからないけど何かすれば還ってくるものが必ずあると思ってる。例えば企画やイベントをやって大勢の人が来るに越したことはないけど、たとえ人が全然来なくても、そこにお金を払って遊びに来てくれた数人がいるのなら意味がないことなんてないとおれは思ってるしね。そんな時にさ、主催している本人がつまんなそうな顔しているイベントなんてせっかく来てくれたその数人にだって絶対楽しんでもらえないでしょ。

い:大丈夫、ヒロくんは他の誰よりもエンジョイしてたから、間違いなく。ハメ外すくらい(笑)。いなくなって心配だけはかけちゃいかんよ!

ヒ:それは申し訳ない(笑)。いや、ちゃんと最後まで同じとこにいたはずなんだよ・・・?

ヒ:あーまだまだ話し足りないなー。いろいろと話したいことがありすぎる・・・。

だからこういう場を用意してみたんだけどね。だいたいライブ後とか打ち上げでいつも同じような話ばっかりするじゃん!溜まってるんだろうな~って(笑)。

ヒ:だってさ、さっきの話もそうだし、「MATSURIとか1人でやってすごいね」とか言われるけど、ほんとにただライブが好きでとにかく通い続けた結果がたまたまこうなってるだけで、なにもすごくないんだよ(笑)!ただ、こうなった経緯というか思いとかをせっかくだからいろんな人に知ってもらいたいんだー!

もう、だいぶ酔ってるじゃん(笑)。

ヒ:グヘヘ。

い:おれもそうだしバンドマンだってみんなそうだよね。誰も特別じゃないし好きなこと続けてたら何かのきっかけでたまたま今の活動があるってだけ。

ヒ:「あの人と知り合いなのすごいですね」とか「そんな昔からライブハウスにいるんですか!」とかそんなことは関係なくて、こんな自分でもただただ1人でライブを観続けたらこうなってるんだから、誰だって自分のきっかけ一つでこれ以上のことができるはずなんだよ。それをずっと続けていれば。おもしろいことを考えて行動し続けてくれる人がもっともっと出てきてくれたらおれらの周りもライブハウスももっと楽しくなる。そうなったら単純に嬉しいんだけどな~。

い:フットワークとか行動力ひとつなんだけどね~、なかなか難しいのも身に染みてわかるからな~。

ヒ:いや、自分の場合はそれに関しては例外だと思ってるけどね(笑)。そこは自分でも自覚してる。ここまでしなくても自分の足ひとつでいろんなものが変わることに気づけていない人が若い子に多いのかなっては思うけど。もっとそういう存在が多くてもおかしくないのに・・・。あ、また長い?ごめんなさい。でも言いたいことがたくさんあるんだよ。こうやって話すとすごく偉そうになってないか心配。

気になるアクションを起こしている人と、それに気づくかどうか。自分たちが好きなのは周りにいる友達とそこにある音楽と最高の時間。話題性じゃない。

大丈夫、酔っ払って滑舌悪くても、アツい人なんだなってことはわかってもらえると思うよ(笑)。で、2人はそんな中で気になる存在っている?若い人でも先輩でも、企画者でもイラストレーターでもカメラマンでもレーベル主でも誰でもいいんだけど。

ヒ:横浜で企画やってるbnj(ぶんじ)って子わかる?女の子なんだけど。

い:わかんないな~。

あれか、前に話してた「花とひとびと」ってやつで、SUMMERMANとか他にもGoodbye Gangstersとかknitとかいい感じのバンドが出てたやつやってた子か。前にその日のことヒロさんおれにも話してたね、「めちゃくちゃいい雰囲気の企画があった」って。「dear studentのマリちゃんとかも来てて話できた~」とか言ってた日ね。その子昨日のWARPにもいたよ。

ヒ:そうそう、春に天王町でやったその企画。今度またshe saidとか呼んで企画やるみたいなんだけどね。(その後、こちらの企画もtwitterを見る限り良い日になったようです)

い:へぇ~大学生とか?

ヒ:なのかな?もう卒業したかとか詳しくは全然わからないけどそれくらいの年代(笑)。京都から来てたknitと象の背を観てみたかったのもあるけど、メンツどうこうじゃなくてなんとなく気になったから遊びに行ったのね。失礼な話だけど横浜だし人もそんなにいないかなって勝手になめてたら、たくさんお客さんが来ててけっこう驚かされた。ダイブとかが起きてたとかそういうことじゃないんだけど、しっかりとその場が盛り上がっててるのを肌で感じたし、「これだよな」っていうライブでしか味わえない楽しさがちゃんとそこにあった。自分の知らないところでもちゃんとこうやって若いシーンでおもしろいことは起きてるんだなって目の当たりにした気持ち。深く知らないから何とも言えないけど、マイペースでも定期的に続くんであればこれからすごい良いイベントになるんだろうなって予感はするね。主催者の気持ちとか熱量がちゃんとその一日を作っていて、遊びに行った方もそれを感じられたから。

