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自治体における事業推進と道徳観

自治体が行う地域おこしにあたって重要な要素の一つは担当の道徳観ではないかという仮説。

私は現在、ふるさと納税関連事業者として地域に、主に自治体と、その地域の事業者に関わっている。

そこで感じているのはビジョンを持たない自治体・事業者が多いことだ。

地域おこし、地方創生、まちづくり。

自治体にとってはまだ新しい取り組みとなりがちな、これら取組み。

新しいからこそ、目標・目的を設定し、チームワークを発揮せねばならないはずだが、事業を推進した経験が少ないという組織柄だろうか、
これらビジョン設定をなおざりにしたまま、推進されている印象が強い。

さらに自治体の人事評価体制である。
未だ手続きなどの事務業務が多くを占める自治体において、業務内容で足並みそろえて人事評価するは難しいようだ。
このため、相当大事にならない限り、人事評価は特に変わらないという。

事務業務と異なり、事業推進、つまり営業活動にあたっては結果が問われるのは世の常だが、自治体においては相当な結果にならないと責任を問われないようだ。

もちろんそれでも素晴らしい取り組みをされている自治体もあるが全体の数としては決して多くない、少なくとも私が関わっている自治体たちは上記のような傾向が強いと感じる。

組織内に先駆者のいない新事業。
ビジョンも責任もあってないようなもの。
まさに「担当者次第」である。

それらはもちろん、大抵うまくいってないが、中には「何とかなっている」ものある。

それら事業を「まともな」形に押し上げる為に必要なもの。
それは担当者の道徳観ではないだろうかというのが今回の内容だ。


道徳とは

改めて考えてみると簡単そうで難しい概念である。

辞書をひくと「ある社会で、人々がそれによって善悪・正邪を判断し、正しく行為するための規範の総体」とある。

うまく説明できないが、自分の中には「小学校で学んだ、人として一番大切なこと」として刻み込まれているものだ。

・他人が嫌がることはしないようにしましょう

・家族や友達など周囲の人は大切にしましょう

・自然を守りましょう

・親切には感謝を示し、いつか親切で返しましょう

・嘘はつかないようにしましょう

・しっかり努力しましょう

・頑張る人は応援しましょう

パッと思いつくのはこのくらい、つまりまぁ道徳とはこのように「良い」行いであり、だからこそ、人として大切にしないといけないものだと私は認識している。


地域おこしに携わる動機

地域おこしに携わる動機は人それぞれであろうが、この道徳観の延長から来ている人は多いのではないだろうか。

「元気のない故郷を何とかしたい」

「美しい風景を守りたい」

「子供たちにより良い環境を残していきたい」

「地域の事業者が頑張ってるのだから、私も頑張らねば」

あくまで私見であるが、「なんとかなっている」自治体主導の地域事業は、これら道徳観を高いレベルで有した担当者がついている印象がある。

ビジョンも責任もなければ人はいくらでも「サボれる」

実際のところ、誰もがある程度の道徳観を有し、それに基づいてある程度の責任感をもって動くだろうが、ビジョンなき事業を有意義なものとするには、その程度では全然足りない。

事実、全国では金太郎飴のように同じような失敗事例が量産され続けている。

外面が良く、地域では「失敗」として扱われていないようなものも、蓋を開けてみると、そもそも採算があってなかったり、中の人にほぼボランティア状態で押し付けられていたりと滅茶苦茶になっていることもままある。

低きに流れる自身の背筋を正し、同じく低きに流れる関係者を説得・指導しながら、内部都合でなく、未来につながるような形にまとめることは並大抵のことではない。

折れそうになる心を支えるのは、自身の中にある「地域の為、人の為になりたい」という道徳心となるのではないだろうか。

これも私見だが、地域事業を形にしている自治体職員は必ずしも突出した能力をもっているわけではない。ただ、美しい心を宿している。

きっと彼・彼女らの心が事業を突き動かし、自治体の最前線を支えてくれているのだろう。

もちろん、そもそも「担当者次第」となっている自治体の事業設計そのものに問題があることは言うまでもない。

彼らの心が澱まないために私も、一関係者として背筋を伸ばし取り組んでいきたい




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