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初めて投稿して、初めて「スキ」してもらって、感じたこと、考えたこと、思い出したこと。

 初めてnoteに投稿した。それから30分もしないうちに、メールが来た。誰か知らない人が『「スキ」しました』という知らせだった。あまり経験のないような、新鮮な驚きを感じた。

 これまでSNSというものは、見ているだけのものだった。ツイッターもフェイスブックもブログも自分から発信したことはない。それでも、SNSに関する情報だけは、いやでも知る事も多かった。
 たとえば、ブログを始めると、閲覧数が「ゼロ」になることはない。それは、インターネット上の情報を全部パトロールするように見て回っているシステムがあるせいだ、といったことを何かで読んだ記憶があった。それ以来、SNSの世界が、AI的なものに支配されている「ターミネーター」の映画みたいなイメージになってしまった。メールアドレスを表示している時、「@」のところが「☆」になっていたりするのは、迷惑メールがとんでもなく増えるのを防ぐための方法といったことも、どこかで知り、忘れられなくなった。
 今になってみれば、それらがどこまで本当か分からないものの、こわさだけを、勝手に蓄積していた。

 個人的なことに過ぎないけれど、社会人になってから3回目の大きな変化があり、大げさにいえば、生き方そのものを、質的に変えなくてはいけなくなって、いろいろなことが行き詰まっていた。どうしようかと迷っているばかりで、仕事も広がらなかった。今は、こうしてインターネット上に書けるから、何かを変えようとするならば、まずは、それも始めてみればいいのに、勝手に、こわさだけを自分の中でふくらませて、ためらっていた。
 こういう思考そのものが、日常的にSNSを活用している人たちから見れば、不可解なものになるとは思うのだけど、ずっと使っていない人間にとっては、目に見えないハードルが自分の中にあり、いろいろな言い訳を自分にしては、ずっとためらっていて、書こうと思ってから、初投稿まで半年以上かかった。

 やっと投稿をした。なんだか達成感もあった。やろう、やらなくちゃ、と勝手に予定を立てて、自分に課していた義務を果たしたから、ホッともした。夜中の12時を過ぎていた。プロフィールも書いていないし、写真なども載せてないし、ただ、伝えたいことを書いただけだから、誰も読んでくれないと思っていた。
 そうしたら、メールが来た。『〇〇さんが「スキ」しました』。見たことがない文章だった。フェイスブックの「いいね」みたいなものだと推測したが、最初は、ちょっとびっくりし、そのあと少しこわくなった。こんなに、ひっそりと投稿しているのだから、誰かが見てくれるとしたら、インターネット上の情報を全部見て回るようなシステムではないか。システムでないとしたら、あらゆる人の文章を見て回っている人ではないか、というような疑念を勝手に持ってしまった。ただ、投稿してから2時間で、他に2人から「スキ」をもらって、やはり、うれしい気持ちも混じってきて、「いいね」の数を増やしたい、といった気持ちが、初めて実感として、少し分かったように思った。左下の小さいハートマークの意味を初めて、ちゃんと知った。

 昼前に起きて、人に広く伝える努力を一切していないから、とても図々しい思いなのも分かっているけれど、また「スキ」を知らせるメールが来ているかとも期待して、メールを確認した。当然のように来ていなかった。それから、「スキ」をしてくれた方々のnoteをのぞいた。「♡」の数を初めて意識し、それから「スキ」をしてくれた人に、どう反応すればいいのだろう。こういう場合の礼儀みたいなものがあるのだろうか、検索しようか迷いながら、その方々のnoteの作品を、いくつか読んだ。
 どの人の文章も正直で誠実に感じた。特に最初に「スキ」をしてくれた人は、自分の疑り深い心が、改めて恥ずかしくなるくらい真っ直ぐな思いを感じる文章だった。いろいろと疑ったり、こわいと思ったりしたことが、申し訳ないと思った。ごめんなさい。
 その方々の気持ちが、より素直にあらわれていて、こちらに直接伝わってくると感じた文章に「スキ」させてもらった。その人たちにとっては、日常的なごく軽い行為だとは思うのだけど、うれしさが、また広がっていくように思った。

 このちょっと温かい気持ちを、いつ感じたのかを思い出した。
 誰も知っている人がいない場所、たとえば新しく学校へ入学して、ただ緊張していて、下を向いている時、声をかけてもらい、会話を始めた時の感覚に、ちょっと似ているかもしれない。そんな気持ちになれる時が、そんな場所が、まだあることを確認できた気がしたら、さらに、温かさが、ちょっと柔らかくふくらんだ。今の状況で、閉じこもりがちになっているので、よけいに、そう感じたのかもしれない。

 こんな風に感じたことや、思ったことや、考えたことは、普通にこうしたSNSを使ってきた人から見たら、なんだか不可解で、いろいろと間違っていることも多くて、とても恥ずかしく思えることかもしれない。さらには、あと半年たったら、自分でも滑稽に思えてしまうことかもしれないけれど、初めの頃の気持ちは忘れがちになるので、できるだけ正確に、書いておこうと思いました。「スキ」をしてもらった方々には、改めて、お礼を言いたいと思います。ありがとうございました。おおげさかもしれませんが、世界の見え方が、ほんの少し変わりました。



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