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3 count...の仕入れ先『あちらの世界』のおはなし

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3 count...(3カウント)は、不思議なあちらの世界から仕入れた魔法や不思議な雑貨を使うハンドメイド雑貨屋さん。 minneギャラリーで販売中。 ここでは、アクセ… もっと読む
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#3C作品

#86 時を歪める蝶の雫

#86 時を歪める蝶の雫

「どっちにしても、私が学校に一緒に行くのは
ちょっと良くないんじゃない?」

「そんなことないよ。みんな自由に来るもん。」

「そうなんだ。じゃぁ、今度お邪魔してみようかな。」

Sophiaは
それを聞いて嬉しそうにニッコリと笑顔になった。

「そういえば、今までに
森の女神様の棲む場所に行った人はいるの?」

「いるよ!
真っ白の樹や蔦が絡んんでいる建物があって、
建物の中は朝も夜もずっと明る

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#81 Edward(エドワード)王子の氷の王冠

#81 Edward(エドワード)王子の氷の王冠

氷の配達馬車が購入できる窓口は
とても混雑していたが
氷の馬車を持っている人は少なかった。

そのほとんどが子供で
嬉しそうに手にしていた。

「ねぇ、これ、みんな馬車を買う人達なの?」

「う~ん。こんなに多くないはず…
欲しがるのはほとんど子供たちだし。」

列になれないほどの人の中で
やっと窓口に辿り着いた。

ネイビーに銀の装飾品の付いた、
郵便局員の分厚い制服を着た
恰幅のいい女性の窓口

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#80 氷の王国の配達馬車

#80 氷の王国の配達馬車

すっかり陽が落ちた街の扉の前で
Oliviaは鍵を取り出した。

「あ、そうだ!忘れるとこだった。」

Oliviaは自分の頭の頂点に杖をトンと当て、
次に私の頭にも同じようにした。

体の周りで何かふわりと空気の流れを感じた。

「これでOK。」
そう言いながら鍵を挿して扉を開いた。

氷の王国は、以前来た時の
どんよりとした殺風景な白っぽい景色とは
全く雰囲気が違った。

青や水色、白を中心と

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#78 妖精のためのファータの実

#78 妖精のためのファータの実

「あ、そうそう!この樹の実はね、
すっごくおいしいんだよ!
Fataは世界の何よりも美味しい実を作ったの!
あっちの方にいくつかなってるはず…」

Sophiaはファータの樹の一帯の
奥の方へ進んでいった。

私は樹を観察しながら
ゆっくりSophiaの後を追った。

「あった!こっちこっち!!」

Sophiaの声のする方へ行ってみると
その近くの樹には実がいくつかなっていた。

華の中心部と同

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#77 妖精のためのファータの華

#77 妖精のためのファータの華

「そうだ!
M.ちゃん、Fata(ファータ)の樹はもう見た?」

花冠を3つ、腕輪を4つほど作り終えた時に
Sophia(ソフィア)が言った。

「ファータの樹?
扉のある、精霊の宿る樹じゃなくて?」

「ううん、違う。
ファータの樹には綺麗なお花と実がなるよ!」

「そうなの?見てみたい!」

「連れてってあげる!来て!」

私は小走りのSophiaについて行った。

道のようなモノはもう何もな

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#75 精霊の宿る石

#75 精霊の宿る石

鍵を手に取った私は
前回深海都市への扉の鍵を買ったときのことを
思い出した。

深海へ行く準備を全くしていない状態で
何も考えずに扉へ向かおうとしていた。

鍵屋に声をかけられ、
薬のことを教えられなかったら
扉をくぐった瞬間、どうなっていただろう。

「あの…精霊の宿る樹の辺りは
何か行く前に準備するものとかありますか?」

「あぁ、前回は
深海にそのまま行くとこでしたもんね。
でも、大丈夫。

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#74 精霊の宿る樹への扉の鍵

#74 精霊の宿る樹への扉の鍵

落ち込んだ気分で自分の部屋に帰ってから
2ヶ月ほどが経った。

Oliviaからはフクロウが届いたりなどの
音沙汰も何もなかった。
きっと、気軽に連絡を取ることも
禁止されたのだろうと思っていた。

この2ヶ月、あまり積極的に
