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1周回って「上手くいかないねJICA」を楽しんでやりたい

私のST人生の中でターニングポイントとなる患者は何人かいるけれど、その患者さんのうちの一人の旦那さんが「ナメクジさぼってんな~」と言っていたらしい。すみません。笑

この3ヶ月間、めちゃめちゃいろいろありました。
って書いてから、また1ヶ月くらい経ったので、ご無沙汰すぎました。

小さな違和感が積み重なって、どん底のメンタルも、暗闇の中の希望の光を見つけた瞬間も、意味わかんない恋愛体験もした(よくわかんないから割愛)笑
だから、下書きに入れてたのも含めて、小分けにばっと書こうと思います。

一対一で話す姿勢の違和感


私と実習生がマンツーマンで話しているとき、実習生の手元のスマホに通知が来たのを見て、話が途中なのに実習生が返信を打ち始めた。
とても失礼だな~と思いながら、そういう文化なら、私が勝手に気分を害して怒るのは違うので、質問してみた。

「誰かと話している途中にスマホを見ることは、ベトナムでは失礼に当たらないの?」→「上の人と話しているときはやらないよ」と。

リハビリがない時間、日本の実習生なら、情報収集をしたり、知らないことを調べたりと休憩は休みとも言えない空気の中での昼休憩だけなのに、ベトナムの実習生たちはスマホを充電しながらFacebook見たり、TikTok見たり、なんなら音楽まで流れてる。

「実習中なのに、どうしてスマホを見るの?」→「患者さんがいないからだよ」
「患者さんがいるときも見てるよね?」→「リハビリしている間は見てないよ」

いや、見てるよ?患者さんが目の前で頑張ってブローイングしてる時、あなたFacebook見てるよ?と思ったけど、
・仕事中でも患者がいる時間以外は触ってもいいという認識(空き時間=休憩時間)
・「リハビリしているとき」というのは実際に自分が患者に介入している(患者に直接関わるような、喉頭マッサージとか、検査をしているとか)ことを示しているのであって、目の前の患者が休憩しているタイミングや、一人でできる頸部ストレッチをしている時などは含まれない
ということらしい。

これは実習生だけじゃなくて、リハビリスタッフも同じ。
接遇によって患者さんと信頼関係を築くものだと思っていたけど、ベトナムの患者さんはリハビリに関する知識がないから、別にSTがスマホいじってても、偉そうな態度をとっていても、内容が適当でも「リハビリしてくれてありがとう」と感謝される世界。

一生懸命話してくれる患者さんと目をそらさないように、手元だけ動かしてメモを必死にとっていたり、調べ物するのに一言伝えてからスマホを使ってた日本の病院勤務時代。
日本の、患者さんへのリスペクトってすごい…というか、特殊なんだなと思った。

2年間の活動について


私が思うこの病院の問題点と、スタッフみんなが私に求めているものは違くて、「ベトナムには参考書がないから、日本の評価を翻訳して欲しい」「生活の中で生じる高次脳機能障害と失語症の日本の最新のリハビリ方法を伝達して欲しい」の希望が強かった。
日本の新しい技術を取り入れる前に、改善しないといけないことがたくさんあるし、正直基礎もままならない気がしている。先程の接遇も同様。
気になるところばかりだったけど、翻訳機と拙いベトナム語をフル活用しても日本語の細かいニュアンスは伝わらないし、私が作った計画についても、なぜこれをやりたいと思ったかを説明する前にNoと言われ、Noの理由を説明してもらえない。
やっとの思いで自分の考えを伝えても、その返答がベトナム語オンリーのマシンガントークで説き伏せられ、「わかんない」って伝えても面倒くさいなって顔をされた。

ST処方がない理由はなぜか、それに対する私なりの対策を伝えても「見ただろうけど、ベッドが満床で、人で溢れかえっている。その中で、音声障害や嚥下障害を見つけるのは簡単だけど、失語症や高次脳は見つけるの難しいでしょう?」と論破されて終わった。
遠回しに「諦めろ」って言われたみたいで、お先真っ暗になった。

チームミーティングも参加したいって伝えてから半年経ったけど「開催するとき呼ぶね」って言われて一度も呼ばれないから、多分何もやってないんじゃないかなって疑うようになった。

