あるドコモショップ店員の話

ドコモショップで働く友人の女性と話す機会があった。彼女の仕事は、スマホの初期設定を教える事だ。ただ、本人いわく「高齢者の介護のような仕事」だと。これは、スマホの初期設定を、わざわざ店員に聞きに来るのが、お爺ちゃんお婆ちゃんばかりで、基本的な操作が全く進まず、1時間の間に何度も同じことを教えないといけないかららしい。

そんな彼女だが、新型コロナウイルスの影響(コロナショック)を、もろに受ける形となった。docomoが、その店舗での初期設定を教えるサービス自体を止めたのだ。新規契約者の数が落ち込むことも考えられる。経営判断としては、理解に難しくない。

ただ、そのあおりを受け、彼女は、準備期間のない休業に入ることに。そこで「再開するまで自宅待機で」と伝えられたようだ。ただ、再開の時期は、わかっていない。


ドコモショップの店員も個人事業主!?

僕は、彼女がドコモショップの店員だから、正社員か、派遣社員だろうと、勝手に想像していた。だが、もう少し詳しく話を聞いてみると、転職活動をしている中、エージェントに紹介され、個人事業主契約として、docomoと契約をし、店頭にたっていたということだった。

そして、個人事業主なので、休業になれば、給料は1円も出ない。社員が自宅待機している状態とは大きく違うわけだ。

「docomoという大企業が、こういう形の雇用を始めているのか」と知った瞬間だった。中小企業ではなく、モバイルの3大キャリアの1つが。

日本では、企業が従業員を解雇がしずらいルール(法律)がある。この経営リスクとなる、解雇ルールとうまく付き合っていく、1つの方法なのだろう。

ただ、この休業になった彼女は、こんな事態を想定できていなかった分、苦しい立場にある。

企業と、就業者には、雇用に関して大きな知識の差がある。

日本でも、企業側が、いろんな形で雇用をするのが一般的になった。そして、今後ますます進むだろう。ただ、その多様な雇用形態を、労働者は理解しているだろうか?おそらく、多くの人は、自分の働き方については詳しいが、それ以外の雇用形態については詳しくないだろう。

内閣府発表の『多様化する職業キャリアの現状と課題』にも、こうある。

キャリアが多様化すれば、キャリア形成を行うのは労働者自身である。やる気はあっても、どのような事を実際に行えばよいのかわからないと回答している人たちに対し、どのようにサポートしていくかを考えていくことが重要である。
https://www5.cao.go.jp/keizai3/2017/0118nk/n17_2_3.html


自分が体験する。今できることから動き出す

サポートする側の改善は、国や、お役所の方々、企業側に、お任せするとして、僕らがやらなくては行けないのは、キャリアについて、働き方について、より広く、深く理解することだ。

どうやって理解するのか?
本を読むのも良い。人に聞くのも良い。ただ、やはり多くの人にとって、一番身になることは、自分が体験することだろう。本業で生活ができるうちに、他の仕事を始めてみる事。パラレルキャリアという働き方は、人生という長い旅路を歩む上では、収入という側面以外でも、実は大きな価値があるのかもしれない。

なんにしても、今できることから、動き出すことが重要だろう。コロナショックのように、誰もが予想できないことは、現実に起こり得るのだから。

docomoショップ店員の彼女にも、収入を確保できる見通しを立てるのが先なので、docomo側の動きをまたず、転職活動をはじめてみては?と伝えることとした。

彼女が「電話のかけ方、メールの使い方を教えるのに、2時間もかかり、その上キレられることもあるんですよ」と、お酒を片手に笑い飛ばしていたのが、なつかしい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?