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今だからこそ見たい作品「ロレーナ事件」 Amazon Primer@自粛中

勝手に銘打っていますが、私はAmazon Primeのヘビーユーザー。なので、Amazon Primer、笑。

最初は、英語を聞き流しするための、バックグラウンドミュージックくらいに思っていたのですが、眠れないときにスマホで視聴するようになっていました。

アメリカンドラマ好きなので、いろいろ見ていますが、今回はドラマより先にご紹介しようと思ったわけです。

新型コロナで自粛でDV増えてるみたいだし、忘れないうちに書いておこう!と。今ならゆっくり見て、改めて考える人も多いかもしれないという願いも込めて。


まずAmazon Primeって何?


掲載作品は、見放題のこのサービス。
詳しいことを解説している天才がいたのでご紹介します。

他のサービスはあまり使っていませんが、AmazonPrimeだけは、かなりヘビーに使っています。元取ってると思ってます、笑。

年間4,900円(税込み)です。月額あたりに換算すると408円。

月額プランだと500円(税込み)/月。この自粛生活の間は月額でも良いかもしれません。

うちは、娘たちと見ていたり、他のサービスも多いので使ってます。娘たちにはPrime Studentでも良いな、と思っています。

Amazonプライムと同じ内容+αで、6ヶ月間無料体験。その後も年会費は2,450円(税込み)。250円/月ですから。

申込みは貼っておきます。

アメリカの阿部定事件?

で、私が今回オススメするのは、アメリカの阿部定事件に似ていなくもない事件のドキュメンタリーです。

シリーズが4回に別れていて、ひとつが一時間ちょい。
全編で4時間あまりです。

1993年の事件なのですが、制作されたのは2019年。実は、この作品はトランプに対するアンチテーゼでしょうね。

大統領選の最中、トランプ氏による女性蔑視の言動が暴露されました。また、トランプ大統領が連邦最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏のセクハラ問題もありました。

#MeTooムーブメントにつなっがてきたこの30年近くのアメリカを俯瞰して見るような感じ

この作品にはいろんな軸があった、人権、セクハラ、法整備、移民問題、ストーキング、ヘイトクライム、差別、生育環境、自己肯定感、DV、マスコミのワイドショー化の理由、セカンドレイプなどなど。本当にいろんなことを考えさせられます。

なぜ、今、この作品をおすすめするのか?


単に、アメリカがこのムーブメントを先に体験したと思うからです。

昨日、リアーナもDV支援に2億3000万寄付しましたね。すごい。
どれだけの人が助かるでしょうか。

日本は、このDVの増加は、じきにやってくると思います。いや、実はかなりあって、表に出ていないということかもしれません。

その前に婚姻率が下がるかもしれませんが、婚姻だけでなく、恋人同士でもよくある話です。アメリカにその歴史や成り立ちを見るのは心の準備ができるかと。

日本はインドや中東・アフリカの一部の国とはちがって、あからさまに女性蔑視の犯罪が起こるわけではない先進国です。きちんと起訴すれば、法律で裁かれます。それは、詩織さん事件で世の中の雰囲気が変わったとも言えます。



そして、コロナ自粛でDV増えてるらしいですね。まぁ、こういう時に人の本質は出てしまうのかも。フランスのニュースが始まりだったような気がします。

フランスは、国家でDV対策に500万ユーロ(約5億8200万円)という予算をつぎ込んでいるので、それは逆に開示されているという証拠でもあるのかもしれません。マスコミが見張っている感じ。

ちなみに、EU統計局(European Statistical Office)の2017年のデータによると、女性10万人あたりのパートナーによる殺害率は、ドイツが0.23人、フランスが0.18人、スイスが0.13人、スペインが0.12人、イタリアが0.11人だそうです。

フランスの人口は6200万ですので、死亡者は1426人ってことでしょうか。うぅ、実数だと現実感が増しますね。

さて、日本のDVは?



日本は欧米に比べ、暴力を振るわない人は多いと思いますが、精神的なものはモラルが欧米と違うので判断がしづらい。もちろん、暴力をともなわないモラハラもDVの一種です。

個人的には、家父長制という文化背景のためか、精神的な部分はモラハラと言う認識もないのかもしれません。

明確な暴力だけでなく、非対称性に根ざした関係性の結び方もDVの一種だという認識も日本では少ないのではないでしょうか。

「関係コントロール型暴力」と呼ぶのですが「いじめ」「いじり」「無視」が意外とカジュアルに行われる日本だと「ねじれた被害と加害」なので可視化されにくいそうです。子どもの頃から生活の中に当たり前にある人も多いでしょう。

なにせ、パートナーとの関係は、まず親から学ぶからです。

1999年に「バンクーバーの日本総領事、妻への暴行容疑で取り調べ」という記事が朝日新聞で出ていました。

奥さんは告訴しなかったけど、奥さんが近くの病院で傷の治療を受けたことから、病院が 警察に通報。

そこでその総領事は「単なる夫婦げんかを暴力と見 るかどうかは、日本とカナダの文化の違い。大騒ぎするようなことではない」と警察に答えています。カナダのマスコミでは当時大きく報道されていました。

今、国会答弁を調べていたら、鈴木宗男が質問していました。どういう意図かはわからないけど、まともな質問な感じがしました。


詩織さん事件の判決は2020年。アメリカのアニタ・ヒル事件は1991年。

私の勝手な印象ですが、詩織さん事件は、1991年のアニタ・ヒル事件と似ています。当時は、ムーブメントが小さかったのですが、1993年のロレーナ事件の前哨戦。この時、セクシャルハラスメントという言葉が、アメリカで一般的になったと言われています。