患者は溢れるほどいるのに、処方がなくてST室に引きこもり。
そのくせWi-Fiも安定しないから翻訳なんて進まないし、このチャットGPTやらGoogle翻訳やら文明の利器がある時代に、紙辞書じゃ文をつくるのにありえないほど時間がかかる。
そもそも臨床に入れなくてストレスたまってるのに、さらに作業もできなくて、何のためにいるのかわからない。
職場のスタッフとも距離ができて居心地悪いし、1日を通して「おはよう」くらいしかしゃべらない日もあった。

なんだか意味わかんなかったけど、それでもまだ腐りたくなくて、自分に何かできことはないかなと思い、失語の患者さんのプランの立案方法を考え直さねばと思い、評価について質問した。

「失語の患者さんは定期的に再評価をとるの?」→「とるよ」
「1年に1回くらい?」→「1ヶ月に1回はとるよ」
「でも、私がここに来てから3ヶ月経つけど、一回も再検査してるところ見たことないよ?」→「じゃあ、やったらいいよ」

と、うまく逃げられた。絶対再評価してない。笑

その後、紙が手渡され、
翌週:日本の病院紹介
翌々週:失語症の訓練について
その次の週:患者Aさんのケーススタディー
をやれとのこと。無理だ、間に合わないと言ったけど、何でもいい!大丈夫!と励まされ、スライドづくりに追われることに。
日本語で作るのでも焦るのに、ベトナム語でつくるんだからな?
どこまで計画性ないんだ?

1回目の発表は3日でスライドを完成させてなんとか大成功。
2回目の発表は「お願いしてたことと違う」と途中でぶった切られ、「お願いされた内容を理解するためには、これが必要」と伝えるも「だめ、違う」しか言ってもらえず、メンタル崩壊。

もう無理。私ここじゃ頑張れない。
もっとSTについて知りたいって思ってるベトナムの病院なんてたくさんあるのに、こっちの苦労も察しないで、なんでもいいって言われたから頑張ってつくった発表途中で切られるような職場、こっちからごめんだ。

もうどん底。大泣き。帰国したい。任地変更したい。

よく要請内容と全然違ったって話は聞くけど、医療関係だからどこまで自由に動いてみていいもんだかわかんないし、リスクのあることはできないし、八方塞がり。

他の病院の見学に行ったときにSTのやり甲斐を思い出しては、自分の配属先に戻ってきてリハビリができない現実にぶつかって、限界~ってなって、結局JICAスタッフに介入してもらって。

コミュニケーション不足が招いたことだとは思うけど、そんなに深い話をベトナム語でするのは困難だったと思う。
テキストで質問しても、いいアイデアだったらハートのリアクションが返ってくるけど、納得いかないとノーリアクション、思考を伴う内容でもノーリアクションだから、話し合いにならない。
それでも、STとして「コミュニケーション不足が原因」で関係性が崩れていったのは、ものすごく悔しいものがあった。

そのあと、Zaloグループができて、関係性は良好になった気がするけど、現状何も変わらない。病院の経営とか、国の保険制度の問題で処方が出ないと説明を受けたけど、そんなの専門じゃないし、解決策がわからない。
医者自体がSTを知らないから、ベトナム語が話せるようになったタイミングで医者に向けて講義をしてほしいって言われたけど、じゃあ私はベトナム語が流暢に話せるようになるまで、入院患者へのST処方がほぼない病院で活動し続けるのか?
干からびちまうよ。どうにかしてくれよ。臨床したいよ。リハビリできる状態になったら私を呼んでくれよ。
そう思ったけど、文句だけ言ってても始まらない。
今、打開策を考えて、実行に移そうとしているところです。

くそ~こんなはずじゃなかった。
でも、うまくいってる人もいるけど「こんなはずじゃなかったJICA」をネタに、日本酒飲めるのもいいかもな。できることやってみようかな。
なんて思ってる自分もいます。
多分このモチベーションも1週間もしないうちに衰えます。笑
ま、いいんです。生きてれば。

帰国したら、冷たいお蕎麦を食べながら、おいしいわさびをつまみに、日本酒を飲んで、温泉に入る旅行をするのが直近の目標です。

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