都下の田舎で感じる「東京人」の意識(大石始「奥東京人に会いに行く」)
2020 年の東京オリンピックを控えたこの時期に、東京の周縁を取材した著者が触れた人・モノとその土地の伝承を記した一冊だ。思うところがあったので、内容を紹介しつつ書きたいと思う。
タイトルにもある奥東京とは東京都の境界周辺であり、他県との境界線付近の土地を指す。著者の目的は、「これまで馴染みがなかった土地の事実かホラ話かわからない『地域の話』を採集する」こと。そして、その土地ならではの風土を嗅ぎ取ることだという。
奥東京を巡るきっかけそもそもなぜ著者は東京の「奥」に興味を