「都民のくらしむき」調査から振り返る2020年 〜アパレル編〜

都民在住の世帯を対象に実施されている「都民のくらしむき調査(生計収支調査)」の2020年10月月報から、特にコロナの影響が大きかったと考えられるアパレル関係の消費の動向についてご紹介します。

都民のくらしむき調査についての紹介や消費の全体傾向については前回記事もご覧ください!

2020年はアパレル関係の消費が落ち込んだ

都民のくらしむき調査では標本調査で家計の消費支出について対前年(2019年)の同月と比較した際の実質増加率を集計しています。

こちらは調査のうち「全世帯」を対象としたデータです消費支出の項目ごとにみていくと特に「被服及び履物」の項目で対前年の消費の減少が大きいことがわかります。(図:「都民のくらしむき」東京都生計分析調査報告(月報) 令和2年10月 主要指標1 全世帯より加工して作成)

消費支出対昨年実質増加率_タイトル付

特に丸で囲った2020年3~5月はコロナの影響が大きくなり始め、同年4月7日に緊急事態宣言が出て百貨店をはじめ多くの店舗が臨時休業に追い込まれた時期です。この時期は特にコロナ影響で消費が落ち込んだと考えられます。

実際の金額ベースで見てみると14,029円→5,948円の減少となっています。

アパレル業界の企業の売上動向

都民の(未調査ですがおそらく日本全体でも)衣服や靴の消費が落ち込んでいるということはそれを扱うアパレル業界の企業の売上も落ちてしまっているのではと思いいたりました。

帝国バンクが公表している「上場企業(アパレル)の月次売上高動向調査(2020年5月分)」という調査で上場企業かつ月次の売上を公表している23社についての売上を知ることができました。

集計対象23社のうち、2020年5月の月次売上高が全店ベースで前年同月(2019年5月)を下回ったのは21社(構成比91.3%)、上回ったのは2社(同8.7%)。実店舗からECへ顧客がシフトしたことにより、多くの企業でEC販売は好調だったが、引き続き前年同月比での大幅な売り上げ減少を補うことはできず、9割が前年同月を下回った。上回った西松屋チェーンとワークマンは、特色を持った衣料品および、衣料品以外の商品が業績に寄与した
出典:上場企業(アパレル)の月次売上高動向調査(2020年5月分)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p200609.html

調査結果を見ると2020年4月については売上が対前年で7割以上減少となっている企業も少なくなく、苦しい状況が想像されます。

当たり前ですが、休業すると売上がゼロになってしまうのでインパクトがかなり大きそうです。

2020年10月分の調査を見ると回復基調にあるように見えましたが、11月は暖冬+第三波の影響でまた消費が落ち込んでいるようです。2回目の緊急事態宣言がどのような影響をもたらすのかも読めないところです。

集計対象24社のうち、2020年10月の月次売上高が全店ベースで前年同月(2019年10月)を上回ったのは14社(構成比58.3%)、下回ったのは10社(同41.7%)。気温の低下で秋冬商材の需要が高まったほか、昨年10月の消費増税に伴う買い控えや台風による一時休業による売り上げ減少の反動がみられ、約6割の企業が前年同月を上回った。月次売上高が前年同月比を上回った企業が下回った企業よりも多くなったのはコロナ禍となって本発表を開始した3月以降初めて
出典:上場企業(アパレル)の月次売上高動向調査(2020年10月分)
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p201109.html

おわりに

思い返してみると自分自身もコロナ前と比べて服を買う量が大きく減ったなと感じました。気軽に出かけられるようになると服を買いたい気持ちもアップするので2021年ははやくポジティブな気持ちで服を買いにいけるようになってほしいです。

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