ハシマトシヒロ

武道家ときどきライター。武道家→ http://kudokansai.com/ライター…

ハシマトシヒロ

武道家ときどきライター。武道家→ http://kudokansai.com/ライター→ https://badcatsweekly.com/author/thashima/

マガジン

  • 昔の話

    昔、芝居をしてた頃などの話です。私小説っぽくなってしまってますが、エモくはないです。

  • 空道の話

    僕が稽古している21世紀の総合武道・空道についてです。 エモくはありません。

  • 嫁千代日記

    嫁との日々です。 エモくはないです。

最近の記事

  • 固定された記事

弟子は勝手に成長するが、師匠は一向に成長しない。

「羽島先生、お久しぶりです。松竹です。松竹リョウ(仮名)です」 留守番電話に入っていた声が名乗る名前は、随分と懐かしい名前だった。 でもその声には、懐かしさが感じられなかった。 僕が知っているリョウは、こんな大人の声ではなかった。 そりゃそうだ。 あの頃僕は二十代だったし、リョウも小学生だったのだから。 二十代の頃に数年間所属していた空手道場で、僕は子供のクラスの指導員をしていた。 この頃の僕は底辺の舞台役者だったのだけれど、ある公演でいろいろやらかしてしまい、「もういい加

    • 【ライター兼武道家・ハシマトシヒロ】プロフィールと執筆実績

      はじめまして。ライター兼武道家のハシマトシヒロと申します。 現在、「リアルサウンド映画部」、「cinemas+」、「BadCats Weely」など各種メディアにおいて、映画及びドラマ・アニメ作品レビュー、俳優論コラム、エッセイなどを寄稿しております。 プロフィール1974年生まれ、大阪府出身、滋賀県育ち。 中学生時、リー・リンチェイ(現ジェット・リー)に憧れ、空手を始める。 大学生時、映画好きが高じて俳優を志し、卒業後も就職せずに小劇場演劇や自主映画に出演するが、やがて

      • 『燃えよ剣』

        『Bad Cats Weekly』様に寄稿させていただきました。 『燃えよ剣』についてです。 迷った時は、「美しい方」を選ぶことにします、これからは。 「美しい」っていうと大層なので、「冷静に考えて自分自身をかっこ悪いと思わない方」を選ぼうと思います。 原作及びこの映画の土方歳三を見て、そう思いました。 心の中の土方歳三に、「かっこわるっ!」って言われない生き方をします。 「時勢などは問題ではない。勝敗も論外である。男は、自分が考えている美しさのために殉ずべきだ」 こ

        • 千葉真一を忘れるな。

          『BadCats Weekly』様で、‶千葉真一追悼エッセイ”を書かせていただきました。 これは、依頼された仕事ではありません。 「千葉真一さん死去」のニュース速報を見た時に、「千葉真一の追悼エッセイを書かせて下さい!」と、編集長に反射的にメールしていました。 なぜか、 「俺がやらねば誰がやる」 と思ってしまったんです。キャシャーンみたいに。 快くオッケーはいただいたのですが、いざ書き出すと、‶千葉真一愛”が溢れ出し、漏れ出し、引火し、暴発しました。 「一記事の目安は、14

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        弟子は勝手に成長するが、師匠は一向に成長しない。

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        • 昔の話
          21本
        • 空道の話
          17本
        • 嫁千代日記
          14本

        記事

          ごめんなさい。これが僕なんです。

          カーラジオから、スローバラードではなく椎名林檎が流れてきた。 初期の巻き舌の頃の椎名林檎。 あの頃、芝居やってる女の子は椎名林檎ばっかり歌ってた気がする。 そして、いかに舌を巻いて歌えるかを競い合っていた。 そんなことを思い出した。 せっかく思い出したので、「BadCats Weekly」さんで書かせていただきました。 ありがとうございます。これでまた、嫁と焼き肉が食えます。 お父さんお母さんごめんなさい。 僕はこんな下品な文章を書いて、お金をいただいています。 コロナが

          ごめんなさい。これが僕なんです。

          「夢」で見ていた仕事を

          何年も前から、同じ夢を見ていた。 「願望」の方ではなく、寝ている時に見る方。 夢の中の僕は、どうやら決まったルーティンで一週間を過ごしている。 月水金は、昼間から映画を観に行っている。 火木土は、その映画の感想文的なものを原稿用紙に書き、書き終えたらポストに投函している。 夜は趣味の格闘技の稽古。日曜日は休み。 こんな生活で、なぜか食うに困っていない。ということは、「映画感想文」でお金をもらっているのだろう。 なんだその楽しい仕事は。 特に「映画評論家」や「映画ライター」

          「夢」で見ていた仕事を

          柔術家が空道をやりに来た。

          以前、僕のインタビューを記事にしてくれた、柔術ブロガーのトミショーさんが、今度は空道の体験取材にやって来ました。 その記事がこちら↓ 空道にも柔術にも、そもそも格闘技自体に興味が無い人でも、面白く読めると思います。 変に忖度せずに、僕のことを「変人」と書いてくれているところが嬉しいですね。 取材対象とは言え、「仲間」ですから。 イジってくれた方が、嬉しい。 情勢を鑑みて、長く柔術の練習に行けない日々が続いており、柔術仲間のトミショーさんと久しぶりに手を合わせたのが「空道

          柔術家が空道をやりに来た。

          犬と猫と嫁と夢

          嫁は、犬と猫に目が無い。 「目が無い」って言っても食べるわけではない。 愛でる専門である。 この場合に「目が無い」っていう表現を使うのは、正しいのだろうか? 正しくないかも知れない。間違っているかも知れない。 でも、言語なんてものは、歴史と共に変わって行くものだ。 もし僕がインフルエンサーなら、僕の表現が正しいってことになるさ。 とりあえず、「インフルエンサー」のくだりは、読み飛ばしてもらって大丈夫です。使ってみたかっただけです。 嫁は、とにかく犬猫などの動物が大好きだ。

