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梨木香歩『ピスタチオ』読了

梨木香歩は学生時代、大好きな作家ベスト3のうちの1人で、そのベスト3は、そのまま更新されずに今に至る。
(しかし、よく考えてみると、ちょっと入れ替わった人もあるかもしれない…と、今考えてみると思う。)

とにかく、梨木香歩の作品は物語、エッセイともに好きで、高校生の頃には、当時出ていた小説については、だいたい読んだのではないかと思う。

きっかけは、『西の魔女が死んだ』だった。この本がなんといってもナンバーワン。

その他に特に好きな本は『家守綺譚』のシリーズ。


どちらも、心が温まるような、優しい物語だが、今回の『ピスタチオ』については少し違う。

常に死の影が付き纏う。
最初のうちはそれが何なのかわからず、不気味さを覚えた。
静かな夜に、一人で読んでいると何だか怖い感じがして、BGMにラジオをつけたくらい。
でもホラーではありません。

舞台は初めは日本だが、アフリカへと移っていく。アフリカの国々のことを、私は普段考えることがあまりない(アフリカに限ったことではないが)。
私にとっては馴染みのないアフリカだが、主人公は、過去にもアフリカへ行っているので初めてではない。でも、緊張感のある旅だ。

物語の最初から最後まで、その流れはとても美しく、まさに宇宙タイミングってこういうことなのだろうな、と考えながら読んだ。

人生は自ら切り拓いていくもの、というよりは、流れに乗っていくものなのかもしれない。
流れに逆らう方法を考えるのではなく、どうすればより気持ちよく流れに乗ることができるのかを考えていくということ。

もしくは……
いかに、その流れを自分で決めたことにするか。

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一度読んだだけなので、回収しそびれたものがあると感じる。東風のこととか…

死者のための物語というのは、なんとなくわかる。それは、生まれるときにすでにあるものかもしれないけれど…自分の魂が、この世界にやってくる前に紡いだ物語。

この本はまた、読む機会があるだろう。
それはもしかしたら自分の、或いは自分の周りの「死」について考えたいときかもしれない。



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