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詩「ある盲ろう者の夢」(アレックス・ガルシア) 日本語訳 Ver.0.5

ある盲ろう者の夢

アレックス・ガルシア、盲ろう者

いつの日か……私は人類の中で“目立たなく”なる
いつの日か……人類は失われた我慢強さを取り戻す
いつの日か……人類は知恵を救い出し、私のコミュニケーションを理解する
いつの日か……人類は再び、太古のように互いに寄り添う
いつの日か……人類は偏見から解放され、恐れずに私に私に触れる
      私はいつの日か「壁の中の別のレンガ」ではなくなる
      ピンク・フロイドの「Another brick in the wall」ではなくなる
いつの日か……現代の精神分析の創始者の 1 人であるカール・ユングがいう
      「同じ水飲み場で水を飲む」ことは必要ではなくなる
いつの日か……人類は、盲ろうから
      「最も恐るべき状態」というレッテルを取り除く
いつの日か……人類は、
      「孤独であること」は見捨てられることではないと考える
いつの日か……盲ろうであることが私たちにもたらす「孤独」は、
      私たちが私たちを恐れない未来の種となる
いつの日か……私は、自分が何者であるのかについての先入観を変え、
      「盲ろう者だ、かわいそう」という言い方を忘れさせる
いつの日か……人類は私のあり方を見て、
       私の本質と私の苦闘をいずれも価値あるものとし、
      「盲ろう者だ、すごい」と語るようになる
いつの日か……私は人間の心から「恥」を消し去る、
      それは管理の道具だから
いつの日か……すべての人が神の作品であり、
      平等であるが不完全であることを
      人類が理解し、価値を認める
いつの日か……私が「いる」のではなく、私は「ある」
いつの日か……私は「強く」あることを学び、何者にも打ち倒されなくなる
いつの日か……誰にも忘れられない「私」になる
いつの日か……私の夢が未来を形づくる
いつの日か……人類は人間になる

詩「ある盲ろう者の夢」は、盲ろう者のアレックス・ガルシア(www.agapasm.com.br/alexgarcia.asp)によって書かれました。

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この詩の日本語訳に関するノート

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