見出し画像

ショートストーリー「キャラメルの箱の味」

小さな子供と老人が公園のベンチに座っていた。子供は、帽子を被っている。帽子には青葉保育園とある。

恐らく祖母と孫の関係だろう。この二人を見たのは今日で五日目である。二人は、いつもキャラメルを一粒ずつ食べているようだった。

僕は、彼らを視界の片隅において、コーヒーをゆっくりと飲む。

今日も変わらず老人が、キャラメルを箱から取り出す。それを子供は小さな手で受け取ると、すぐに口に入れた。

その時の嬉しそうな顔を見ると、少し気持ちが穏やかになるのだ。僕はコーヒーを飲みきると、缶を捨て公園から立ち去った。

私は孫の手を握りながら、夕日の中をゆっくりと歩いていた。口の中にはまだキャラメルの味がほんのりと残っている。

「今日はママ、何時に帰ってくるの?」

隣で孫がこちらを覗きながら聞いてくる。

「真ちゃんが賢く寝たら、帰ってくるかな。でも明日からは、早く帰ってこられると思うよ」

「今日も遅いのか、、でもお仕事だから仕方ないね」

この子の両親は共働きである。この子にとっては寂しい事だろう。少し可哀想に思うときもある。だからこそ自分が出来ることは、してあげようと思っていた。

孫を寝かして、母親が帰ってきてから、自分の家に帰った。自分の家に着くと、いつものようにキャラメルの箱を、自分の部屋の引き出しに入れた。これでまた一つ、孫との思い出が貯まった。しかしその時に一瞬だが、目の前が真っ暗になった。

俺は睡魔に耐えていた。聴こえてくるのは、意味の分からない言葉ばかりだ。祖母が亡くなったのは、昨日のことである。一週間前に倒れてからは一瞬だった。まるで、スーッと魂が抜けていったかのようだった。

俺はもしテロリストが入ってきたら、どうするかをシュミレーションしていた。

祖母のことが嫌いでは無かった。小さい頃に幼稚園の迎えに来てもらっていたのは、今でも覚えている。本を読んでもらったこともあるし、一緒にトランプをしたこともある。

しかし小学校に入り、中学校に入り、だんだんと会わないようになっていった。塾に行くようになってからは、殆んど会っていなかった。避けていたわけではないが、会いに行こうとも思わなかった。

お葬式が終わって、家に着くと着ていた学ランをすぐに脱いだ。それから、トイレに走った。実はずっと我慢していた。

「今からおばあちゃんの家に片付けに行くから準備して~」

トイレの外で母親が大きな声を出している。父親だろうか、慌ただしく走る音も聞こえる。

トイレから出ると、母親はもう準備を済ましていた。どうやら喪服のまま行くつもりらしい。

おばあちゃんの部屋のふすまを開けた瞬間に、懐かしい畳の匂いがした。

部屋に踏み入れた瞬間に机が目に入った。その時、俺はふとキャラメル箱の事を思い出した。保育園の頃に一緒に食べたキャラメルの箱を、おばあちゃんが集めていたのだ。

机の引き出しを開いてみると、そこには沢山のキャラメル箱があった。おばあちゃんとの思い出が貯まっていた。

俺は、箱を一つ手に取ってみた。すると中に何かが入っているのが分かった。

俺は箱をゆっくりとスライドさせて開けた。中には折り畳まれた紙と、キャラメルが二粒入っていた。

紙を広げてみるとそれは手紙だった。

真ちゃんへ                                                         元気にしていますか?おばあちゃんです。真ちゃんは一緒にキャラメルを食べたのを覚えていますか?おばあちゃんは、真ちゃんとキャラメルを食べるのが大好きでした。これからも沢山大変な事や、辛いことがあるかもしれません。それでも忘れないでね。おばあちゃんはずっと真ちゃんを応援していることを。頑張れ、真ちゃん。                                     真ちゃんのおばあちゃんより

手紙を読むと涙があふれでた。俺はキャラメルを一粒口に入れた。

懐かしい、あの味が口の中に広がった。

おわり

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

こんにちは。男子中学生の3maru14です。

どうだったでしょうか?まだまだ未熟なところは沢山あると思います。

何か感想や意見があれば、コメント欄で是非お願いします!

最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

サポートお願いします!スキやフォローもしてくれると嬉しいです!