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マウスの恋愛事情           ージュニアくん、旅の途中でー

極薄いベールのように広がっている灰色の空は、不思議に明るい曇り空。
梅雨直前の5月頃。2018年。

おはようございます!!
マウソックの朝の挨拶が響きます。

マウス達はまっしぐらに駆け寄ります。
くれますね、くれますよね、クルミとか、アーモンドとかとか。
期待値が爆増している目。視線がマウソックから外れません。
マウソックの動く方をみんな一緒に見ている。

マウソックは、どうしてもその強い視線に逆らえず、
クルミとかアーモンドを手渡します。
一生懸命、食べている音、音、音・・ぽりぽり、かりかり。

とってもかわいい。これがリアルディズニーランド。
朝はすっーと時間が流れていきます。
時間に取り残されそうになって、はっと我に返る瞬間、
やらなければならない事が一気に噴出して
現実へ突き飛ばされたマウソック。

そのとき、やらかした重大なことに気が付きませんでした。

ジュニア君の決心
いってきます。元気でいてね。必ず帰ってくるからね。
あわただしく、マウソックは家を出ました。
ざわざわ動いていた何かがいなくなった部屋の中で
マウス達は、思いのままの午前中を静かに過ごしています。


お部屋の中をお散歩していたジュニア君。
世にもわくわくすることに気が付いた。

あれ?お部屋、あいてる・・

お部屋から鼻だけ出して、くんくん。ひっこめる。
もう一度、しっかり鼻を外へ出して、くんくん。

えー、なんだろう?ちょっと、外へ行っちゃお!

旅にでます
お部屋の扉に片手をかけたりしながら、あいている隙間に顔を突っ込んで ぐりぐり。ぐりぐり。なかなか、出られない。
諦めず繰り返すうちに頭だけが完全に外へ出ました。

あ・・・
なんと、向かいのお部屋から、ののちゃんが見ています。
・・よく見ると、ののちゃんのお部屋も少し開いている・・・

これは、飼い主にとって暗黒の暗示。
きっと齧りたい放題、騒ぎたい放題、炸裂する世界が待っている。

ジュニア君の勇気
ジュニア君、一旦トライをやめて、お部屋の隅に戻りました。
静止。なにかを決意。そして、再トライ。

今度は簡単に頭と上胴体が、外へでました。
ただ、おなかが引っ掛かっちゃった。
ののちゃん、見ています。
ジュニア君、その太めのお腹をなんとかよじって
よじって・・・

お部屋に戻りました。でられません。考えるマウス。
よし!意を決したジュニア君、再々トライ。

っめざせ、お外へ!!

スポン。あれ? 

なぜか簡単にお腹が抜けて、ついにお外へ。
さっきからずっと見ている、ののちゃん。
ジュニア君、ののちゃんを見ました。

みてた?ぼくね、でちゃった!

ジュニア君、ちょこちょこと歩いて、ののちゃんがいるお家の扉の前に来ると少しだけ開いている扉の隙間に鼻をすっと近づけました。

こんにちは。
ののちゃん、あんなに見ていたのにふいっとお部屋の隅まで
引っ込んでしまった。
え・・・?

旅の途中で
でも。ジュニア君、ののちゃんのお部屋の扉の前から動いていません。
ひたすら、待つ。
時には隙間に鼻つっこんで、待つ。

ののちゃん、ジュニア君に近寄ってきました。
ののです。こんにちは。

ジュニア君、積極的にお鼻を狭い隙間に突っ込んできた。
ののちゃん、はじめまして。脱走中のジュニアです。

そして、ご挨拶ちゅーが始まった。また、ちゅー。熱烈ちゅー。
ぼく達、いいかんじ。

梅雨をそろそろ迎えそうな空の下、ある建物の中の一角で見つかった、  小さくてふわふわな恋は、ほんの少しの隙間から始まって、
キスしてキスしていました。

でも、その狭すぎる隙間がきっと何かを変えてしまった。
ののちゃんがふわっと離れました。そして、ジュニア君も。
なにかの迷いみたいな恋。なにかに溶けてしまった。

その後、ジュニア君はなんとなくその辺を黄昏れながらお散歩して、自分のお部屋へ帰っていきました。

旅のおわり
お部屋に入ったジュニア君、すぐに奥まで移動して、お顔を何度もしっかり拭っていた・・・

そして、フカっとしたお尻をお部屋の床に付けて、ぽーっと前を見ていましたが、そのうち、こくりこくり。全身が前後に軽く揺れながら、いつの間にかお腹までお部屋の床につけて、眠ってしまいました。

数時間後・・・・
ただいまー。
マウソック、ようやくご帰宅。
一匹一匹のお部屋を見ます。
みんな、お部屋にいて、元気に駆け寄ってきてくれました。

いつもとなにもかわっていないね。よかった。
はい、コンドロイチンタブレットだよ。

みんなにひとつづつ渡します。
もちろん、ののちゃんにも、ジュニア君にも。
2匹とも喜んで受け取ってくれました。
また聞こえてくる、一生懸命食べている音、音、音・・

さあ、マウスちゃん達の録画チェックしよ。


・・・あなたの知らない世界、
知らないのはあなただけと鼠達が小話す・・・


【次回】
ににちゃんの価値観

おしらせ
マウスの恋愛事情―ジュニア君、旅の途中で―をお読みいただきありがとうございます。ににちゃんの価値観のお話しの前に、余談-マウソックの大きな声で独り言 第5回をお話しします。論文をもとに「学習」について、マウソックの主観を記載します。どうぞよろしくお願い致します。


このblogは、論文やマウスの行動観察にもとづき記載しています。サポートをいただけましたら、blogに還元できるよう知識の糧になるものの購入に充てたいと思います。どうぞよろしくお願い致します。