仕事中の電気工事士

㉓パネルショップの仕事。

仕事に慣れてきた。

このパネルショップは(制御盤製作班)正に私にピッタリの職場だった。あえてこの仕事を簡単に説明すれば、


巨大なプラモデルを作っている感覚かもしれない。
それで仕事が楽しくて仕方が無かった。


仕事の手順は、毎回巨大な設計図を広げるための専用の机にバサリを図面を置き、リストから必要な部品を部品棚から探す。部品はリレーという名前の小さな小箱のような物が多く、うれしいことにオムロンのタイマーがほぼ普通に使われていた。オムロンとは日本の製品なのです

因みにオムロンのタイマーをその会社が使っている小型ラックに取り付ける場合、ソケットの足の本数の関係でそのままでは取り付けられない。そこでソケットの足の変換用のアダプターが必要になる。買うよりも作るのが安いのか、パネルショップで作ることになっていた。そのうち半だ付けの腕を買われていつの間にか私の担当になってしまった。

そしてリレーの入る小型のラックに図面どおりに取り付ける。今度は裏返してミラーイメージで配線を始めます。この段階で私は具体的な配線に使う線のサイズや種類などは、私のジャーニーマンで隣で作業をしているマイクに指示を仰ぐ。

彼が使っている作業台につるしてある電線のリールから、電線を適当に切って使う。小型のラック内部の配線が終わったらそれを制御盤のパネルの中に取り付ける。取り付けたラック同士の配線を済ませて、アース線を取り付け、電源を配線し、最後に入出力の端子へと配線を終えて終了。

程なく作業が終わったら再びマイクに手伝いをしてもらう。マイクはテスター『マルチメーター、またはメーターと呼ばれることが多いが、Fluke (フルークという人気のメーカー名)と呼ばれることも多い』を使って図面と配線の間違いが無いか確認する。この作業を『Point to Point』と呼ぶ。

やや専門的になりますが、確認作業は配線をした当人は図面を見て始まったポイントと線番号を指示する。一方の検査をする方はメーターの一方をその配線の基点に当てて、配線の行き先の指示を待つ。

分かりやすく説明します。
123番という線が接続ポイントのAからBに配線されているとします。この場合Aというポイントにテスターを当てて、反対側のBにもう一方のテスターを当てます。配線が正しいと内部のブザーが鳴って検査完了です。図面にはハイライトします。

間違っている場合は図面に赤鉛筆で書き込み、後でやり直します。配線の数だけこの作業を繰り返すため、結構な時間を消費します。この検査作業でいろいろなダメだしをして製品の品質を高めるわけです。

程なくこの確認作業が終了したら、そのまま出荷するかエンジニアが来て通電確認をする場合もある。出荷は意外と大変なのです。

まずこの洋服ダンスよりもやや縦長のパネルを、ビニールですっぽりとかぶせる。梯子を使っての二人作業だ。その後は建屋のほかの場所にある大工班『Carpenter』が加工した木材で四隅を囲い、頭と下を蓋のように被せると立派な梱包が出来上がる。最後に出荷用の金属バンドで締め上げるのだ。

他に各配線の番号を振るために使うチューブの番号打ちとか、パネルにアース線をつけるための銅版を取り付けるためにドリルを駆使したり、通信で使うためのコネクター作りで先の細そい半田付け作業などがある。


実は電力会社の下請けゆえ、様々な作業もあるのです。


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