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初めてイヤリングを買った

前に未来が直線になってしまったという話を書いた。「未来が直線になる」というのは、言い換えるなら、「予期せぬ出会いが少なくなってしまった」

もちろん、この状況でもつくろうと思えばつくれるし、あるといえばある。オンラインが主流になったからこそ、うまれるつながりだってある。けど、なんか薄い。私は濃厚なやつがほしい。

私は、新しい言葉、他人、感情と知り合い続けるために、生きることにした。これを目的にしたら、なんでもできる気がしない?

そんな私が半年前に登録して、毎月の小さな楽しみになっているサービスがある。Chapters bookstoreという、小説の選書とマッチングが組み合わさったサブスク型のサービス。毎月テーマに沿った4冊の本から1冊選ぶと家に本が届く。選ぶときはタイトルや作家はわからず、書いてあるのはあらすじだけ。そして、同じ本を選んだ人最大3人とオンラインで話す場(アペロ)が設定され、20分間その本に関する10個の問いについて話す。その問いは価値観に関わるようなもので、例えばこの本の中で一番共感したのは?とか印象に残ったシーンは?とか相手にどのような本を勧めますか?とかなので、そこで話が合って出会いのきっかけになる、みたいなこともありえちゃう。話し終わってテレビ電話が切れたあと、お互いに連絡先を交換したいとなったら、連絡先を交換できる、という仕組み。

まとめると、本と人との予期せぬ出会いが生まれるサービス。実際に今まで私が読んだ小説は私が選ばないようなものだったけれど、意外とこういう小説も好きかもという気付きがあったり、アペロで知り合った人は偶然近くに住んでいる同い年の女の子でランチに行ったり、SNSをまったくやってない愛媛に住んでいる圧力?の機械のエンジニアの方と話したりした。普通に生きていたら、出会わない。普通に生きていたら、出会わない、どこかにあるそれが欲しいんだ、私は。

それを思ってから、影響されやすくなろうと決めた。人におすすめされたものを試したり、友人の家にあった本を図書館で借りてみたり、色んなサービスをとりあえず3ヶ月だけやってみたり。

それと、美容師の人に勧められ、イヤリングを初めて自分で買った。私は耳たぶが小さいので、イヤリングが落ちやすい。5年前に知り合いの結婚式で落としてから、触れてすらいなかった、イヤリング。

普通に生きていたら、段々と好きになるもの・人の確度が高まっていって、そうすると自分の思考や世界の外にあるものに、届かなくなる気がする。私はその状態がすごくいやだから、自分の外のことと触れ続けていたい。

大きな出会いは少なくなったかもしれないけれど、身近に小さな出会いはたくさんある。本、ラジオ、映画やドラマなどから得られる小さな出会いに敏感になり、そこから絞りとるくらいに気付きを得られたら、果汁100%の濃いものになっていて、私を違うところに連れていってくれているのかもしれない、と思う。

ちょっとでも、あなたの心にひっかかったら。