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ワンポイントで録ろうと思っていたけど、取りやめた理由

録音を担当した作品(CD)が、もうすぐ発売となります。

大城みほさん(ソプラノ)と大谷環さん(ギター)による、『SOAR~天に遊ぶ』です。たしかコロナ禍の影響で収録が1年ほど延期になって、当初は「ワンポイントで挑戦しましょう!」と言っていたんです。

ワンポイントで録ろうと思ったけど、取りやめた理由

それはですね……アーティスト(おふたり)が、「今すぐ録りたいオーラ」を放っていたから。

近江楽堂は、まともに会話できないくらい響く空間なので、ワンポイントで録るには試行錯誤が必須となります。マイクロフォンの位置を変え、立ち位置(マイクロフォンとの距離、ふたりの間隔)を変え、あれこれ調整してやっと録ることができるわけです(勘だけでもある程度はできますが)。

でも、そんなことをしていたら、場合によっては半日くらい経ってしまって、気持ちがさめてしまう……そこで、より早く録り始めるために、マルチ・マイクでの録音に切り替えました。

録り方

メインとなるマイクロフォンが2本。ギター用に2本。うた用に1本。合計5つのマイクロフォンを使いました。Sound Devices の 552 というミキサーでミックスし、そのアウトを Lavry Engineering の AD11 に入力。いわゆる一発録りです。超シンプル。保険でマルチトラック収録しています。

近江楽堂について

さきほども触れましたが、会話できないくらいに響く、特徴ある空間です。

「ささやきの回廊」的側面もあって、壁際で発せられた音が遠く離れた反対側の壁際ではよく聞こえるものの、ホール中心に近づくほど不明瞭になったりするんです……この響きを味方につけてこそ、近江楽堂で演奏し、録る意味があるでしょう。

とはいえ、静謐な雰囲気の空間ではありますが、商業施設の中に位置することもあって思ったほど静寂ではありません。録音上も「サー」とノイズを感じることができます。ただ、その「サー」は音楽を殺すほどのものではないし、「演奏しやすさ」が勝っているのならそれで良いのではないでしょうか。音質がすべてではないですからね。

過去にも似たような記事を書いていました(笑)

ジャケット等にも要注目

ワイヤー・オブジェ?で有名な神林學さんによる画と、装丁デザインなど手掛ける鈴木衛さんによるジャケット・デザイン。冒頭のPVは、ハリウッドやLAで学んでこられた撮影監督、坂本誠吾さんによるものです。

そんな錚々たるメンバーが参加するなんて、聞いてないよ!
……大変光栄なことです。


2022年4月5日発売
ギターショップG&M

2022年4月22日には、CD発売記念コンサートもあるようです。


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