ワクチン予約。緊張の12日間。緊迫の40分。
高齢者への、新型コロナワクチンのワクチン接種が始まったけれど、それは予約をしないと受けられない。自分の住んでいる地域では、2021年5月21日から集団接種の予約も始まった。
いつの間にか、早い者勝ちのような空気になっていて、その上、すでに集団予約や、大規模接種は始まっていて、いろいろなニュースを、嫌でも目にするようになっていた。
ワクチン予約への不安
私は、二人分の予約を取らなくてはいけない。
こんなにコンピュータのスキルが低くても、一応は使えるので、サイトから申し込むために、頼まれることになった。そして、希望も聞いたら、集団接種ではなく、出来たら知っている病院で個別で接種をしたい、ということだった。
それも、うなずけることだったけれど、自分にも不安は大きかった。
個別に関しては、自分が住んでいる場所では、2021年6月1日から予約申し込みが始まるはずだけど、すでに予約をとれる病院もあるのではないか、といった噂が流れ始めると、それが本当かどうかは分からないが、もやもやした。
個別接種の病院リストを見ると、サイトからの申し込みは行っていない場所もある。来院して予約。という言葉と、6月21日から。という表示もあるのだけど、そうなると、さらに3週間あとになってしまう。
5月21日から、この地域の集団接種の予約も始まっていた。
周囲の人でも集団接種で予約を取れた人は多くなってきたらしく、そんな情報はごみ収集日のたびに、飛び交っていた。だから、焦りはあった。大規模接種の予約の話を、まだ聞いたことがないのは、そのために大手町まで行かなくてはいけないからで、あれだけ人流抑制、ということが言われているのに、新たに人の流れを作ってしまうことになるのは、いいのだろうか。
ワクチン予約の要望
ワクチン接種の予約に関して、2人に依頼されていたので、その人たちの要望を聞いた。
個別の接種で、できたら、これまで知っている病院。
それも家から歩いているところ。
でも、近いけれど、避けたい病院はあること。
最初に、そうした大雑把な希望を聞いていた。ご近所にも、ご高齢者も多く、やはり、ご自身ではなく、別の場所に住むお子様に頼んだ、といった人たちも多く、そして、予約が取れた、という話だけは多くなっていたし、個別接種は一ヶ所あたりのワクチンをキープしている数が少ないのではないか、という声も聞いて、それもそうかもしれない、と不安になった。
5月が終わる頃になってから、もう一度、もう少し細かく希望を聞くために、文書を作った。相手にとっては、うっとおしいだろうな、と思いながらも、確認した方がいいと思った。
そうすると、最悪の場合は、6月1日に予約は取りたいので、集団接種でもやむを得ないけれど、歩いていける範囲にしたい、ということが分かった。それを確認した上で、ただ、依頼されているのは二人で、その人たちが一緒に行けるようにしたいけれど、場合によっては、できない可能性も伝えた。それは、これまで聞いた話だと、ご夫婦で、一緒に予約をとってもらっても、会場は一緒でも別の日になってしまったこともあるからだった。
ワクチン接種自体が、楽しいことではない。それも、今のところ、まだ全容が明らかになっていない病気のワクチンだから、不安なことも多いはずだ。そして、例えばご夫婦で、もしくは、私が依頼された今回のように友人同士で、二人で行くことも多いはずで、だから、予約申し込みの際に、できたら、二人一緒に申し込めるようなシステムにすれば、それで、少しでも不安が減る可能性が出てくるのに、と思っていた。
今のサイトを確認したら、それは不可能なようだ。
なんだか、微妙に残念なことが多い。
眠れない予約前日
6月1日の何時から、個別接種の予約が始まる、といった具体的な文字が、サイトを見ても、直接的に書いてあるわけではなかった。何時に起きればいいのだろう、と思って、再び見たら、システムメンテナンスで予約できない時刻が、6月1日の午前8時30分までだったので、その時刻を過ぎてから予約が可能なようだ。8時30分には、コンピューターの前に座り、なるべく素早く手続きをしないといけないのは、分かった。
前日は、5月の最後の日だった。
明日は、予約のために、午前8時過ぎには起きなくてはいけない。
