高校時代、部員1人のフェンシング部に飛び込んだ話 -練習開始編-


*ぜひ過去の3話をご覧になってからご覧ください!!




青春の記録です。






帰りのHRが終わり、皆部活へと向かう

僕は野球部に入った友達と
バスケ部に入った友達で部室に向かった。

野球部の友達は
高校から野球を始めるためか期待と緊張が入り混じったような表情を浮かべる。
頭は小学校から1度も見たことない丸刈りだ。

バスケ部の友達は
中学からバスケをしていたため早く体を動かしたそう。
部活動紹介でみたバスケ部の先輩方は皆爽やかで工業高校の重たい空気がなかった。
その為か、すごく楽しそうだ。


僕は喜怒哀楽どれでもなかった。


部室は階段を上がった正面にある
よって曲がる時に自然と覗かれてしまう。

これは3年間拭えない恥ずかしさだった

バスケ部の友達と2階に上がり

「フェンシングここ?」

バスケ部の友達が小窓から中を覗く

「おい!あいついんじゃん!!!!」

驚く友達を1歩引いてみた感想は
動物園だ。

おかげ様で
先輩は1年の中で軽く有名になっていた

そもそもフェンシング部の部室を覗き
部長でもある先輩がいただけで驚かれる
こんな不条理なことは中々ない

ただ、言われても仕方ないと思ってしまう。


友達に帰りが一緒だったら帰ろうと
声をかけ別れた


重い部室のドアを開ける


靴を脱いで上がるタイプの部室のため
開けてすぐ小さな玄関のようなスペースがある

そこで先輩は
茶色い物体を何度も研ぐように剣に擦り付けていた。

先輩が顔を上げこちらを見る


「お、おはようございます」


「おはよう。」


笑顔も何もなくそう一言。

この前の「シューズを貸すとは言ってないよ」の時と同じトーンだ。

こいつは浮かれた声と
クールに決め込む声2つしかないのか!!!!

間はないのか間は!!!!!

一言でイラッとさせるのはこの人の天性だ。


そこでわかったのは
僕らが先輩の人生で初めての後輩だということ。

本当は僕らと仲良くしたい
元々冷たい性格でもない

ただ後輩ができた"初日"のテンションがわからないだけなんだ

そのためどこで学んだのかわからない
威厳みたいのを振りかざしてくる。


シンプルにむかつく


数分すると竹もやってきた

「よし、体育館ステージに移動しよう」

先輩が口を開く

人数分の剣とマスク、ユニフォーム?を部室の中央に無造作に置いた

「じゃあ運んで」

見下ろすようにそれらを指さし靴を履き始めた先輩。


後輩が荷物を持つのは当然


当然


当然


むかつく


例えば初めて彼女ができた場合
彼女の為にかっこをつけたいし堂々としたい気持ちももちろんわかる

ただ
健気さ、謙虚さ、初々しさも大事だと僕は思う


それを出せよ!!!!!!!


僕と竹は何かを思いながらそれらを持ち
先輩の後を付けるようステージに向かった


「はあー!後輩がいると楽チンだわー!!!」

あざとく大声を出しながら歩く先輩


さっさとルール覚えてぼこぼこにしよ


ステージにつき荷物を降ろしストレッチを開始する


「おい、フェンシング部だぞ」

「部員入ったのかよ」

「何するかみてようぜ」


体育館で行われてる他の部活にニヤニヤされる

普段教室では地味で冴えないやつもここぞとばかりに見てくる


おれの望んでた目立ちってこれか!?


ストレッチが終わるとまず基本動作のマルシェ、ロンペの練習が始まった。

右利きの人の場合、右足のつま先を相手に向けるように、左足を右足のかかとにつけるように90度を作るように立つ。

この形から1歩前に動くことがマルシェ

1歩下がるように動くのがロンペ

らしい

サッカーで言えばドリブル?

野球で言えばキャッチボール?くらいの基本動作です。

「じゃまずおれがやるから見てて」

先輩の動きを確認する

「じゃやってみて」

僕らはマルシェとロンペをした。


「え、え!え?え!!!!」


先輩がめちゃくちゃわざとらしく驚く

唖然とする僕ら

「す、すげえ!!!!!!もうできたの!!?うそでしょ!!すごすぎるよ!!!!!!」

先輩は尚も騒ぐ

まだ
ボールを一球投げただけ
バットを一回振っただけ
リフティングで言えば2回できた?くらい


これってそんな難しいの!!!?


意味がわからないが僕らは続けた

続けるたびに騒ぐ先輩

僕らを辞めさせないためにわざと褒めてるのか?と一瞬思ったがおそらくガチだった。


基礎基本は大事と先輩はいい
この動作を1-2時間くらいおこなった。

ただ足を直角にして歩くだけ

めちゃくちゃつまらん


先輩は口を開いた


「これは基本動作だから毎日時間かけてやっていこう!!ま、やりすぎると俺みたいな歩き方になっちゃうんだけどね!!ハハハ」





僕と竹の頭によぎる



先輩のひょこひょことしたつま先歩き



こわ!!!!!!!!!!!!!!!



うそだろ!!!!!!



あの先輩のひょこひょこ歩きはフェンシングの努力の結晶ってこと!?(よく言えば)

つまり練習すればするほどあの歩き方になってしまうのか!!!!!!!(結果他校の強豪校の選手を見たが誰一人そんな歩き方はいなかった)



いやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいやいややだよやだよやだよやだよやだよ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


頭の中で背中から地面に倒れバタバタ暴れている感情。




その後、剣の持ち方などを教わったが頭が真っ白で何一つ入ってこなかった。



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