アニタ・ヒルは、先程書いたトランプ大統領が2018年に連邦最高裁判事に指名したブレット・カバノー氏とまったく同じ政治問題でもあるので、近年注目が集まったのでしょう。調べてみると、2018年の掘り起こしの記事が多かったです。私も名前を失念していたので、ネットがあって本当に良かった。

当時の公聴会での質疑応答の様子があるので、貼っておきます。あぁ、ほんと、嫌になる。下の歯車の調整部分で、日本語訳も若干できます。

ボーイズクラブでは普通のことかもしれないけれど

内容は、トーマス氏のデートに誘うしつこさ、卑猥な言葉のオンパレード。彼女は体調を崩すほどだったようです。この人、知性もあるから乗り切れたんですよね、多分。普通、無理。

獣姦やレイプシーン、レズビアンのビデオの話やら、自分の男性器の話を普通にしらふで、それもランチミーティングでそんな話するなよ、です。相手が嫌がってるのにし続けるっていうのがお粗末。

当時は、トーマス氏は未婚だったらしいので、ただ振られただけだと思う。どんなにカッコよくても、肩書があっても、モテるとは限らんぞ、と声を大にして言いたい。

「アニタは精神を病んでいる」と糾弾もされていたけど、今や映画にもなり、告発のレジェンドとなっています。

しかし、1991年当時は、聴会直後の米紙ニューヨーク・タイムズ世論調査では、どちらを信用できるかに、トーマス氏58%、ヒル教授24%。トーマス氏の最高裁判事就任は翌々日の上院本会議で52―48で承認。

結局、おとがめはなかったのです。

ダブルトライアルでさらに報道加熱

話を戻そう。

このシリーズは、1993年の6月、ベネズエラ出身の24歳の妻が夫のペニスを切り落とした、という事件をもとにしている。

ジョン・ボビットとロレーナ・ボビットは、それぞれの事件に対する主張が世界中のメディアで取り上げられ、裁判も沸騰。これは見てのお楽しみなのですが、どちらも被告人になるというダブルトライアルなのだ。

ここで、当時のヒスパニックの人の状況も色濃く描き出されている。アメリカのマジョリティになることもなかった時代だ。彼らの姿に、私は涙が出た。

私は、自由の国アメリカだとは思うけど、レイシズムも極端だと思う。もちろん肌感ですが。銃が許可されているというのもありますが、アメリカに行くと、日本とは別の危機感を感じます。

その危機感はジョン・ボビットみたいな人は少なくないというところにあるかもしれない。それは本編を見ていただければ、わかると思う。のちにAV男優になるところは「誰か止めてやれよ」と思うが、誰も止められなかったんだろうな。

結末を見て、私は、恋愛や結婚は、どういう相手を選択したか、ってことが大きいかもしれないとさえ思った。

そして、人は変えられないのかも、と。

もしくは、間違いがあったことを認める人と認めない人では、あるいは内省する人しない人では、こうも違ってくるのかもと。

かわいそうだけで、終わらせない

正直、冗長な部分も多いと感じたけど、多くの映像資料が提示されている点には目をみはる。

時間をかけて作っているのだろうか、時代背景がよくわかる。多くの関係者にもインタビューもしている。

そのインタビューでは素晴らしい言葉が多いので、きっと、かなりの量を撮ったんだと思う。撮影前後の、その人らしい振る舞いも見えて、演出力を感じる。(でも、切り取り方の問題もあるのだ、映像は。監督の意図が入りやすいし)

ここまで読むと、フェミニズムな感じがするかもしれないが、これは基本的に男性VS女性の作品ではない。どっちかといえば、ハラスメント全般に対するある国のある社会の変遷。

個人的には「こういう愛情というものもある」ってことかもしれないなと感じました。それにしても不器用すぎる。少しネタバレですが、再犯を繰り返すんですよね、彼。

私たちが学ぶところは何か。

私たちが学ぶとすれば、将来、誰かがそんな目にあったら、「なぜ、そんなことになったのか」と被害者を非難しない世の中にするためだと思う。なぜなら、最初のうちはリアーナもそういう世間の風にさらされるからだ。

ホイホイついていく女が馬鹿だ、という風潮は、まだまだ多い。そうじゃないと思うよ。「相手を好きになって信用していたんだ」と、この作品を見るとわかる。

どんなに好きでも、理想の家族があったとしても、4年間も罵られ、殴られ続けたら、頭がおかしくなるよな、と個人的には思う。心が死ぬ。

そして、なぜ彼女が耐えられたか、それは幼い頃からの宗教心でもあった。もうこのあたりはしょうがないとしか言いようがない。

日本でもDVで亡くなる女性は100人を超える

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今年3月に出たニュースは「DV被害、過去最多8万2207件=昨年、ストーカーは2万件超―警察庁」だった。はっきりと書いてはいないが、だいたい100人くらいは亡くなっているようだ。はっきりとした数字は出ていないが、数年前のニュース記事には「三日に一人」と書かれていました。日本の場合は変死という扱いも多いそうです。

米国では15秒に1人、年間200万人以上の女性がDVの深刻な被害を受けていて、DVで亡くなる女性が1日に11人。えーと、4015人ですかね。怖すぎる。

かつて愛情を信じて、将来を誓った相手から殺されるのは、悲惨だ。

だから、自分を、自分の体と心を大事に。傷つける人は加害者だから。相手とどういう関係にあろうと。家族であろうと、限度を越えたものは犯罪になりうる。

そんな関係は手放してもいいのだよ。

で、もし、傷つけられたら、すぐにやるべきことをやる。証拠があるうちに。まわりに傷つけられた人がいれば、できる限りサポートする。

そして、昔と比べて、公的サポートグループも増えた。

一人で悩むことはないんだよ、と思わせてくれる作品。実は、若い子にこそ見てほしい。

参考資料









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