さらに、ワクチン接種のために必要な、二人分の番号と、パスワードになる生年月日の情報を、ワードで打ち込んで、そんなに時間の節約にはならないけれど、操作が遅い自分にとって、コピペができるように準備をした。
さらに、無理かも、と思いながらも、その予約サイトのページを、それも二つ開いて、もしかしたらほぼ同時に操作ができるかもしれない、といったことを思って、でも、できる準備はそれくらいだった。
夜は、いつもよりも早めに寝た。
だけど、体がかゆかったりすることもあるのか、それよりも、明日は寝坊ができない、といった緊張があるせいか、なかなか眠れない。ちょっと辛かった。何時間も、うつらうつらしていたのか、少しは寝たのかよく分からなかったのだけど、それでも、気がついたら、午前7時半だった。あと1時間後には、予約を取らないといけない。もう少し寝ないと、と思いながらも、なんだかすでに緊張して、うまく眠れない。
2021年6月1日。予約開始
午前8時過ぎに起きて、顔を洗う。
それから、牛乳と飲むヨーグルトを混ぜたものと、チョコを少し食べて、コーヒーも飲んだ。
ラジオ番組を聴きながら、コンピューターを立ち上げ、昨日、準備した予約サイトを開き、番号を打ち込んだワードも開く。伊集院光の声になったから、午前8時半になったはずだ。
そのサイトに、番号をコピペしたけれど、反応がない。
まだスタートしていないのだろうか、と思ったが、一応、また同じサイトを新たに検索をし、再び開いたら、番号が入力できた。今日の、今のサイトでないと出来ない。そういう常識を、ちゃんと分かっていなかった。
まずは、一人目。ワクチン接種番号と、生年月日に関連するパスワードを入れる。
次は、電話番号の欄が出てくる。
聞いておいてよかった。
次は、接種会場を検索しなくてはいけない。何ヶ所か、候補を聞いていたのだけど、何しろ第一候補の病院の名前を入れて、開けた。
予約のためのカレンダーが出る。
すでに、三角マークも多く、✖️マークもあるように見えた。
予約が取れないこともありそうだ。
焦る。
前もって聞いていた「ダメな日」を避けて、そこをクリックすると、時刻が出る。それをクリックすると、予約が完了しました、という文字が出たけど、それは、普通の文字の大きさで画面上部に出ているので、最初は気がつかなかった。
予約票のプリントアウトもしたかったけれど、まだもう一人分の予約をしなくてはいけなくて、できたら、同じ場所、同じ時刻にしたいから、ここまでの作業を同時進行にしたかったけれど、自分のスキルでは無理で、もう一度、ワクチン接種番号と、パスワードを打ち込むしかなかった。自分では、できる限り、急いで、病院を検索したら、一人目の方と同じ日は、すでに✖️マークになっていた。
さっきから、2分もたっていない。うわー、っと思ったが、この予約を取る前に、二人が別の日になっても、とにかく予約を取ってほしい、という意思は確認していたので、二人目の予約は、同じ場所だけど、数日後に予約をすることになり、予約を完了しました、の文字は確認できた。
ちょっとホッとしたが、この予約をしたことを渡すために、予約票をプリントアウトした。二人目のものを最初に印刷した。そして、同じ画面に開いたままにしていた、一人目の、予約票のプリントアウトをしようとしたら、二人目の帳票が表示される。
また、ウワーっと思う。それは、一人目の予約が、二人目の予約の操作によってキャンセルされてしまったのか、という焦りだった。
二人目のサイトを、一度閉じて、一人目の番号から打ち込みし直して、サイトを開けたら、一回目の予約は、まだ生きていた。よかった。そして、予約票を印刷する。
ホッとした。
二回目予約への不安
ただ、そういえば、二回目の接種予約をどうしたらいいのだろう。
この予約サイトには、読んでもはっきりとは書いていないし(見落としていたのかもしれないが)、ニュースを見ていたら、それは、大規模接種会場での声だったのだけど、一度目を接種し、二度目は、ここで予約しました、といったことを言っていた姿を思い出した。これで一応は終了した、と思った。
依頼されたお二人の日程を一緒にすることはできなかったが、一度目の接種の予約を、希望の病院で、個別接種はできるので、少しはよかったと思った。
