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幸せな時間というもの儚く短い

転校したのちの小学校、中学校時代は嫌な記憶はほとんどない。
特別いじめられることもなく、同級生の輪に入れたことは今考えてもラッキーだった。

私立の小学校というのは公立に比べると学ぶスピードが早かった、少なくともわたしはそうだった。
引きこもりで暫く学校を休んでいてもテストや宿題など何一つ困ることはなかった。

友人関係も気兼ねなく話せる友人が多くいた。
母親の血のおかげか中途半端ではあるが顔も整っていることもあり、女性からの印象も悪くなかった。

中学も公立に進学、別の小学校を卒業した人との新たな出会いも大きなトラブルはなく、今も付き合いのある友人ができたり、淡い恋愛経験など。

今思い出してみても文章にするほど面白い出来事はなかった。もちろん記憶は幸せな思い出だが。

だが、その幸せは長くは続かない、物語でも常にハッピーなんて内容はない、知らないだけかもしれないが。

中学生時代はいつまでも続かない。
時間は有限なのだ、わたしも中学卒業を迎え、高校へ進学することになるのだ。
深くは考えていなかった、今の家に暮らし、祖母と暮らす、そんな風に考えていた。

だが現実は違った、父親は虎視眈々と私と暮らす準備をしていたのだ、父親は私と別れてからも必死に生活環境を整えていたのだ、新たに会社を起こしそれなりに成果をあげ、生活の基盤を作ったのだ。
父は優秀なのだ、その点は確かに認めるし尊敬さえもある。
だが父親としてはどうだろうか、全く尊敬はできない、祖母とは比べ物にならない。
更に追い討ちとして、再婚した。
知らぬまま、新たな母が存在していた、そしてその母は命を宿していた。

せっかく築き上げた友人関係を失うこと、顔も知らない義母、さらには半血のブラザー。
どう考えてもプラスの要素が見えない。
祖母との生活を続けたい、だが現実はそうはいかない、祖母も高齢、決して裕福ではない、いつまでも私を育てることもできない。私の父親の兄と住むことが決まっていたのだ。

あの時、他に何か手はなかったのか、今も思っている。
それで今が変わったかどうか、それはわからない。
だが何か変わった可能性もある。

あの時、私に勇気があれば。

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