大変な時ほど、前向きなエネルギーをチームに伝えたい【Connect the future #11】
これからのフォーデジットをつくっていくメンバーと、代表 田口が過去、現在、そして未来についてトークを繰り広げる【Connect the future】。#11は、ベトナムブランチでフロントエンドエンジニアとして活躍中のCao Hoài Tâm(通称タムくん)。実務面のリーダーとしてだけでなく、チームのムードメーカーとしても一目置かれる存在です。タムくんにとって、田口と一対一で話をするのは初めての経験。ベトナム語⇔日本語によるオンライン対談を通じて、2人が語り合ったこととは? 会話の中である共通点も見えてきました。
1冊の雑誌に背中を押されて
田口
日本のメンバーの中にはまだタムくんとコミュニケーションを取ったことがない人もいるので、まずはタムくんのバックグラウンドについて聞かせてください。コンピュータが趣味の一つだと聞いているんだけど、タムくんにとって忘れがたい「コンピュータとの出会い」の記憶を教えてもらえますか?
タム
一番インパクトがあったのは、高校時代に初めて読んだ「PC World」という雑誌との出会いです。偶然、兄が買ってきたのですが、一気にその世界に引き込まれて、大学でITを専門的に勉強したいと考えるようになりました。もう少し遡ると、中学生の時に、地元の郵便局に初めてコンピュータが導入された時のこともよく覚えています。僕の地元は、ホーチミンからかなり離れた地方の町で、僕が中学生の時にようやく電気が開通したのですが、その少し後のことだったと思います。
田口
中学、高校時代に印象的なできごとがあったんだね。地元を出てホーチミンで暮らすようになったのは、大学進学のタイミング?
タム
そうです。高校卒業後はホーチミンの大学に入って、コンピュータネットワークを専攻しました。
田口
そして、大学卒業後はフロントエンドエンジニアとして働き始めると。
タム
はい。フォーデジットベトナムに入社する前に、2社経験しています。その2社目の会社がフォーデジットのパートナーだったので、その頃から現在担当しているプロジェクトの仕事に携わっていました。フォーデジットベトナムが設立されるよりも前のことです。
田口
そうだよね。ベトナムブランチの在籍歴よりも長い期間、タムくんは今のプロジェクトに関わっているんだよね。かなりスケールの大きなプロジェクトだけれど、実際に仕事をしてみてどうですか?
タム
プロジェクトでは、自分がそれまで使ったことのない技術が使われていたので、初めの頃は仕事と並行して必死で勉強していました。大変ではありましたが、新しい知識やスキルを身につけながら自分が成長していく実感を持てたので、喜びや充実感も大きかったです。
自分自身も、チームも「前向き」に
田口
そんなタムくんが、今回ベトナムブランチのMVPに輝きました。受賞を知った時はどんな気持ちでしたか?
タム
驚きました。他のメンバーも頑張っているのを知っていたので「自分でいいのかな?」という気持ちもありましたが、自分の頑張りを認めてもらえた証だと思うと、やはりとても嬉しいです。「これからもっと頑張ろう」と思いました。
田口
タムくん自身は、どんなところが評価されたポイントだと思う?
タム
仕事ではいつも、できる限り品質が高いものを届けたいと考えていて、自分にできる「完璧」を目指して責任感を持って取り組んでいます。それがプロジェクトのアウトプットにも反映されたからこそ、皆さんに認めてもらえたのかなと思っています。
田口
高い品質を追求して精一杯頑張るタムくんの姿勢、すばらしいです。でも、MVPの受賞理由はそれだけではないんです。タムくんはいつも率先して、チームのメンバーを和ませたり、鼓舞する発信をしてくれていますよね。それによって、チーム全体のモチベーションを良い状態に保ってくれていると感じています。規模が大きくて、タイトなスケジュールの中で進行していかなくてはいけないプロジェクトだと、タムくんみたいな存在が1人いるかどうかでチームの状態が大きく変わるから、皆タムくんの発信や働きかけに感謝していると思う。
タム
(照れながら微笑む)
田口
どんなに忙しい時でも、周りのメンバーに対して前向きな発信ができるのは、タムくんの性格によるものなのかな? それとも意識的にそうしているの?
タム
大学を出て働き始めた当初は、困ったことや大変なことにぶつかった時に、1人で落ち込んだり物事を悪い方にばかり考えてしまうことがよくありました。でもそのうち、そんな風にネガティブな状態でいても、問題は何も解決しないし、むしろより悪化してしまうと気付いたんです。それから、大変な時ほど物事をなるべく前向きに考えるようになりました。チームに対しても、自分が前向きなエネルギーを伝えることで他の皆が少しでもポジティブな状態になってくれたらいいなと思うし、それが仕事の品質を上げることにもつながると思っています。
田口
すばらしい。ぜひこれからも、前向きなエネルギーを皆に伝えていってもらえたら嬉しいです。
今、明かされる「FOURDIGIT」のナゾ
田口
せっかくの機会なので、タムくんから僕に聞いておきたいことは何かありますか? 何でもどうぞ!
