土曜日の東横線で

たまに会う学芸大に住んでいる
セフレの家から帰ろうと東横線に乗る

なんだかいつもと雰囲気が違う

あ、今日は土曜日かと気づく


平日と休日の電車はまるで空気が違う

平日14時頃の車内は
なんだかまったりのんびりしていて、
時間がゆっくり流れている

みんな目的地がないみたいに
ただただ静かに電車に揺られている

一人で乗っている人がほとんどだから
会話が聞こえることもない

スマホを触っていたり本を読んでいたり
ぼーっと外を眺めていたり眠っていたり

平日昼間の東横線は心地いい


でもその日は土曜日だったから
そもそも人がたくさん乗っているし
たくさんの会話が耳に入る

1秒でも早く渋谷に着きますようにと
願いながら耐えるけれど
渋谷に着いたところで
渋谷も人だらけなのは分かっている

ただ、土曜日に電車に乗っている人たちは
平日昼間に電車に乗っている人たちよりも
「おめかし」をしていて可愛らしかった

あの女性の髪は毛先まで丁寧に巻かれていて
アホ毛の一つもない

あの女性は涼しげな半袖のセットアップが可愛い
今季初おろしかな
あ、ピアスも夏っぽくて似合ってる

あの女性はサンダルから覗く赤いペディキュアが素敵

その日の予定がデートだろうと友達との食事だろうと、
彼女たちがその予定を楽しみに長い長い、
あまりにも長い平日をなんとか乗り越えたと思うと
この喧騒も少しだけ愛しく思える

少しだけだけど


私はなんの予定もないので
セフレの家からかろうじて日焼け止めだけ塗って
昨日の服のままで家に帰り、もう一度眠った

眠りに落ちるとき、外から楽しそうな
家族の声が聞こえた気がした




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