未命名1574951872

中国のニューリテールを支える技術思想「中台化(ミドルウェア化)」

こんにちは。中国インターネット研究所です。

・中国で消費者向けにビジネスを展開されている
・そのような事業会社を支援する日系企業で勤務していて中国の最新情報を仕入れたい
・日本で中国の情報を仕入れたいと思っている事業開発や起業家の方

を主に対象にし、以下の内容を毎月発信しています。

発信内容

A:中国小売最前線(この記事の内容)
AlibabaとTencentを中心に動く、中国小売業界の最新情報を毎月1回発信
B:中国スタートアップ最前線
Alibaba&Ant Finacial、Tencent、IDG&SequiaCapitalの投資先を一行で紹介し(3ヶ月分を各社まとめて配信)、いくつか気になるスタートアップをピックアップ。中国スタートアップの最新企業を知りたい方におすすめ。
C:中国最前線トレンド
中国現地のレポートやホットなトピックを毎月1つ厳選してお届け。

中国最前線トレンドの過去トピック

・コンビニ:イノベーションのジレンマによりコンビニチェーンが進出できない地域(2-3級都市)でAlibabaが勝つのでは?
・ミニソー:単純な個別事例紹介ではなく、中国特有の新たな業界(洗練された商品を扱う総合新小売業態)として紹介
・生鮮食品Hema:単純なスーパー業態としての面白さではなく、会員化率100%の経営を行うデジタル経営の事例として紹介・団地向け共同購入
:日本ではただの安売りとして拼多多が捉えられていが、共同購入のさらに進んでモデルの可能性(コープのオンライン版)として紹介
・小売向けクラウドサービス:TencentやAlibabaが単純に小売業に進出しているわけではなく、小売業向けへのSaaSを出していることを紹介

筆者紹介

大学時代に上海に2年間在住し中国スタートアップに特化したメディアを立ち上げ、中国市場のリサーチャーとしてVCで働く。
卒業後はメルカリにてアプリのPdMとして1.5年間、中国での新規事業開発のために半年、メルペイに出向し創業時のマーケティングの戦略立案などに約1年従事。
2019年1月より小売・メーカーのデジタル化を支援する上海の企業にてエンタープライズ向け営業をしながら、部門の統括。

メディア記事
中国で「決済革命」の次は「OMO」だ 
・NewsPicks中国特集~【メルペイ家田】僕が、中国ビジネスを学んできた理由
・月刊MD特別寄稿~中国「新小売」のいまとその次に来るもの


--------------------------------------------------------------------------------------


中国発の「ニューリテール」「OMO」という言葉が日本で流行りましたが、HemaやLuckin Coffeeなど割と目に見えやすい店舗の作り方やビジネスモデルなどに目がいきがちだと感じます。

OMOについては、「「Next・OMO~中国OMOの次に起こる小売革新は何か(前編)~」」をご覧頂くとして、ニューリテールは「小売業界のDX」と解釈すると良いと思っており(これは「中国新小売を支えるモバイルペイメント」で自分の考えを記載しています)、そのDXを支えるのが「中台化」と考えています。

中国で「中台化」という言葉が誰によってどのように作られ、どのような事例があるかを見ながら、中国のニューリテールを裏側で支える技術思想「中台化」を紹介します。

スーパーな細胞に感動したジャック・マー


「中台化」という言葉ですが、

中台:ミドルウェア
化:~になっていく

というのがそのままの訳で、ここでもそのまま「ミドルウェア化」と訳して使います。システムがどんどん細分化され、ミドルウェアが中心になっていくという意味合いです。

Alibabaが2013年にゲーム会社のSupercellを視察し、そのチーム体制に驚き、Alibabaがミドルウェア化を組織戦略の核にそえたことに大きな影響を与えたと言われています。Supercellは400人のチームで約600億円の営業利益を叩き出していました。5-7人で「セル(細胞)」チームを作り、その中で開発が完結する迅速な開発体制をSupercellは既に築いていました。

Alibabaのミドルウェア化戦略提唱までの道のり

話は少し昔に戻って、2008年。当時AlibabaグループはB2CのECプラットフォーム「Tmall」をローンチし事業部を設立しますが、C2CのECプラットフォーム「Taobao」の事業部とは別々で動いていました。

しかし、受発注、ユーザー、商品管理など同じ機能は多くあり、事業部が生まれる度にゼロから技術リソースを使ってサービスを立ち上げるのは無駄がありました。そこで、2009年に「シェア事業部」が設立され、機能共通化が推進されました。2010年に立ち上げられる共同購入プラットフォーム「聚划算」や2015年に誕生したO2Oプラットフォーム「口碑」も既存のリソースをうまく活用し事業が推進されています。

続きをみるには

残り 1,940字 / 4画像

¥ 700

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?