ふつうって、なんですか?
ふつうって、いろんな意味のある言葉ですよね。「ふつう〜なのに、わたしはそうじゃないんです!」と主張する患者さんは、「ところで、そのふつうって、誰のこと?」とわたしに聞かれることになります。「でもふつうは……」って、ふつうって、何でしょう。
偏差値的に、まんなか。
なんでもいいけどテストをしたとしましょう。70%の人は、偏差値40から60の範囲に入ります。70%=ふつう。ありそうな話です。ふつうサイズとか、いいますよね。わたしは身長が低いので、ふつうサイズだと服が余ります。ふつうになりたい。まあ、それこそ、ふつうの感想ですよね。
この場合、偏差値70(上位2%)とかは、ふつうじゃない! ってことになります。
(わたしの)想定内。
わたしの身長が低いため、ふつうサイズの素敵な服が似合わないとしましょう。店員さんに聞いても、ふつうサイズしか置いてませんという返事が返ってくる。「ふつうサイズだったらいいのに」ふつうの感想です。
「ふつうサイズじゃないわたしって素敵」まあ、間違ってはいませんけど、この場面で言うとすると意外な感じですよね。これ、ふつうじゃない。(多くの人の)想定外です。
想定外に弱い人たちっていますよね。ASDだけじゃない気がします。目の前の人が想定外だと、不安になる。そして怒る。よく怒られます。
説明省略。
ふつうの学生ははこの本をすでに読んでるはずだよねとか、よくあります。すいませんわたしふつうじゃないので読んでませんとか、ふつうに怒られます。怒られるのは想定内。
読むべき理由だとか、読んだらこんないいことがあるよとか、全部省略されてるんですよね、これ。説明してくれればきょうにでも読んできます、納得できる説明をぜひ! って、言語化が苦手な人もときどきいて、苦手なことをリクエストされると怒る人もときどきいて、その結果、意外としばしば怒られます。
この意味の「ふつう」には、強制が含まれていることも多いですね。ふつうは〜はず、の文章で表されたりします。
(わたしの)理想。
患者: 「ふつうは朝ごはんに玉子焼きくらい作るじゃないですか」
医者: 「わたしそもそも朝ごはん食べてませんし玉子焼きとか何年も作ってませんけど、そうですかふつうは玉子焼きですか」
医者=わたし、です(ふつうわかりますね=説明省略しました)。こういうとき、「そのふつうって誰のことですか」と問い詰めると、なんとドラマに出てくる素敵なお母さんだったりします。ドラマって、ふつうなの?
ふつう=理想の人たちは多いです。こうあるべき、ってことかな。たいてい現実とかけ離れてます。診察場面だけかな、そういうの。
ふつうって、雑な言葉ですよね。
まだあるかもしれないですけど、いま思いつくのはこんなものかな。
ある患者さんが言ってました。
彼女が「ふつう」とか発言するたびに、「ところでそのふつうには主治医(わたし)は含まれてないっぽいけど、主治医を含まないふつう、ということでいいかな?」とコメントされる、が続いた結果かもしれません。わたしの患者で居続けるのもたいへん、らしいです。
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