それでも、微妙に不安になってきたのは、私がニュースで見たのは、大規模会場の映像だった。個別接種の場合は、一度目を受けて、本当にその場で二度目の予約もできるのだろうか、と思った。
それは、さっき、一人目の予約をしているうちに、二人目の予約を同じ日にできなくなるほど、わずかの時間で、予約は埋まってしまうので、もしも、実際に一回目の接種の日が来たら、すでに、二度目の予約ができないかもしれない。
また不安になった。
コールセンターに電話をした。
何度しても、NTTです、この方面は大変混み合っています、という声が聞こえてくるだけだ。3日かけ続けて、つながらなかった人がいた、という話を思い出す。なんだか、不安がふくらむ。
もう一度、大田区のサイトの違うページを探す。
それは、厚生労働省のサイトと、首相官邸のホームページから、引用し、作成されたものだという但し書きがあった。
その中で、二回目予約に関する「Q &A」もある。
Q5 質問
1回目と2回目の予約をまとめて取ることはできるか。
A お答えします
1回目の予約時に2回目の予約ができます。
ただし、ワクチンの供給量に応じてご要望に添えない場合はありますので、予めご了承ください。
引き寄せられるように目に飛び込んでくるのが、最後の行だった。
「ワクチンの供給量に応じてご要望に添えない場合はありますので、予めご了承ください」。
これまで、大丈夫です、ワクチンは十分にあります、という声は聞いているけれど、途中で、事情が変わりました。申し訳ありません、といった文字とともに、「ご了承ください」という言葉が出てしまえば、二度目の予約が取れなくなるかもしれない。そんな考えが頭を回ると、さらに焦って、やはり、今日、ここで二度目の予約を取らないとダメだ、と思う。
二回目の予約開始
もう一度、最初から、予約を始める。一人目の方から。
同じ手順で、病院も一緒で、そして、カレンダーが出てきて、ついさっき、あわてて、二度目の予約可能な日程の確認も本人に取れたので、その日をクリックする。怖かったのは、はっきりと、二度目の予約、という文字が、ここまで一度も出ていなかったから、この予約の作業を再び行うことによって、一度目の予約がキャンセル扱いにならないだろうか、という気持ちが続いていたからだ。
その手続きの最終段階まで進んで、やっと一度目の予約は取れていることと、この操作は二度目の予約のため、だということが分かって、少し安心し、その後、予約は完了しました、という文字は出た。
ここで安心できないのは、二人目の二度目の予約が取れていないからだ。
また二人目の予約のための操作を始める。
そして、カレンダーまできたら、二度目は、二人とも同じ日で、同じ時刻が取れそうだった。
予約が完了した。
二人分の予約票も、プリントアウトした。
まだ疑う気持ちもあったけれど、ここまでで、一応は予約も取れたと思う。
気がついたら、午前9時になっていた。コンピューターの操作を始めて、40分たっていた。
自分のスキルが低いせいもあるけれど、緊迫した時間がずっと続いたせいで、なんだか疲れた。
減らしてほしい不安
コロナ禍で、これだけ感染が広がったら、誰でも、いつ感染するか分からない。
その不安はずっとあるのに、ワクチン接種の予約をするだけで、不安と緊迫が、それに加わってしまった。
予約制は、早い者勝ちになってしまうし、その分、不安が膨らんでしまう。
全員接種を目指すのであれば、違うやり方もできるはずだと思う。
それが無理であれば、この予約のサイトも、もう少しだけでも言葉が変わったり、加われば、少しでも不安が減ると思う。
まだワクチン摂取も続くのだから、混乱や不安や苦情の電話などを減らすためにも、それは地域によって違うとは思うけれど、少なくとも東京都大田区では、サイトの見直しはしてほしい、と思う。例えば、一回目の予約と、二回目の予約を不安なくスムーズにできるような言葉は、もう少し必要だと思う。
それでも、予約ができて、思った以上に、ホッとした。
ワクチン接種の予約だけで、こんなに妙な疲れにつながるのは、やっぱりおかしいと思う。
まだ、今度は自分のワクチン摂取もあるけれど、それは、いつになるのだろう。
大田区の、「16歳〜60歳未満の方」の欄には、まだ「検討中」の文字がある。
(他にも、いろいろと書いています↓。よろしかったら、読んでいただければ、うれしいです)。