【ビジネスボックス #001】セブ島のタクシー業界についての現地リサーチ2018
このコーナーは、普段生活する上で感じたビジネスチャンス、思いついたビジネスの芽、思考や情報、ビジネスの回顧録が詰まった意見箱(ボックス)です。
今回はフィリピンのセブ島に行って、タクシー業界について現地の運転手にかなり詳しく聞いたのでそれをシェアしようと思います。
フィリピンのタクシー業界について
フィリピンのタクシーは購入価格は1台約120万円、多くは日本のトヨタ車。
車種についてたずねると、韓国のヒュンダイはすぐ壊れるからダメ、ホンダはブランドだがメンテナンス費用が高いからコストパフォーマンスが低いため採用されていない、との事。
ホンダのブランド、あのエンブレムが欲しいというだけでトータル2倍のお金を支払わなければならない。馬鹿馬鹿しいね。
との事。
ほとんど全員のタクシー運転手は、車を自分で買えるほどの資金力が多くの人には無いため、タクシー会社からリース契約で借りる方式を取っているとの事。
マクタン島にあるクラブレストラン。ショーも開催されており、ワインも多く完全なる観光客向けの店。お腹いっぱい食べて1人5000円程度。
タクシービジネスの仕組み
タクシー運転手は1日1台につき3000円をオーナーに支払う。
ガソリン代は別で、島国であるセブ島ではガソリンが高く1日1500〜3000円ほどかかるそう。
つまり1日6000円以上は稼がないと、赤字になる計算です。日本の感覚からしても、それほど安くは無い気がする。
オーナーからすれば、メンテナンスフリーのトヨタ車であれば年間200日稼働させて年60万円、2年で元が取れる計算になる。
割と美味しいビジネスだ。
運転手に大人のおっさんが多いのには理由があるそう。
ある程度騙したりメーター早回ししたりして、観光客から金をぶんどらないと儲けが出ないから、そういう悪い事をできてかつ金がある程度あり地理もわかる、となるとおっさんが多くなるという。
これには納得した。
オスロブで開催されている野生のジンベイザメツアー。普通に目の前にくるしなんなら当たりそう。8mくらいはあるので人間5人分くらい。
タクシー運転手になるまで
2018年のセブ島では移動手段は大きく分けて2つ存在する。
1つはジブニーという自由に乗り降りできるバスのようなタイプ。これは特定の2地点をひたすら往復するだけで、どこから乗ってどこで降りても良い。お金はどこから乗ってどこで降りてもたった8ペソ(16円)。
現地の人が多く使っている。いわばバスのような存在。
もう1つはタクシー。こちらは初乗り40ペソ(80円)で、2ペソずつくらい上がっていく。30分くらい乗っても200ペソ(400円)くらいなのでかなり安い。
運転手にジブニーを運転していた事はあるか?と尋ねると、答えはもちろんイエスだった。
ジブニーの方が稼げるが、エアコンがなくて暑いし砂埃もすごい(窓がない)。
若い頃はやっていたけど、ある程度大人になってからはタクシーの方がリラックスできて涼しいし、観光客の方が金払いも良いからもっぱらタクシー。
だという。
彼は僕が滞在中最も英語が流暢な運転手だったので、その言語能力も相待ってソコソコの額を稼いでいるに違いない。
誰でもできるが労働環境が劣悪で稼げるジブニーと、言語能力や多少の悪をやらないとペイしないタクシー運転手、生き残り競争は厳しい。
Uberはなぜ流行らない
Uberについて運転手にたずねると、「やってみたがすぐに辞めた」と言う。
理由は
1、GPS情報をもとにピックアップするのが大変
2、売り上げの20%をUberに取られるため、労働意欲が削がれる
の2点だそう。
タクシーは会社に支払うフィーが常に一定なので、頑張れば頑張った分だけ自分の取り分となるが、そうはいかないUberは人気がない様子。
運転している途中、とある車を指差して運転手はこう言った。
見ろ!あれ多分Uberだぞ!後部座席に人がいないにもかかわらずこんな所でUターンしようとしているなんて、目的地にたどり着けなかったって事だ!だからGPSでピックアップするのは嫌いなんだ!
Uberがどうも嫌いらしい。
Uberのようなサービスを地球で展開する際、ライバルとなる既存の業態を調べなければいけない事が再確認できた。
特に労働者が労働意欲を削がれないよう、いかにしてうまくフィーを搾り取るかという点においては注意が必要だろう。
逆に既存業態より労働者にインセンティブがある(ように見える)フィーの設定にすれば、現地の人はすぐに乗り換えるだろう。
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