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「プロセス管理」と「ドイツの鉄道には改札がない」という話 kintone

kintoneで、標準機能の範囲を超えているような複雑なプロセス管理やアクセス権の設計を要求された時どうしますか。

すべての要求に答えるのが正しいわけではなく、場合によってはそこまでやる必要ないのではという提案を、「相手が納得する形で」伝える事も大切ではないかと思います。

ドイツの鉄道には改札がない

そんな複雑なkintoneのプロセス管理やアクセス権の設定を検討する時、私がよく引き合いに出す話です。

日本では、今は自動改札、昔は駅員さんが切符を切ってくれてました。要するに、入り口と出口で全員チェックです。無賃乗車などの不正の取り締まりは高い精度で可能ですが、それにかかる管理コストも相応ですね。

対して、ドイツでは改札がないそうです。じゃ無賃乗車のやり放題?ではなくって、時々私服のコントローラーというひとが個別に検札をして見つかったら60ユーロ(8千円弱)の罰金だそうです(言い方はよくないかもしれませんが、無賃乗車をやろうと思えばできるけど、バレたらヒドイよという仕組み^^;)。

結果ほとんどの人は、「できるけど無賃乗車はやらない」という判断をします。

もちろん無賃乗車をする人の割合にもよりますし、ラッシュの電車では事実上検札は不可能など、一概にどちらのシステムがよいとはいえませんが、そもそも無賃乗車をする人が十分少ないのであれば、ドイツ式の方が妥当ですし合理的に思えます。かつ管理コストも抑えられますよね。

kintoneでワークフロー

話をkintoneに戻します。

kintoneでのプロセス管理の運用検討時、他社さんのワークフローとよく比較されます。比較対象は、簡単に言いうと「外部の監査にも耐えうる本格的なワークフロー」です。

がんばれば、kintoneでも同じようなものが作れなくはないかもしれません。いや工夫次第でかなりなことができそうです。

ただ、やっぱり私は、あまり複雑なプロセス管理の設定やアクセス権の制御は苦手です。^^;

いつでも誰でも自由に情報を変更できるのが魅力のkintoneで、プロセス管理の進行状況に応じて、フィールドの内容まで細かいアクセス権を設定するのは、正直めんどう。いや、ちょっと向いていないと思いたい。(^-^;

複雑なプロセス管理は(できたら)やりたくない

で、先ほどの「ドイツの鉄道には改札がない」の話を持ち出します。以下こんな感じ。

私:「プロセス管理で承認後でも、誤記の訂正とかやりたいことありますよね。一般のワークフロー製品は変更できなくするのが普通ですが、kintoneアプリでは変更できるようにするのが普通です。ただし変更履歴はちゃんと残ります。」(レコード詳細画面の変更履歴をみせる)。

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「いつ」「だれが」「どんな変更をしたか」はちゃんと履歴として残ります。そしてそれをみんなが確認できる状況なのに、誤記訂正レベルの範囲を超えるような悪意を持った変更をやる人いますかね?

結果ほとんどの人は、「できるけど改ざんはやらない」という判断をするのではないでしょうか。(そうであってほしい。。。)

「対外的に」「確実に」「真正性を証明する」必要がある厳格なワークフローが必要であれば、他社さんのワークフローを検討するほうがよいかもしれません。でも、そこをちょっとゆずってもらえるならkintoneの「プロセス管理」は、自分で判断することができる自由度があってオススメします。

方法として大きく2つ

1.そもそも変更ができないような仕組みをつくる
2.変更はできるけど、やって良い事・悪い事を判断できる仕組みをつくる

どちらがよいかはケースバイケースですが、kintoneはおそらく2.後者に向いていて、個人的にも自分で判断できる方が魅力的です。

判断の自由度があるといっても履歴はのこるわけですから、一般的に見ておかしな変更を、こっそり内緒ですることはできないわけで、一定のモラルは守られます。(そうであってほしい。。。)

少なくとも、(おそらく今まさにワークフロー化を検討している現行の)誰が押印したか実際にはわからない紙の申請書類や、誰がいつ追記したかわからないExcelの申請フォーマットよりは、kintoneのプロセス管理の方がよほど信用できると思います。

もちろん「100社100通り」

あくまで個人の考えですが、こんな感じで話をもってくと、大体みなさん納得してもらえて、あまり複雑なプロセス管理フローやアクセス権にならなくてすみます。

実際、禁止事項や例外処理を漏れなくシステム化するのは大変で、本来の処理ロジックを上回る工数やコーディング、テストや運用保守が必要です。これはkintoneに限らずシステム構築全般に言えること。システム部門の常套句「運用でカバー」は、本当に開発担当者の心の叫びでもあると思います。

そのへんを理解してもらって、ノーコード・ローコードを推進できたら幸せになれるような気がします。

もちろん「100社100通り」kintoneに正解はありません。kintoneの機能をフル活用して、専門のワークフロー顔負けのアプリを作ることができるというのも、すばらしい事だと思います(機会があれば教えてほしいです^^;)。

このお話が、同じような状況に遭遇しているkintone担当者さんの何かのヒントになれば幸いです。

PS
「ドイツの鉄道には改札がない」の話はあくまで事例で本題ではないので細かい内容については大目にみてください。ドイツにいったことないし。^^;

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