あちらの世界へ行きたい気持ちにならず
自分の生活に忙しく過ごすようにしていた。

しかし、あちらの世界には
ずっと気になっている場所があった。

それは「妖精の森」。

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#71 人魚のジュエリー~カリブの海馬~

#71 人魚のジュエリー~カリブの海馬~

Charlotte(シャーロット)の大きな尾びれに
私は驚いて立ちすくんだ。

Cherlotteも一瞬驚いた顔をしたが
すぐにクスクスと笑い出して
その場で漂うようにユラユラと上下していた。

「あら、人魚を見たのは初めてだった?
驚かせちゃったようね。」

Cedricも少し申し訳なさそうな顔をしていた。

「あぁ、そうか。
初めて見るよね?うっかりしてたよ。」

「あ、いえ、ごめんなさい。

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#68 海中守護の薬 60min.

#68 海中守護の薬 60min.

「あ、ちょっと待って!
お嬢さん、もしかして、一人で行くのかい?」

鍵屋の店員に、そう呼び止められた。

「あ、はい。」

「お嬢さん、ここの人間じゃないよね?」

「はい、そうですが…」

「どうやって深海で息するのか、
準備はしてますか?」

そこに関しては何も考えてなかった。
以前、凍てつく寒さの氷の王国へ行った時は
Oliviaの母のAlexが何か呪文をかけてくれた。

「あ…何も準備し

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#62 星屑を煮込む釜鍋

#62 星屑を煮込む釜鍋

カウンターの方へ移動した時に
前回見た覚えのないものを見つけた。

魔女が使うような釜鍋を小さくしたようなものだった。
その両サイドと正面には
七色に煌めく宝石のようなものが付いていて
シンプルながら目を惹く釜鍋だった。

その釜鍋の中には
無数の星が溢れんばかりに入っていて
何やら煮込まれているようだった。

あるものは様々にカラフルな光を放ち
あるものは炎のように揺らぐ光を放っていた。

「F

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#61 光る鉱石の星と宇宙飛行者のコルク瓶

#61 光る鉱石の星と宇宙飛行者のコルク瓶

Francescoの店に着くと
まだ店内には灯りが点いていた。

「こんにちは~」
私はそろりと店に入りながら声をかけた。

店にはFrancescoの姿はなかったが
店の奥には人の気配があった。

きっとまた星を読むのに集中しているのだろうと
私は店内を見て回ることにした。

店内をぐるりと回り
以前見た、月の降る夜の灯りが置いてある棚に来た。

以前はたくさんの小さな月が
様々な色の光を放って

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#58 炎が揺らぐ琥珀のドラゴンエッグ

#58 炎が揺らぐ琥珀のドラゴンエッグ

「Olivia、大丈夫?気分は?」

「えぇ、かなり良くなったわ。
…あなたは?」

「大丈夫。ありがとう。」

そう話していると
カーテンがそっと開いてMargaretの声がした。

「あら、起きたかしら?
気分はどうー?」

良くなりました、と2人で答えた。

「採掘チームから
嬉しいお知らせがあるようなの。
少し、チームのみんなを呼んでも良いかしら?」

そうMargaretが言い終えたと同

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#57 炎が揺らめく魔法鉱石

#57 炎が揺らめく魔法鉱石

「あ、Alexさん。
気のせいかもしれないけど、
私達のいたところに、何か埋まってるかも。
さっき、Danが来る前、何か光った気がして。」

「そうなの?
崩れてこないように片づけるから、
その時に少し調べてみるわ。」

採掘チームは
崩落現場を片付ける人と
私達と脱出する人と二手に分かれた。

OliviaとNoah(ノア)、私とLiam(リアム)の2人ずつで
二つのラグに座ると、宙に浮いた。

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#53 ドラゴンエッグストーン

#53 ドラゴンエッグストーン

Gretaたちと分かれて進んだすぐ先から
周りの岩の色がかなり青みがかっていた。

また、これまで以上に
通路の高さと幅が広くなっていった。

温度も少し下がって、気候が変わったような感覚だった。

Alexはさらにペースを落とし
ほとんど立ち止まりながら言った。

「この辺りから、ドラゴンの痕跡を感じるわ。
ここまでは通路だったけど、
少し前から空間が大きくなったでしょ?

それに、岩もドラゴン

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