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夜明け前のあの日に(3)

転職活動を始めた矢先、復職許可が出た、のだが。。。
休職中ずっと、産業医の「復職可能」診断が出た後には人事部の面談がある、と聞かされてきた。
ところが、それがないと言う。

「実務の現場を知らないのに、そんな事言っちゃう…?」
と、毎々面談の度に違和感がつのるばかりだった「健康推進サポート室」のスタッフ達の申し送りだけを材料に、本人を見ないまま、トランプのカードをシャッフルするように、配属を決められ言い渡されるのを待てと言う。
休職前の職場に戻される人も多いのだが…私が渡り歩いてきた部署は、その大半が消滅している。かつて上司であった人達はほとんどが会社から姿を消していて、会社側に私の仕事ぶりを判断する術があると思えなかった。
さらに、「健康推進サポート室」の面談で報告していた、休職中に取得した数々の資格についても、繰り返し話題に挙がっていた顎関節症という持病についても、申し送り事項から消されていた。

「お話にならない…」
私は、人事部に駆け込み訴えをした。元部署もなく2年ブランクのある中で、休職中の取得スキルや要配慮事項を人事が一齋確認せずに、辞令交付の手筈とはご無体な、と。
配属人事担当者の名前を聞き出し、面談日時を決めてくれとがぶり寄った。
職場復帰のスケジュールに遅れが出ますよ、と言われたが、
「今さら2週や3週の遅れ、なんの怖い訳がありましょう」
と切り返した。

そうして配属人事担当者との面談が実現した。
ここで役立ったのが、Dさん・Rさんとの面談経験だった。2人のおかげで、自分がどんな所でどう役に立つ人間なのか、自信を持って主張することができた。併せて、持病の顎関節症についても、正式な要配慮事項として認めさせた。
幸運にも、この人事担当者は温厚で誠実な人だった。私の主張にきちんと耳を傾けてくれ、社の事情とすり合わせてじっくりと復職先を探してくれたようだ。しばらくして提示されたのは、予想より遥かに手厚い条件の内示だった。

こうして私の長いサバティカルが終わった。今までまるで“転職“のような振り幅で、私の処遇を右に左にと動かしてきた私の会社に、今度は自分の意志で「転職」したのだった。


復帰報告メールの返信には、Dさん・Rさん2人が2人とも、祝いの言葉とともに、今の職場に早く馴染むためのアドバイスなどを書いてくれていた。
仕事だからと言えばそれまでだ。でも、繰り返しになるが、私がこの先実際に、彼女達の手を借りて別の会社に転職しない限り、彼女達の売上や実績にはならないのだ。

夜明け前のあの日。一銭にもならない、たぶんただ一度の出会いに。
プロの矜恃とばかり、様々な助言をくれた彼女達に、心からの尊敬と感謝を捧げる。

お付き合いありがとうございます。前回のお話はこちら↓↓↓


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