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#64 手紙を持ったフクロウ

Francescoから不穏な予言を聞いて
自分の世界に戻ってから数週間経った。

予言のことは頭の片隅に置きながらも
私は普段通り過ごしていた。

唯一普段と違うことと言えば、
Oliviaからのフクロウ便が楽しみだったので
毎晩窓の外を眺めたり
外の音(嘴や羽根で窓を叩いて合図するのか?)を
気にして過ごしていたことくらいだった。


ある日、私は朝から買い物に出ていた。
すっかり春の日差しが出始め、
陽も延びていた。

自宅が見える距離まで歩いたころ、
近くの街路樹から
高い声でホッホッと鳥の鳴き声が聞こえた。

フクロウみたいな鳴き声だな…
夕方だし、こんなところで珍しいな。と
思ったと同時にOliviaのフクロウ便のことを思い出し
その声の主を探して樹を見上げた。

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自分の立ち止まったところから2つ前方の街路樹の
2.5mほどの高さのところに
長財布ほどの大きさの楕円形の茶色いものを見つけた。

近づいてよく見てみると、やはりフクロウだった。
その脚には何かが括り付けられていて、
じっとこちらを見下ろしていた。

これは、どう受け取ればよいのか…
と思った瞬間、
そのフクロウは小さくホーッと鳴き
Oliviaに伝えておいた私の部屋の窓へと飛び立った。

私は慌てて自分の部屋へ向かった。


部屋に入って窓を見た。
窓の外で、巻かれた手紙がプランとぶら下がっていた。

フクロウは細い窓枠の上に
かろうじて留まっているようだった。


私は急いで窓へ向かい、そーっと窓を開けた。

そのフクロウは開けた窓の桟に移り、
手紙の括られた足を軽く私に差し出した。

「あ、取ったらいいの?
ありがとう…」

フクロウは勿論、鳥と触れ合うことなど
ほとんどない私は
ぎこちない手つきでひもを解いた。

巻かれた手紙の見えるところに
「水」と書かれていた。

写真 2020-07-07 8 30 51

フクロウはじっと私を見たままだった。

「あれ、これって何か必要なの?
受け取ったサイン…じゃないよね?
お金?…を入れるようなモノも
持ってないみたいだし…」

と考えながら手紙に目を戻して
ハッとした。

「あ!水!!そういうことか!
ちょっと待ってて。」


私はキッチンへ駆け
小鉢に水を入れて部屋に戻った。

フクロウは置物のように
窓の桟に留まったままだった。

水をどこへ置こうと一瞬悩んだ。
桟に置くと不安定だが
ベランダがないので外には置けなかった。

フクロウを部屋の中に入れるしかなかった。

「あなたの大きさなら
部屋に入れても大丈夫そうだね。
いいよ、入って。ここに置いておくね。」


私はテーブルに小鉢を置いて、
フクロウを招き入れた。

フクロウはすぐに水を飲み始めた。

そして私はその横で
ずっと楽しみにいていた
Oliviaからの手紙を読み始めた。




これがOliviaからの手紙が来た時のおはなし。
続きはまた次回に。


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