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奇妙な食べ方

認知症の義母は、このところ、自分でお箸を持って最後まで食べきることができなくなってきた。

お箸で挟んだ食べ物を、口元よりちょっとズレた位置に運んでしまい、口に入らず、そのうちに落としてしまう。
スプーンに変えても上手く掬えず、空のスプーンを口に入れる。
そうこうして、途中で食べる手が止まるので、そこからは食べさせる介助をしている。

ある夕食時、先程まで肩に乗っていたオカメインコのメイちゃんが、まだ乗っていると思ってるのか、義母は自分の左肩に向かって食べ物を差し出し、
「メイちゃん、食べや。」と言う。
「メイちやんはなぁ、鶏肉は食べへんのよ。」と言っても、ウンウン、と頷きながら、再び差し出し、
「何でも食べなアカンのやで。大きなれへんよ。」と。

仕方がないので、差し出しだされた左肩側から、それをスプーンで受け取り、そのまま義母の口に入れる。
義母が左肩へ差し出す → 私がスプーンで受ける → 義母の口に入れる
と、まぁ、変わった三角食べを続け、最後までほぼ食べきった。

義母は自分のためには最後まで食べられないのに、食べさせてあげるなら、最後までできるのだ。
やっぱり、お母ちゃんなんやなあ。
お母ちゃん精神が強いんやなあ。

ところで渦中のメイちやんは蚊帳の外、否、カゴの中だけれども。

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