          犬と猫と嫁と夢

          同窓会と、初めてのラブレター

          「休み時間にドッジボールもせんと、一人でノートに細かい迷路をず〜っと描いてた羽島くんが、こんなに逞しくなってるなんてね〜」 コロナ前に行われた小学校時代の同窓会で、隣りに座った女子がしみじみ語った。 もう自分自身忘れてしまっていたが、そう言えば僕は、休み時間に一人で延々細かい迷路を描いていた。 親に無理矢理やらされた野球が嫌で嫌で、すっかりスポーツ嫌いの暗い子供になってしまっていた。 小学生男子のモテの条件は、「足の速さ」一択だ。 スポーツ嫌いで体育嫌いで当然足も遅い僕は、

          同窓会と、初めてのラブレター

          僕は、「褒められ」を喰って生きている。

          僕は、褒められることが大好きだ。 朝昼晩と褒めてもらえるなら、三度三度の食事が全部カロリーメイトでも構わない。 ただしフルーツ味限定で。飲む方はいらない。 試合に負けても褒めて欲しい。 「負けっぷりがいい」とか。 「道着の着こなしがシック」とか。 「一回で計量パスした。偉い」とか。 まあ、格闘技は無駄に長くやってるので褒められることもままあるが、問題はnoteだ。 以前、長いこと空道の所属道場のブログを書いていて、それがそこそこ好評だった。 試合会場でも、見ず知らずの人

          僕は、「褒められ」を喰って生きている。

          giverとtaker

          最近、何もしてないのに右肩が痛くなる時がある。 なぜか、財津一郎さんのポーズをすると和らぐ。 振動のせいか、自転車に乗ってる時が一番痛い。 だから、通勤退勤の時はずっと「きびしー!」のポーズで自転車を漕いでいる。 年齢的に、四十肩や五十肩になってもおかしくはない。 でも、四十肩は「腕が上がらない」って聞いた。 僕の場合、下ろしてると痛くて、上げた方が楽。 これはどういう状態なんだろうということをツイートしたら、柔術の先輩からリプライが付いた。 あっ、堀さん! お久しぶり

          柔術白帯なのに、なぜか柔術家として取材を受けました。

          なぜか、ブラジリアン柔術専門のブログでインタビューを受けました。 本業の空道でも並の選手、柔術に至っては白帯の僕がなぜ? それは、このブログの管理人が柔術の先輩だったからです! 管理人のトミショーさんは、柔術紫帯で鬼強で、僕はいつもバチバチに極められております。 ストイックで寡黙であまり笑わないため、最初の頃は「俺、嫌われてる……?(´;ω;`)」って思ってました。 初めてトミショーさんから話しかけられた内容は、「プロテインは一日何回どのタイミングで飲みますか?」だったと

          柔術白帯なのに、なぜか柔術家として取材を受けました。

          本気でワンダーランドとか言ってんの?

          「真冬になったら、その辺でホームレスが死んでんねん。朝、学校行こ思たら家の前でホームレスが倒れとって。とりあえず確認のために軽く蹴ってみたけど動かへんから、 『オカン、ホームレス死んでんで!』 言うたら、 『市役所に電話しとくから、早よ学校行け!』 って、オカンにケツ蹴られて……」 西成で生まれ育った友人が、ボソッと呟いた。 ただの雑談中。 呑んでる時に、鉄板ネタを披露してるわけでもなく。 こっちも、そこが「そういう場所」であることは知っているから、特に驚くでもなく。 *

          本気でワンダーランドとか言ってんの?

          東孝先生のこと

          4月3日、僕の空道における先生の先生が亡くなった。 71歳だった。 僕の先生の先生は東孝(あずまたかし)という方で、先生の先生だと長いので、以後「東先生」と書く。 最初にその訃報を知った時に湧いて出た感情は、「怒り」だった。 なんで東先生を殺すねん。 誰が「次に死ぬ人」を決めてるんか知らんけど、東先生は、まだやろ。 マイナー競技の空道やけど、2025年の青森国体で、やっとデモ競技になるとこまでこぎつけてん。 来賓席とかに座ったはる東先生を見て、 「東先生、喜んだはる!」

          東孝先生のこと

          かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう

          弱い自分が嫌いで。 虚勢を張る自分が嫌いで。 プライドばかり高くて、負けを認めない自分が嫌いで。 仲間の成功を、心から祝福できない自分が嫌いで。 * 嫁と古書市に行った。 嫁は、『超人ロック』に興奮していた。 僕は、子供の頃に250円ぐらいで買った『キン肉マン熱闘スペシャル』に5000円の値がついていたことにショックを受けた。 早川義夫さんの本が目についた。 表紙の女性と犬のいい表情に惹かれて、買った。 嫁は、『超人ロック』が連載されていた古い古い『少年キング』を買う

          かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう

          ピザ屋に憑く霊は、幸せに転生する。

          昔ピザ屋でバイトしてた頃、ひとつだけどうしても配達に行きたくないマンションがあった。 そのマンションの3階フロアのみ、なぜか空気が重く、時空が歪んでるような気がして、胸が苦しくなり、目眩がした。 休憩時間に何気なく店長にそんな話をしたら、 「ああ、あそこ? あそこ何年か前に虐待された子供が餓死したらしいで」 缶コーヒーを飲みながら、抑揚の無い口調で教えてくれた。 辛かったやろな。 しんどかったやろな。 怖かったやろな。 ずっと腹減ってたんやろな。 生きたかったやろな。

          ピザ屋に憑く霊は、幸せに転生する。