タム
もし良ければ、田口さんのプロフィールを教えていただけますか? ごめんなさい。実は、「CEOである」ということ以外あまり知らなくて…。
田口
OK! 僕は、フォーデジットの設立2年目にジョインしたので、もう20年近くこの会社で働いています。Webデザイナーとしてスタートを切り、Flashという技術が登場してからはプログラムをゴリゴリ書いたりしていました。
組織が大きくなるにつれて、どんどんポジションやミッションが変化していき、現在はご存じの通りCEOとして経営に携わっています。肩書きで表現するなら、Webデザイナー、Webディレクター、クリエイティブディレクター、UXデザイナー、リサーチャー…本当に色々と経験してきました。ちなみに、フォーデジットに入る前は、ミュージシャンでした。大学在学中にメジャーデビューして、曲もリリースしています。
タム
ワオ!(この日一番のスマイル)CDがまだあれば、1枚いただけますか?
田口
恥ずかしいからダメです(笑)。他に、何か気になることはありますか?
タム
もう一つあります。「FOURDIGIT」という社名にはどんな意味があるのですか? ずっと気になっていました。
田口
社名を付けたのは創業者の蛭田さんなんだけど、蛭田さんから聞いたところによると、着想のきっかけはホテルのセキュリティボックスらしいです。会社の立ち上げを控えたタイミングで旅行をしていて、4桁の数字、つまり「4digit」でロックするセキュリティボックスを見て、デジタルの領域で事業を起こすことや、信頼に足るしっかりとした仕事を提供していきたい、という想いを象徴するメタファーとして相応しいのではないかと。それで「FOURDIGIT」という社名に決定したそうです。
タム
そんな由来があったのですね。
近い将来、叶えたい夢
田口
さて、ここからは少し未来のお話を。今、目標にしていることや、今後こうなっていきたいと考えていることがあればぜひ聞かせてください。
タム
今のプロジェクトでは、阿部さん(*)の指示のもと動いているのですが、近い将来、阿部さんのようなテクニカルコンサルタントになりたいと思っています。テックに関わる領域を、すべて引き受けられるようになりたいです。それから、プライベートでは、早くギターで好きな曲を弾けるようになりたいです(笑)。
*:阿部卓也 フォーデジットのテクニカルコンサルタント
田口
次にベトナムに行ったらギター教えてあげるよ!(笑)。テクニカルコンサルタントという目標に近づくために、今特に意識していることはある?
タム
二つあります。一つは、テクニカル面の知識を磨くこと。技術は日々変化しているので、新しい知識を取り入れられるよう勉強を続けています。もう一つは、コミュニケーションの能力を磨くこと。テクニカルコンサルタントには、クライアントとのディスカッションをリードしながら意思疎通する力が必要だと思っていますが、今の自分はその能力がまだ十分ではないのでもっと高めたいです。プロジェクトでは、ベトナムのテクニカルチームのリーダーを任せていただいているので、メンバーとコミュニケーションをする時は予行演習のつもりで話し方に気をつけるようにしています。
田口
いいですね。目指す姿に近づけるよう、頑張ってください。ところで、タムくんはフロントエンドエンジニアなので、ここまでテック寄りの話題がメインだったけれど、デザインについてはどんな風に考えていますか?
タム
美しくてクリーンなものが好きなので、デザインはなくてはならないものだと思っています。綺麗なデザインができる人に憧れるし、美しいデザインのコードを書く時は普段以上にやる気が出ます。ただ、フォーデジットに入ってから、そうした見た目の美しさや綺麗さだけではなくて、ユーザーにとって「便利」とか「使いやすい」プロダクトやサービスを生み出すのもデザインなのだと学びました。デザインという概念についての理解が、以前よりも広くなったと思います。
田口
そうだね。その気付きはとても大事ですね。デジタルが世の中に浸透していく過程って、初めのうちは「できなかったことができる」だけでものすごく喜ばれたりするんだけど、「できる」が徐々に当たり前になっていくと、今度は「気持ち良く使えること」に価値が置かれるようになっていくものだから。フォーデジットが自らを「デザイン&テックカンパニー」と定義しているのも、この両方を兼ね備えることで、ユーザーの「気持ち良く使えること」へのニーズにきちんと応えられる品質のものを世に出していきたい、という想いからなんだよね。一緒に、そういうアウトプットを目指していきましょう。
タム
はい。頑張ります。
田口
最後に、今日はこうして一対一で話をしてみて、どうでしたか? 序盤は結構緊張していたよね(笑)。
タム
だんだん緊張もとけて、ずっと気になっていたこともお聞きできたので、とてもいい時間になりました。今日のようなチャンスをもらえたことに感謝しています。
田口
それは良かったです。自由に行き来できるようになったら、僕らもベトナムのオフィスに行きたいし、タムくんにもぜひ一度日本に来てもらいたいなと思っています。他のメンバーも一緒に、直接顔を合わせてコミュニケーションしたいですね。
タム
はい、そうですね。田口さんにギターを教えてもらえるのを楽しみにしています(笑)。
田口
約束しましょう!(笑)。
編集・執筆 glassy&co.
撮影 吉田周平