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#62 星屑を煮込む釜鍋

カウンターの方へ移動した時に
前回見た覚えのないものを見つけた。

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魔女が使うような釜鍋を小さくしたようなものだった。
その両サイドと正面には
七色に煌めく宝石のようなものが付いていて
シンプルながら目を惹く釜鍋だった。

その釜鍋の中には
無数の星が溢れんばかりに入っていて
何やら煮込まれているようだった。

あるものは様々にカラフルな光を放ち
あるものは炎のように揺らぐ光を放っていた。

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「Francescoさん、この鍋は、何ですか?」

「これは集めた星屑を煮込んでいるところさ。」

「星屑を…?煮込んでいる…?」

「星にも寿命があるのは知っているかい?
寿命が尽きた星はバラバラになってしまうが
実は核となる中心部は残るんだ。
この半透明なのがわかりやすいかな?」

そう言って、中が良く見えるように
私の方へ釜鍋を押した。

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「この白っぽいの?
…なんだかたまにキランッて色が光ってます?」

「そう。たまに色の光が見えるよ。
赤やピンク、緑、青とかね。」

「これが星屑…?」

「そう。放っておくと宇宙空間を漂うんだが
これがたくさん漂うと視界が悪くなるのさ。
あとは隕石として他の星に落ちてしまう。
だから私のような星を読む者や天文学者が
定期的に回収している
のさ。」

「へぇ~。
それで…煮込むのは…?」

「また宙へ還すためさ。
キチンと手順通りに煮込めば
このように様々な光を放つか
炎の様に揺らぐ光を放つ
ようになる。

かなりの星が溶けているだろう?
これが最終的に粉になるまで煮込むのさ。
その粉を川に流せばやがて天に還って
天の川になる。
それがまた新たな星の素になるのさ。」

「え!天に還ってまた新たな星に!?」

「そう。まぁ、今ここで煮込まれている星が
新たな星になるまでは
随分と時間がかかるよ。100年はかかる。」

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「ということは、今宇宙にある星は…」

「そう。もっともっと前に
星屑を回収した人のおかげで
輝いている星かもしれないのさ。」

「そうやって
ずっとずっと護られてきたんですね。
全然知らなかった…」

「知らなくて当たり前さ。
星屑の回収は君たちの世界では知られていない。

「確かに。聞いたことないです…
きっと他にも知らないことだらけなんだろうなぁ。
あ!知らないことと言えば!」


私は、Francescoのお店に来た理由を
やっと思い出した。



これが星屑を煮込む釜鍋のおはなし。
続きはまた次回に。


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