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宗教団体への高額寄付

◆弁護士 飛田 博

2022年10月9日 日経新聞1頁

「寄付取り戻し可能に」「霊感商法など政府、法改正へ調整」との見出しの記事から。

消費者契約法は不当な勧誘による契約の取り消しなどを定める。
2018年の法改正では不安をあおってつぼや書籍などの高額商品を購入させる霊感商法も対象として明記した。
それでも適用例はほとんどなかった。現行法の「消費者契約」は主に物品販売を想定しており、旧統一教会を巡って被害が報告されている巨額の寄付は対象としにくいためだ。
寄付として納める金額の目安が示された場合は民法上の「契約」とする判例はある。寄付の場合はその額を本人の意思に委ねたようにみせる事例が多く、事後に取り消せる「契約」に当てはまらないとの見解が根強い。法改正により被害者の救済の実効性を高める。

(飛田コメント)
 実務をしている弁護士としては、どのような法律の規定になるのか興味がありますね。法律に規定するということは、取り戻し可能な寄付行為と取り戻しができない寄付行為を明確に分けることが必要になります。その基準をどこに求めるかですが、寄付行為やその勧誘行為自体の中に、取り戻しができるものとそうでないものを分けることは、かなり難しいのではないのかと思います。
 高額の寄付というと、宗教団体への寄付、慈善団体への寄付、妻や子など家族への寄付といろいろあるわけですが、寄付行為としては同じですし、勧誘行為としても多かれ少なかれ、寄付を受ける者からの働きかけがあって、似たり寄ったりの面があるのではないでしょうか。そうすると、寄付を受ける客体に注目した規定になるのではないか?とも思うのですが、それは消費者契約法に規定すべきことではないですね。今後が注目です。

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