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20211014

 夕陽を強く反射させたビルが、自身も夕陽のような顔をして、川面に光を投げる。
 橋を挟んで太陽が二つある、と思ったが、橋を渡りながら変わる視点で刻一刻と隣のビル隣のビルに太陽が移る。その鏡像が川面へ投げる光の筋も移る━━その移り変わりを見ていると、不思議な感じがした。
 川面にはその光の筋は無数にあって、観測する位置によって浮かび上がる。橋を渡る前・最中・渡り終えた人、の見える筋の角度はそれぞれ違う。しかし、それらは観測するまでは同じ一つの無数として表層の下にいる。

 逆側には橋を渡っても見映えの変わらない実像の夕陽がある。




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