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エッセイ 私の小説の書き方㊹ 「#小説」タグ検索でよく出て来る「しゃらくさい小説」

☆写真はカルガリーのダウンタウン。屋上にちっさなカナダ国旗が見える。

余計なお世話だけど、どうしても気になる、「しゃらくさい小説」。それはどんなものかと、説明してみる。

必ず「朝起きる」、から始まる。そしてなんとかというティーを飲む。(そのティーについてのうんちくが2,3行入る。)ふと振り向くと昨夜訪ねて来た彼氏がまだスヤスヤ眠っている。(彼氏への賛美が3,4行入る。それは自分への賛美でもある)(ここで、彼氏に昨夜作ってあげた料理の説明が5行くらい入る)先週買った、レースの白いワンピースを着る。(ワンピースついての描写が延々と入る。買った店の描写も延々と入る)彼氏を優しくゆり起こす。今日は二人で公園を散歩して、映画を観る予定だったでしょ? 彼氏が目を覚ます。お母さんから電話が掛かって来る。私達の絵のお教室で今度作品展があるから、ぜひ見に来て頂戴。分かったわ、お母様。自分の家族がどんなに素晴らしいかという説明と描写が延々と続く。ついでに三年前亡くなったじいさんの説明まで始まる。そしてなぜか大学の話しになって、それの説明も延々と続き、そこに彼氏のことも加わって来て、更に大学の話しが続く。どうやって彼氏と大学で出会って、あーだこーだ……。

これが「しゃらくさい小説」だ。

私はなるべく読まないようにしてるけど、読むと誰かを殴りたくなる。

小説は朝から始まらない。お紅茶なんか絶対飲まないし、ふと振り向くと彼氏なんていないし、白いレースのワンピースも着ないし、料理もしないし、母親は電話なんて絶対掛けてよこさないし、家族のことも死んだじいさんのことも知ったこっちゃないし、幼稚園から登校拒否だったから大学なんて行ってないし。

これを更に私風に悲惨にしていくと、小説は夜中から始まる。酒が足りなかったんだ。だから変な時間に目が覚める。誰かを絞殺したくなる。仕方がないから男に電話する。男は私を崇拝しているから、いつでもどこでも飛んで来る。一緒に酒を買いに行く。一番高い酒を選ぶ。金はあっちが出す。家に帰る。セックスはしてやる。用がなくなったら、とっとと追い出す。酒を飲み始める。自分は幼稚園の頃から登校拒否だったことを思い出す。男が下手でいけなかったから、エロビデオを観始める。酒はやっぱりウォッカだな、と思う。ビデオの男も下手糞で、私は誰かを撲殺したくなる。

この位書くと、少なくとも、しゃらくさくはない。

そこに、主人公が小さい頃から信じている美しい事物のことを象徴的に仄めかして、その小説に多少の意味とテーマがありそうな雰囲気にもっていく。でもほんとはテーマなんてなくて、アルコール依存症とセックス依存症の中にストーリーは沈んで行く。テーマ曲はショスタコーヴィチの交響曲No. 9。この曲を聴いていると、ショスタコーヴィチがセックス上手かったのが分かる。ちなみに私は酔っていない。

今、久々に英語で短編を書いてるんだけど、自分の分からない言語で書くと、もともと分からないことが、余計分からなくなって、非常に奇妙だ。主人公はバイセクシュアルで双極性障害で超ハイな状態。渋谷駅で電車を待つ間も女の足や、男の肩を見ながらセックスのことを考える。電車に乗ると、そこにある広告が全部セックスのことに見えてくる。でも読者はまだ主人公が男なのか女なのか分からない。性的妄想と自殺願望だけでその小説は終わる。ちなみに主人公は男にするつもり。

半分くらい書いた。その書いたヤツをカナダの人に添削してもらう。可愛そうに。

やっぱり私って、欲求不満?

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小説書き。生きづらかった日本を脱出して単身カナダへ。恵まれた自然の中でプロを目指して執筆中! 書いた作品は80作以上。短編はマガジンにまとめました。長編はこちらから⇒ https://ehappy888175296.wordpress.com/

コメント6件

そういうしゃくさいやつを前にした時、変な前置きは邪魔だから取っ払ってほしいと思う時多いです
実はここだけの話しですが、しゃらくさい小説は、前置きじゃないんです。内容はなくて、ずっとあのまま終りまで行くのです。恐怖。
↑そうなんですよね。しかも、だからこそ広くウケるんですよね。そして、そういうしゃらくささを逆手にとって書くと、多くの人の神経を逆なでしてしまうんですよね……。
でも興味のないことは書けませんしねー。覚悟してかかるしかないですねー。
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