い:おれはそれで言うと若い子とかではないけど、自分のやっていることも関係して、海外からバンドを呼んでいる人はやっぱり気にはしてて。

い:まず、black holeのコサカさん。呼ぶっていうよりはツアーサポートを中心にすごいペースで定期的にやっていて、仕事をしながらあれだけ精力的にやれるのは普通じゃ考えられないくらい。最近だけでもシカゴからNOBUNNY、オーストラリアからサイケデリック・ガレージロックのTHE HOLE SOUL、今は絶賛THE HEX DISPENSERSとツアー中っていう。尊敬してます。(次は2017年1月-2月にHOAX, LOCK, BLAZING EYE, BUSTED OUTLOOK etcのメンバー在籍のCØNDITIØNが来日予定とのこと)あとはblue friendとかasthenia界隈もそうだし、CUT THE TENSIONもすごいなーっていつも思ってる。

最近だとNebraska、その前だとShirokuma、 i hate sexとか呼んでたね。

ヒ:あとmalegoatのハジメくんもめちゃくちゃ呼んでるよね。

Dogs on Acidのツアーもめちゃくちゃよかったな。正直あんまり期待はしてなかったんだけど。

い:うんうん。あと元gauge means nothingのカサヌマさんも東南アジアのバンドとか来たらサポートしてたりするし、どの人もみんなあそこまで精力的にできるのが本当にすごい。個人招致は自分でやってみて労力というか半端ないエネルギーが必要だなって実感してるだけに。

ヒ:海外のバンドを呼ぶのってほんと大変なことも多いよね、自分はメインに立って動いたことはないけど、RVIVRとかPeach Kelli Popの何公演かをサポートしたり運転手として帯同するだけでもその苦労を少しだけだけど実感したな。

い:その一連のことに関わる全ての人の窓口に立って動くことの大変さたるや・・・。だからこそその心意気とフットワークに感服するし、その人たちにももちろん、下の世代にもその動きは続いて欲しい。大変な分普通じゃ考えられない経験ができるし、絶対にやってよかったと思えるから。

そうだね。自分たちの手でライブハウスやその周りの自分たちの生活を少しおもしろくすることも十分に可能だし、それに気づいてなにか始めて動き出す人たちが増えれば、単純に「気づいたらなんか楽しいことが増えてるな」って思うことがあるかもしれないってことかも。

そんな中で最後に、前回の冒頭に話したことに少し話を戻すんだけど、メディアが取り上げないことでもおもしろいことは身近にたくさんあるっていうこと。そういうことに関してそれぞれ思うことはあるかな?

ヒ:おれはそこに対して常々いろいろと思っている方かも。音楽サイト・ニュースサイトって今の情報化社会ですごく重宝されているものだと思うんだけど、そこには世の中に楽しいことが溢れている中の本当に重要な一部のポイントしか載っていない。あまりにもイベントもニュースも多いから、知名度とかお互いの関係性とか色々な要因から当たり前にそうなってるんだと思う。そういうことにはちょっと前まで「なんだかなぁ」って思ってたけど、最近はそれでもいいかって思い始めた。

ヒ:広い目で見たら自分たちには知名度も話題性もないんだから仕方ないしね。関東近郊の音楽シーンだけでもジャンルもバンドの形態もやり方も含めて誰も把握できないくらい目まぐるしく動いてるはずなんだよ、今。その中で確かなのはやっぱり生身の人間としての感覚で、ただ話題になったものしか反応できず楽しめないのは単にもったいないと自分は思うし、話題性にだけ左右される世の中に、自分たちが左右される必要はないと思う。自分が好きなのは音楽とかバンドであって「話題性」じゃないからね。集客とか知名度じゃなくて曲とかライブ自体。そこが好きならもうちょっとミーハーなだけじゃないやり方をするところがあってもいいとは思うんだけど・・・。まぁだからと言って話題になるバンドやイベントの大半はやっぱり中身も伴っていると思うし、現場の感覚だけが偉いとも思わないけどね。

い:ヒロくんの話がアツすぎて質問忘れちゃったよ(笑)。うーん、自分はメディアとかそういうもの、多くの人に注目されるっていうことには最初から考えるだけ無駄っていう感覚。もし自分がやっていることがメディアとかそういうものに取り上げられたら素直にありがとう。そうじゃなかったらこっちはこっちでやるだけ。そんな気持ちです。そもそも取り上げてもらおうとか、でかい花火打ち上げようとか、そういう気持ちでは動いてないからね。自分の周りの友達やその一歩先の関心を持ってくれそうな人たちまで、自分のできる限りの努力と周りの力を借りて届けばいいと思ってます。

自分のやっていることが意外と知らないところで誰かに喜ばれたり何かのきっかけを与えていることもない話じゃないからね。自分たちが「バンドっていいな」「ライブハウスってすげぇな」って感じたきっかけもいつかの誰かの同じようなささいだけど確かなアクションのおかげだと思う。普通に暮らしていたらなかなか知り合うこともなかったような友達とも出会えたわけだし。というわけでこのKYO-TEKIもメディアなんて大層なものには成りえないけど、どこかの誰かを刺激したり、友達に新しい何かを知ってもらえたり、毎日の退屈をちょっとだけ埋めるような、そんなことを記録してお届けできたらと思います。精進します!今日はありがとうございました!さっ、大都会(居酒屋)にスタジオ終わりのナンバーツーが呑んでるらしいから合流しに行こ~!

(終)

ライブ予定

BEAGLEと4BROTHERSを迎えてレコ発

石田くん(輝の方)を迎えてyepレコ発

Chinese Footballのツアー

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