君の名はバナー

「君の名は。」から「やがて君になる」 ―VRソーシャルアバター交換実験を終えて(よーへん視点)

7/14(日)に普段使っているVRソーシャルアバターを男女で取り替えたらどうなるか?の実験を行いました。
ここではお相手さんの発言も取り入れながら、私視点で何を感じたのか・思ったのかを記していきます。

「君の名は。」から「やがて君になる」

私が最後に感じたのは「やがて君になる」でした。
相手との関係を通じて構築していった自分とお相手さんを見ている。それは自分自身や相手自身ではない。

自分の中にいる(自分が知っている)相手と自分自身がどこか繋がっていくような感じ。
ただその「相手」は「相手そのものではなく、自分が知っている相手」なので、結局自己愛の延長に過ぎないのか?と、配信後頭を抱えました。
(「相手を見ているのではない、相手の中の自分を見ているのだ」という考え方はVR問わずありますが)

こう感じた前提条件として、2つあります。

・私は即興+アンサンブル(複数人で合奏や身体表現)をやってきた関係で、自分を消して何かに同化することに長けている(ただ演劇人ではないので、演じることは得意ではない)
・お相手さんと友人関係にある(と私は思っている)

実験全体はこちらです。


相手がいないと単なる衣装

ここから時系列で考えてみることにします。それぞれにリンクを貼りましたので、よろしければ動画と合わせてご覧ください。

26:43〜 お相手さんになる
トラブルで「お相手がいない状態で」20分くらいお相手さんをまとうことになる。
このときは意識も「お相手さんの”姿”をした私」という感覚が強い。インタラクションの鏡となるお相手さん自身がいないため、正確に真似るのが困難。
この番組後半から意図的にお相手の特徴を真似してたところ、無意識にその特徴が乗り移ってたことが判明する。これは相手の特徴を読み込んで、相手とどうコミュニケーションを取ろうか探ったゆえの結果と思われる。


「あなたの中にいる私はそんなことしない」

29:53〜 アバターを交換して自分自身(相手のアバターを着た自分)を触ってみる
お胸をタッチしてみる。触られることがイヤだったのでは全くなく、「"私がイメージするあなたの中の私"はそんなことしないもん!」的な拗ねに近い。
私が自分のアバター(お相手の身体)のお胸を触っても、お相手のお胸を触ってる感が強い。
→このときのお相手さんの感想;
ただ触ってるだけ。「うひょー」という感覚はない。快感とかくすぐったさに準ずる感覚もほとんどなし。比較的冷静に「胸が邪魔だなー」みたいなことを思っていた。


姿かたちは関係ない、そこにいるのは「あなた」

31:43〜 お互いを触ってみる
友人いわく、「触り方に2人の性格の差が出ている」のだとか。
コミュニケーションをどう取ろうかはかっている私と、自分がどう思うか冷静に観察しているお相手さんの差ですね。
本人視点からだと自分から触られてるように見える。が、私は一切そう感じず、お相手から触られている感覚が強い。外見に引っ張られることなく、私が見ていたのはお相手のインタラクションだった。対してお相手さんは自分のアバターが触られてるのを見て、自分が触られている感じを持ったそうです。
また相手の姿よりインタラクション・コミュニケーションを重視している私は、お相手が鏡を見ている状態では触られている感じが全くしませんでした。
この件に関しては第三者視点で見て下さった見届け人さんいわく、「触られてる感覚を持つには向かい合ってることも条件のひとつなのかもしれない」とのこと。


目は口ほどにモノを言う

37:50〜 バナー画像について
noteのトップにも表示されているバナー画像は下記のような手順で作られています。
1.お相手から「この表情は自分だ」と思う写真と表情パラメータを送ってもらう
2.そのパラメータを私のアバターに適用する
3.1.2の逆も同じように行う
いわゆるお人形遊び的にアバターを動かすことで、客観的な視点からアバターを観察することができました。アバターとの距離感の取り方を探るにも有効と思われます。面白かったのが、表情を入れた瞬間にお相手がそこにいると思えたこと。アバターは私なのに、そこにいるのは私じゃない。


デオコで女の子を感じるためには女の子との思い出が必要問題

39:25〜 くすぐってみる
結論はタイトルにもあるこちらのサイトの通りで、物理現実でくすぐったいと感じない箇所はVRでもくすぐったくない・その逆も然りという結果でした。
この時点で私はくすぐられてものすごく仰け反っているのですが、お相手のアバター=自分の身体と無意識に感じているような節があります。
ただこれは見知らぬ他人だと逆効果になる可能性が高く、「お相手さんを自分がどう捉えているか」のウェイトがかなり高いと思われます。
後日違う友人と行ったVRイチャイチャでも同様の結果で、物理現実での記憶をVRで呼び起こして体感しているのでは?という話になりました。となると要は・・・おっと誰か来たようだ。


まとめ:「君の名は」から「やがて君になる」へ

私の感想。
相手がどんな姿でも関係なく、相手との関係性を重要視する。ゆえにアバターが相手のものでも自分の身体と感じることができる。また同様の理由から、自分のアバターを相手が触っても自分が触られている感じは一切しない。
「やがて君になる」と感じたのは、コミュニケーションのために相手の一部を自分に取り込んで解釈する面もあったのかな、という印象。
お相手の感想。
客観的に見ることで、自分の「キャラクター」の特異性が分かった。何をやっても自分が維持されるということが安心に繋がった。
見届け人さんの感想。
アバターを見分ける場合、声・しゃべり方・所作の違いがかなりの判別材料になる。それが個性・アイデンティティの確立・維持につながるのではないか

今回の実験を通じて確信に至ったのは、実験前の前提条件となる、自分と相手の性質・関係性がものすごく結果に影響を及ぼすということでした。

今回の実施にあたって、内容の検討からご参加はじめ協力して頂きましたみなさま全員に、深く感謝致します。ありがとうございました!

なんと次は物理女子同士!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?