「極端に思想が変わる人」は、その場所で「評価されること」が、何より大事なのではないだろうか。
無料で見ている視聴者なので、あまり「いい視聴者」ではないのだけど、何時間か続く「ポリタスTV」を流しながら、作業をすることが多くなった。それは、人が、それぞれを尊重し、話し合っている声を聞いていたい気持ちもあるのだと思う。
高市早苗氏と丸川珠代氏
この回は、津田大介氏が司会で、ジャーナリスト・青木理氏と、ラッパー・あっこゴリラ氏がゲストで、率直な話は興味深いと感じながら聞いていたのだけど、その中で、政治家で、自民党の中でも「保守」と言われる高市早苗氏と、丸川珠代氏の話題になった。
その時に、2人の過去のエピソードとして、それぞれの所属していた組織などでは、かなりリベラルな思想の持ち主だったと言われていた、という指摘がされていた。
それは、今の二人から見ると、少し意外、というニュアンスも含めて、話がされていたし、おそらく本当のことなのだろうと思うとともに、ふと違うことを思い出した。
変化の意味
時々、戦後すぐの頃は、共産党支持だったのだけど、しばらく経ってからやめて、その後は、ずっと自民党支持で、資本主義に完全に適応しているような人の話を聞くことも、少なくない。
それは、とても大きい思想転換のようでもあるし、実際にそういう人もいると思う。さらには、戦争中や戦後すぐの大変さを、私も全く知らないわけだから、そんなに偉そうには言えないのだけど、その「変化」は、その時に勢いのある場所、勝てそうな位置に、どれだけ早く的確にいることができるのか、という「適応力」が発揮されているのではないか、と思うときがある。
それは、生き残るために必要だから、そういう「変化」をしたのではないか。自分が知らないことだから、推察することしかできないものの、「思想そのもの」とは、それほど関係ないような可能性もあるとは思う。
戦争協力
様々な芸術家や、小説家や、エンターテイメントの世界でも、戦争中には「戦争協力」したとして、それこそ「戦犯」として裁かれた人もいるし、そのことについて、それほど詳細に語れる知識を持っていないのだけど、このことについて、それほど根拠もなく、思うことがある。
この時代に、例えば、小説家をしていて、戦争に対して、どのように書くかについては、その時でないと分からない難しさもあるのだと思うのだけど、のちの時代からは非難もされるが、その「戦争協力」について、どんな思いだったのだろうと想像してみる。
それは、命もかかっているような強制もあっただろうし、さらには、本気で、この戦争は正しいと思っていれば、それは葛藤も少ないかもしれない。
ただ、それと並行して、いわゆる「流行作家」と言われている人たちであれば、時代が変われば、その変わった時代に合わせて、常に「多くの読者」に読まれるようなものを書ける能力が高いはずだし、同時に、いつの時代でも、常に、多数に評価されたい気持ちも強いのではないだろうか。
だから、思想的なことよりも、まずは大勢に読まれる。多くの人に評価される。そのことを目指す欲望のようなものが、とても大きい可能性はないだろうか。そのことで、流行作家といわれる存在になれたようにも、思う。
再び、高市氏と丸川氏
そして、冒頭の高市氏と丸川氏について、思ったことに戻る。
「ポリタスTV」の中では、以前は「リベラル」だったことを、現在の「保守」であることとのギャップのようにも語られていたのだけど、そのことを聞いて、個人的には、思想的に変化したわけではないのでは、と反射的に思っていた。
高市氏にしても、丸川氏にしても、今も昔も本人の中には、何ら矛盾がないのかもしれない。その時の場所で、より評価される存在になることが、何よりも優先事項なのではないだろうか。
だから、リベラルであることの方が、より高く評価され、多数派である場所では「リベラル」になり、「保守」である方が、より「上」に行けるのであれば、その立場に立つ。
もしかしたら、とてもシンプルな理由なのかもしれない、と思っていた。
民主主義社会で正しいこと
これまで述べたことは、全くの的外れな可能性もあるのだけど、思想的なことよりも、どれだけ評価されるか。どれだけ大勢に支持されるか、が最優先の人はいると思う。
そういう意味では、より多数の支持を得ることが「政治家」であり続けるために、とても重要な能力だから、別に過去に「リベラル」で、今は「保守」であっても、本人的には、ただ「正しい」のだろう。
常に多数派にいようとするのは、政治家だけでなく、民主主義の社会では、もしかしたら、有利であることを超えて、今になってみれば、「正しい」ことなのかもしれない。
その能力に欠ける自分にとっては、それは、少し怖いことでもある。
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